【ラグビー/NTTリーグワン】これ以上の朗報はない! 復帰した両チームの絶対的支柱<三重H vs BL東京>

東芝ブレイブルーパス東京 リーチ マイケル選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
三重H 7-8 BL東京


前節の結果を受け、D1/D2 入替戦に進むことが決まっていた三重ホンダヒート(以下、三重H)と、同じく前節でプレーオフトーナメント進出が決定した東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)の対戦。試合は8対7というロースコアになったがBL東京が勝利した。

試合をとおして雨が降っていた中で、お互いに見ごたえあるフィジカルバトルを繰り広げたが、前半は両者とも無得点で折り返したように、決定的なチャンスはあまり生み出せず。後半に入り、三重Hが一瞬のスキを突いて先制したものの、BL東京はセットピースから流れをつかみ、後半37分に逆転に成功した。

「腕相撲のような展開」とBL東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチが言えば、「ガソリンのタンクを空っぽにするまでプレーをしてくれた」と三重Hのキアラン・クローリー ヘッドコーチは選手を労った。それほど拮抗した試合展開で、雨が降りしきる中でもファンを熱くさせた。

前述のように、立場は違えど両者には次の戦いの場が待っている。今節は、互いにとってチームの成長を図る大事な機会だった。この試合でけがからの復帰を果たしたBL東京のリーチ マイケルは「強くなって復帰することを考えていた」と強い思いでリハビリ期間を過ごしていたという。自身の復帰がチームにどんな影響を与えるのかを問われると、「(BL東京は)ディフェンスのチームだと思うので、ディフェンスに影響を与えたい」と語った。

三重ホンダヒート パブロ・マテーラ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

一方、アルゼンチン代表として出場したラグビーワールドカップ 2023フランス大会以来の公式戦出場を果たした三重Hのパブロ・マテーラは、ここまでのチーム状況を「大量失点で負けた試合もあったし、見ていてつらかった」とチームの力になれなかったことを悔いた。ただ、「自分の愛するラグビーができてうれしい」と待望の復帰戦を楽しんだ様子で、「チームの助けになることがあれば、どんなことでもやる」と決意を新たにした。

リーグ戦は残り2試合。今後の総力戦に向けて、両チームに絶対的支柱が戻ってきた。これ以上の朗報はないだろう。

(齋藤弦)

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、小林亮太選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「非常に残念な結果だと思っています。ただ、選手たちはガソリンのタンクを全部、空っぽにするまでプレーをしてくれましたし、その彼らのパフォーマンスは誇りに思っています。しかし、勝てなかったということは、最終的には不十分だったということです。

前半に関しては、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんに、われわれのプレーによってすごくフラストレーションを溜めさせるような展開に持っていくことができて、良い形で試合を運ぶことができました。ただ後半は、BL東京さんが実力を発揮して、最終的に敗戦につながってしまったと思っています。

その中で、ゲーム中のキーとなるタイミングのところで、例えばペナルティゴールの3点が決まっていれば10対0になっていたかもしれないですし、レフリーにペナルティを取られてしまった場面での判断というものが、われわれのほうにより良い形で風が吹いていれば、結果としてより良いものになったのかなという部分もあります。ただ、最終的にはBL東京さんが勝利されたということで、われわれとしては今後のリーグ戦の2試合と、入替戦の2試合に向けて、しっかりと良いパフォーマンスを今日は出すことができたので、いい準備ができたのではないかと思っています」

――パブロ・マテーラ選手が復帰を果たしました。その点についてはどんな評価をしていますか。
「彼がラグビーワールドカップ(2023フランス大会)以来の出場を果たしてくれて、本当にうれしく思っています。先週に実施をしたトレーニングマッチで20分間起用しました。本日は予定としては(プレー時間を)30分ぐらいで考えていましたが、ゲームの展開が止まることが多くて、想定していたコンタクトの回数というところが、前半30分の時点では達していなかったので、最終的にハーフタイムまで起用することにしました。明日の朝は体中が痛いと思いますね(笑)」

三重ホンダヒート
小林亮太選手

※古田凌キャプテンは脳震盪のため欠席
「まず初めに、雨の中の試合にあたって、運営の方々や見にきてくださった両チームのファンの方々に感謝を述べたいです。試合内容につきましては、(キアラン・クローリー)ヘッドコーチが言ったように、勝てなかったことは残念です。振り返ると、自分たちが敵陣に入っていい形でボールを持っているときにそれを得点に変えられなかったことが課題かなと思います。逆に良かったところはディフェンスです。自陣に入られたところが何回もありましたが、相手のミスに助けられた部分もありながら、粘り強いディフェンスでフィジカルを前面に出して、チームとして守り切れたのは良かったです。あとは小さいところですね。運と言ったらそうなのかもしれないですけど、そういうものは自分たちでハードワークして引き寄せるものだと思うので、残り2試合のリーグ戦をしっかりハードワークして、そういう部分も自分たちがコントロールできるように、運が転がってくるように、一日一日頑張っていきたいと思います」

――パブロ・マテーラ選手が復帰したことで、チームにどのような影響がありましたか?
「ゲーム的なところで言うと、自分たちにプレッシャーが掛かっている部分で、彼が持ち味としているジャッカルでチームを救ってくれたところは、特にチームとして相手の勢いを止めてくれて、僕らに勇気を与えてくれるようなプレーでした。パブロ・マテーラというキャラクターは、すごく情熱的で、アグレッシブにチームへ言葉掛けをしてくれたり、ときには攻撃的に、そういうアグレッシブなマインドセットをチームに与えてくれるので、そのような部分でもチームにエナジーを与えてくれるような存在だと思います」

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(左)、橋本大吾ゲームキャプテン 【©ジャパンラグビーリーグワン】

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「今日はかなりのメンバーを入れ替えた試合でしたが、その中でもしっかりと勝利をつかんでくれた選手たちにおめでとうと伝えたいです。もちろん三重ホンダヒート(以下、三重H)さんがものすごくいいチームだと分かっていたので、なおさら勝てたことがうれしいです。前半を終えて0対0で、本当に腕相撲のような一進一退の前半ということが分かると思います。

今日のような試合だと、セットピースでのプレッシャーの掛け合いで勝負が決まるかなという試合だったと思います。前半に関しては、こちらの規律の部分の乱れがあり、苦しんだのも事実です。ただ後半、このように立ち直れたというのも、選手たちのこれまでの努力の積み重ねの証拠かなと思います。本当に大事な最後の局面で、セットピースからしっかりと前に進めてくれたことをうれしく思っています。

最後になりますが、今日の三重Hさんのパフォーマンスもすごく素晴らしい内容であったことをお伝えさせていただきたいです。同時に、順位が下に沈んでいるようなチームではなく、本来もっと能力があるチームだと思いました。そして今週をとおして、橋本大吾はキャプテンとして、チームを素晴らしい形で引っ張ってくれたので、そこにも感謝を伝えたいと思います」

――メンバー変更をしたことで得られた収穫を教えてください。
「チームにいる全選手に対して、こちらとしては信頼もしていますし、選手層の厚さを作ってきたということがあります。そういう意味では、今日、このようにいろいろな選手に出場機会を与えられたことは、もちろん今シーズンのプレーもですけど、クラブの将来という意味でも、ものすごくいい試合になったと思います。プレーオフトーナメントになると総力戦になりますので、今日出た選手も全員がまた出場する可能性があると思います。チームの方針としては、週末の試合に向けたメンバーを毎週選んで、一戦一戦を戦っていきますので、今日のメンバーも今日の試合を勝つために選ばれたメンバーだったことは間違いないです」

――リーチ マイケル選手が復帰しました。交代時のプランと評価を教えてください。
「リハビリもかなり長期で、その中でも頑張って今日復帰してくれたので、戻ってきてくれてうれしく思っています。後半4分から出場したのはプランどおりです。その中で正確性というものをチームにもたらしてくれたと思います。橋本キャプテンとピッチ内では二人で、かなりバタバタしているところを落ち着かせしてくれたと思います。全体的なパフォーマンスには満足しています」

東芝ブレイブルーパス東京
橋本大吾 ゲームキャプテン

「今日は自分たちのスタンダードをしっかりと上げることをテーマにしていて、ファーストコリジョンや最初の10分間で、特に自分たちのフィジカリティを前面に出してゲームをドライブしていこうという話でした。先ほど(トッド・ブラックアダー)ヘッドコーチが言ったように、前半はブレイクダウンでペナルティを取られてしまったり、ハンドリングエラーが多くなってしまったり、ゲーム自体を難しくしてしまったのが、反省点かなと思います。メンバーが大きく変わった中で、まず勝ち切れたのは一つ大きな収穫ですけど、今季初めての雨の中でのゲームということで、そこの戦い方を全員が落ち着いて、自分たちのプレーと自分たちがやるべきことを遂行できるように、もう一度これからチームとして改善して、これからの2試合とプレーオフトーナメントに持っていけたらなと思います」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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