【ラグビー/NTTリーグワン】プレーオフトーナメントでの戦いに向けて。 堀越康介&尾﨑晟也のトライ王争いから目が離せない<東京SG vs 静岡BR>

東京サントリーサンゴリアス 堀越選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
東京SG 31-31 静岡BR


東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)にとって、勝てばプレーオフトーナメント進出が決まるはずだった第14節、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)との一戦は、31対31で引き分け。他会場の結果でプレーオフトーナメント進出は決まったものの、今後の4強対決に向けて課題が残る形となった。

そんな消化不良な試合においても、決めるべきところで決めたのは、今季の東京SGが誇る二人のポイントゲッターだ。

キャプテンの堀越康介と、昨季のディビジョン1最多トライゲッター尾﨑晟也がともに1トライずつを決め、今季のトライ数をそれぞれ12まで伸ばした。1位とは3トライ差で、残りわずか2節とはいえ、「トライ王」は決して不可能な数字ではない。

東京サントリーサンゴリアス 尾﨑晟也選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

尾﨑晟也は昨季も18トライを決めた実績があるだけに、今季のトライ数も納得の数字と言える。ただ、昨季5トライでフォワードの堀越が12トライも積み重ねることができた要因は何か?

このトライの多さについて、「22mラインの中に入っていけるのはフォワード陣みんなのおかげ。チームメートに感謝したい」とまず語った堀越。その上で、トライへの意識をこう続けた。

「22mラインの中に入ったら、僕は積極的にボールをもらう選手になりたい。得点を取る力には自信がありますし、どんどん僕がボールキャリーしてスコアを狙いたい気持ちでやっています。それが結果としてトライにつながっているのかな」

タイトルを狙いたいかと話を振ると「興味はないです。が、もしも取れたならフォワードのみんなに焼き肉をおごりたい」と笑って返してくれた。

一方、「チーム内ではやっぱり負けたくないですね」と話すのは尾﨑晟也。トライにつながったのは一つだけだったが、現在リーグ1位を誇るラインブレイクをこの試合でも何度も決め、チームの推進力となっている。

「自分でも感じるくらい動きは良くなってきています。だからこそ、もっともっと仕事量を増やしたい。ワークレートも僕の持ち味ですから」

2季連続トライ王となれば、ジャパンラグビー トップリーグ時代の2009-2010、2010-2011シーズンに達成したサントリーサンゴリアス(当時)の先輩、小野澤宏時以来の大偉業だ。残り2節、チームの状態を上向きにさせるためにも、堀越&尾﨑のプレーから目が離せない。

(オグマナオト)

【©ジャパンラグビーリーグワン】

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督
「今日はわれわれにとって勝たないといけないゲームでした。ここ最近の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんは、後半から非常に元気のあるインパクトプレーヤーが出てきて、どんどん前に出てくることは分かってはいたんですが、自分たちのプレーチョイスも含めて最後の最後まで主導権を握り続けることができませんでした。

リーグ戦は残り2試合だけですが、プレッシャーの掛かる試合になります。次の東芝ブレイブルーパス東京戦に向けてしっかり切り替えて準備をしていきたいと思います」

――おっしゃったプレーチョイスについて、どのあたりに一番課題を感じましたか?
「22mゾーンには入れるのに、そこでもう1、2フェーズを重ねれば相手が崩れるという場面でエラーが重なりました。22mゾーンでフェーズを重ねればディフェンスのほうが必ずプレッシャーは掛かりますし、トライを取れなくてもペナルティをもらう。われわれはそこを強みにしているはずなのに、簡単なミスで相手にモメンタムを奪われる機会を与えてしまったことが一番の要因だと思います」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「アタックでもディフェンスでも、要所でのミスが目立ちました。ここを取れたら流れはこっちに来るだろう、という場面でトライできなかったり、ペナルティを犯してしまったり。そういう勝負どころでのミスが今日のゲームに大きく響いたんじゃないかなと思います。

準備してきたことを100%出せれば絶対に勝てるという自信があったのに、そこを出せなかったのはゲームメンバーの責任と今後の課題になるんじゃないかなと思います。悔しいですね」

――終盤にペナルティが多くなった原因をどう分析しますか?
「レフリーとの掛け合いというか、認識の違いも少しあったと思います。でも、レフリーではなく、自分たちのクリアピクチャー(明確な共通認識)をずっと意識してやってきていたので、グレーな部分を見せずにクリアな絵をずっと見続けることが大事だったんじゃないかと思います」

――終盤の3点をリードされた場面で、トライではなくペナルティゴールを選択しました。その理由を教えてください。
「まだ(試合時間が残り)5分(※実際には4分)あったのと、ペナルティゴールで一旦落ち着かせて、キックオフレシーブからまたキックを蹴って、敵陣でプレッシャーを掛けようという狙いがありました。僕は正しい判断だったんじゃないかなと思います」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督

「今日は本当に勝ちたかったんですけども……。2試合連続で引き分け。選手は自分たちの力をしっかり出せたと思います。引き続きあと2試合、しっかり成長してシーズンを締めくくれたらと思います」

――後半の選手交代について。まず4人を替えましたが、あの交代にはどういった意図があったんでしょうか?
「インパクトを与えたいと思い、インパクトを与えられる選手を出したかった。(交代の順番は)試合の流れです」

――東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)相手に勝つために必要なことは何だったのでしょうか?
「プレーの精度を一つひとつ上げていくこと。あとはペナルティ(を減らすこと)。今日は若干粗削りな部分もありました。そういう細かいところを意識していくことだと思います」

静岡ブルーレヴズ
庄司拓馬バイスキャプテン

「自分たちが80分間やり切って、もちろん反省すべきところはあった上での同点。勝てるチャンスがあった中で引き分けに終わってしまった悔しさはあります。ただ、シーズンは残り2試合ありますので、そこに向けて、目の前の1試合に向けて頑張っていきたいです」

――一度逆転したあとに東京SGが盛り返しました。そのあとに静岡BRが巻き返せた要因は何だったのでしょうか?
「いろいろな理由があると思うんですけども、一番大きいのはインパクトの選手(交代選手)の頑張りだと思います。得点につながるような前に出る推進力を全員が意識して前に出ていけたので、そこがしっかりつながった結果だと思います。

(勝つために足りなかったことは)もちろんセットピースのところです。途中にオブストラクションのようなプレーでトライを取り切れなかった部分もあったので、そういうところでしっかりトライを取り切れるセットピースができていたら点数を重ねられたのかなと思います」

――シーズン中盤は負けが続いていたのが、調子が出てきたように思えます。その要因は何でしょうか?
「自分たちがゲームに向かっていく姿勢は変わらずにやってきたつもりです。そこに対して、新加入選手、アーリーエントリーの元気な選手たちが来たことによってまた活気づいたかなと思います」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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