【ラグビー/NTTリーグワン】達成なるか、41歳でのファーストキャップ。 フランカー一筋の男が引退前に示す情熱<清水建設江東ブルーシャークス>

清水建設江東ブルーシャークス 大隈隆明選手 【写真提供:清水建設江東ブルーシャークス】

来季のディビジョン2昇格が懸かった前節の大一番、クリタウォーターガッシュ昭島との一戦を46対22で制した清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は目標であった1年でのD2返り咲きを達成した。昇格の喜びは大きく、選手たちはもちろん、勝てない時期も応援し続けたファンにとっても最高の瞬間だった。

「ホッとした」という気持ちが一番強いと語るのは、昨季は監督として指揮を執り、今季、選手として現役復帰した大隈隆明。

「昨シーズンは、監督としてD3に降格してしまった心残りという、モヤモヤしたものがずっと心の中にありました。なので、D2昇格が決まった瞬間、本当にホッとした気持ちでいっぱいでした」と安堵の笑顔を見せた。

そんな大隈は、今節、今季初のメンバー入りを果たした。2005年に近鉄ライナーズ(当時)に加入し、2007年にはキャプテンも経験。その後、2017年から清水建設ブルーシャークス(当時)に加入した。トップカテゴリーから加入した選手として経験値が高く、チームの中で大きな存在となり、選手兼監督の時期も経て2020年には正式に監督に就任。今季はフォワードコーチ兼任のプレイングコーチとして現役選手に復帰していた。今節、出場すればリーグワンのファーストキャップとなる。

ラグビーを始めた中学2年生から28年間フランカー一筋の大隈。「自分の考え一つでいろいろな局面に顔を出せる。型にとらわれないで戦えるのがフランカー」だと話す。

ただ、身長(170センチ)を考慮し、高校・大学時代に周りからはフッカーなどへのポジション変更を勧められたという。サイズを理由にされる悔しさとフランカーへの情熱を持ち続け、心が揺れることはなかった。「サイズが小さくてもやれるところを見せたいです。とにかくフランカーというポジションが好きなんです。貫きとおして、将来ラグビー選手を目指す子どもたちに勇気を与えられるように、戦う姿を見せたい」と意気込みを口にした。

そんな大隈だが、先日今季限りでの現役引退が発表された。「チームが『仕事もラグビーも100%』と掲げており、行動で示していかないといけない立場でもある中で、年齢的にも会社から求められるものも大きくなりました。その100%が達成できなくなるのであれば、チームに残るべきではないという思いと、選手たちが頼もしく自分がいなくてもこのチームは大丈夫だと思いました」とそんな思いが重なっての決断だったという。

残り少ないラグビー選手人生、さまざまな思いを背負って戦う今節は、前回対戦で22対21と接戦での勝利となった中国電力レッドレグリオンズをホストゲームに迎える。相手はD3で1試合平均のタックル成功数が最も多いチーム。江東BSとしてはいかにボールキープをしてアタックし続けられるか。フランカー一筋を貫きとおしてきた大隈の活躍に期待が寄せられる。

(山村耀)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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