一発逆転ファイナルレース惨敗から重賞制覇した馬も参戦/佐賀ヴィーナスカップ・データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年佐賀ヴィーナスカップ優勝ジュランビル 【撮影:佐賀県競馬組合】

第8回 佐賀ヴィーナスカップ(地方全国交流、4歳以上牝馬、ダート1400m)
4月21日佐賀6レース 18時05分発走予定


全国各地から古馬牝馬が集う一戦。「グランダム・ジャパン」という牝馬が世代別に覇を競う重賞シリーズの一戦に組み込まれており、着順に応じたポイントを獲得してシリーズ優勝を目指す馬が多く出走してくる。
ここでは当レースが創設された2017年~23年までの過去7回のデータを元に分析する。

3着内率50%超えの遠征馬の所属場は?

過去7回で最も勝利を挙げるのは大井で、20年ジェッシージェニーと23年ジュランビル。それぞれ単勝3番人気(5.1倍)、4番人気(16.8倍)での勝利で、人気以上の走りを見せた。兵庫、高知、浦和、川崎は各1勝で、出走馬の頭数は多くはないが、3着内率はいずれも50%を超えている。
こういったデータを見ると、基本的には「南関東4場+兵庫、高知」からの遠征馬が優勢か。

所属別成績 【表1】

「1番人気+3~5番人気」の組み合わせ多し

単勝人気では1番人気が3勝。馬券圏内を外したのは過去7回中2回で、20年はハッピーハッピーが7着、21年はテーオーブルベリーが5着に敗れて3連単は2万8230円、19万6540円と波乱の配当となった。
1番人気が3着以内に入った5回はすべて「1番人気+3~5番人気」の組み合わせ。なお、偶然か必然か、2番人気は未勝利だ。

単勝人気別成績 【表2】

基本は逃げ・先行も、差し馬の意外なポイント

佐賀1400mはコースをぐるっと1周する地方競馬では定番の舞台。1周1100m、直線はゴールまで200mの小回りコースでの短距離戦とあって、中心は逃げ・先行馬だ。両脚質を合わせると勝率16.1%、連対率35.4%、3着内率48.3%。序盤から前に行ける馬を狙いたい。
ただ、佐賀は小回りコースの中では比較的、差しが決まりやすい競馬場。比較として規模の似た園田競馬場(1周1051m、ゴールまで直線213m)の1400m戦の2023年脚質別成績を見ると、差しは勝率6.4%、連対率14.9%、3着内率24.3%。3着内率こそ園田の方が高いが、勝率と連対率は当レースの方が上回っている。普段、地方の小回りコースの馬券をよく買う方は、いつもほどは差し馬への割り引きはしなくていいと言える。

脚質別成績 【表3】

3番と9番に勝ち馬が集中

馬番別成績では3番と9番が各3勝で、7番は2着2回、3着1回、11番は2着3回、3着1回と特定の馬番に好成績が集中する。3番と9番から挙げた6勝のうち4勝は逃げ・先行で、差した2頭も前半は内目をロスなく回れていた。

馬番別成績 【表4】

5歳馬が圧倒的に優勢

5歳が4勝を挙げ、勝率、連対率、3着内率全てにおいて高い数値となっている。馬体の完成度とレース経験の豊富さの双方でバランスが取れるのがこの年齢なのだろう。7歳を超えると出走頭数はグンと減るが、7歳馬の勝率も悪くはなく、23年優勝ジュランビルが7歳だった。

馬齢別成績 【表5】

牝馬限定重賞の勝ち馬に重点

当レースは創立時は7月に行われ、以降6月2回、5月3回の実施の末、昨年から4月中旬の開催となった。そのため、特定のステップレースから好走パターンを見出すことはできない。
そこで、直近5走で重賞好走歴のある馬をピックアップ。牡馬混合の重賞で3着以内の組と、牝馬限定重賞勝ち馬とで比べると、後者の方が圧倒的に成績がいい。牡馬混合の強い相手の重賞で3着以内の方が高く評価できるかと思いきや、牝馬限定でも勝っている事実が重要。

近5走別成績 【表6】

データからの推奨馬は?

①南関東4場、兵庫、高知
②上位人気
③逃げ・先行
④5歳馬
⑤近5走で牝馬限定重賞を勝利
⑥3番、7番、9番、11番ならなおよし

※2番人気は勝利がない点は注意
※差し馬の大幅割り引きは不要

中心はミニョン(高知)だろう。約1年前は一発逆転ファイナルレースでブービーの11着に敗れた馬が、調教方法と乗り手が変わったことで一気に覚醒。10戦続けて3着以内に入る堅実なレースぶりを見せると、前走・レジーナディンヴェルノ賞で重賞初制覇を果たした。前走後、早くからここを目標にされてきたが、ポイントは1400mに距離短縮される点。地元でも1400mはやや忙しく、序盤に置かれ気味になるため、上手く流れに乗れるかが鍵だろう。
とはいえ、5歳馬で3勝を挙げる3番枠。①②④⑤⑥に当てはまり、展開次第では③も該当と、データ上パーフェクトな馬だ。

同じくここを目標にしていたのはアンティキティラ(高知)。軽い馬場と1400m前後を得意とする馬で、地元より軽い砂の佐賀は22年花吹雪賞1着、23年当レース4着と、力を発揮できる舞台。前走・兵庫女王盃は強い相手に7着に敗れたが、得意の距離で巻き返しも十分考えられる。①②③④に該当。

クリノメガミエース(兵庫)は昨年3着馬。1600m以上の重賞での好走が多いが、侮れない存在だ。前走・レジーナディンヴェルノ賞7着は高知の深い馬場に対応できなかった結果だろう。①②④に当てはまる。

プレストエンジェル(佐賀)は船橋からの移籍初戦。1年以上、勝ち星からは遠ざかっているが、短距離戦でもある程度の位置を取れており、このメンバーであれば前目で運べる可能性もある。③④に該当。

⑥からはJRA時代にダートグレード制覇まであと一歩だったリネンファッション(佐賀)、スピードのあるアイメイドイット(佐賀)、3歳時は南関東で期待が寄せられていたカルフレグランス(佐賀)が当てはまる。

第8回佐賀ヴィーナスカップ 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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