ダンス新時代 〜職業「プロダンサー」として生きる〜 KADOKAWA DREAMS「Daichi」

D.LEAGUE
チーム・協会

【D.LEAGUE】

4年目を迎えた世界最高峰のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」。その中で活躍するDリーガー達の激闘の日々や苦悩、そして思考や価値観に迫る“ダンス新時代 〜職業「プロダンサー」として生きる〜”をDewsが独占取材。D.LEAGUE 23-24シーズンを駆け抜ける全13チーム26名にフォーカスします。今回は22-23シーズンチャンピオンのKADOKAWA DREAMSからチームの顔としてキービジュアルにも選出され、次世代エースとして注目されるDaichi氏に迫る。

まずはじめに、ダンスのキャリアについて教えてください。

4歳の頃に姉の影響でダンスを習い始めました。いとこが経営するダンスサークルに通いはじめ、当時は
dip BATTLESに所属しているRihoと共にロックダンスでコンテストに出場したりしていました。

姉がダンスの専門学校に通っているのに影響され、自分も高校からダンスの専門学校に通い始めました。学校にはDリーガーやそれに関わるダンサーの方々もいて、HIPHOPをはじめとしたダンスの歴史やHIPHOPのすべてのジャンルの踊り方を教えていただきました。

Dリーグが始まり、KDのセレクション(オーディション)に挑戦しましたが、練習生まで残ったものの一年目は落ちてしまいました。

KDに入るのは当時の夢で、練習生の中でも個性がないとKDには入れないと考え、ブラックカルチャーに注目し独学で研究を始めました。また、学校でHIPHOPを学びながら、猛特訓して21-22シーズンから選手として所属することができました。

実際にプロダンサーとして所属してみて感じたことや精神面での変化はありましたか?

小さい頃からの夢はダンサーでした。ダンスで稼ぎたいと思っていました。所属が決まった時、それが叶った瞬間でした。嬉しかったです。そしてすぐに、自分の立ち位置がこの中で一番下、という現実に直面しました。

所属した当初は、色んなものが敵に見えるような時期だったのかもしれません。KDだったり学校だったり、自分の立ち位置だったり思い通りにいかず悩む。出場メンバーに選ばれず焦ったり、環境、ハードルが高くて苦しんで、逃げたいと思うことが何度も何度もありました。温厚なKEITAさんを怒らせたこともあります。

初めてKEITAさんとぶつかったのは、21-22シーズンのROUND.2のメンバー選定でした。KEITAさん抜きの時にメンバー選定で内定していたのですが、KEITAさんが戻ってきたところで、自分だけ外されてしまいました。ROUND.1の時も出場できず「納得できない!」とKEITAさんに連絡して二人でお話しさせてもらいました。雑談も含め面と向かって話せたことで、本心を打ち明けることができましたし、それまでは遠い存在だったKEITAさんへの信頼関係ができた瞬間だったかもしれません。

その頃は思ったことを面と向かって言ったり態度に出てしまうタイプだったため、今になっていろんな方に「こんなに穏やかじゃなかった。」と笑って語っていただけるのは、わかりやすい変化かもしれません。

今はチーム活動としての(勝利への)貢献を考えられるようになりました。選定に外れても自分に悪いところを考えるようになりましたし、もし納得いってなくても口に出さないようにもなりました(笑)。

D.LEAGUEに入ったことがゴールではないと今は感じています。3年かけてチャンピオンになりましたが、KDの中で活躍するという夢ができて、それはまだ叶っていません。昔と同じく挑戦し続けている感覚はあると思います。

【D.LEAGUE】

Dリーガーになって私生活での変化もあれば教えてください。

とても忙しくなって、この3年間、家にいる時間がほぼない状態です。以前は毎日お母さんの夜ご飯を食べていましたが、今は月に一度食べるかどうか。自宅でご飯を食べたときが「忙しかったな」と振り返り一息つくタイミングです。

意外ですが、KDはオフシーズンの方が毎年忙しいんです。去年は日本にいなかったので。オフシーズンとは感じないオフシーズンでしたね。イギリスの世界大会出場をはじめ、インドネシア、タイ、ベトナムで結構な人数の前でショーケースを行いました。言葉が通じなくて困っていましたが、踊れば皆が話しかけてくれました。

海外に出て日本の過ごしやすさを再認識しましたね。貧富の差を目の当たりにして、自分のいる環境のありがたさを感じました。インドネシアでショーをした時、会場が都市部ではなく郊外で、道端でコオロギや鳥が売っているような街でした。

衛生面には気を付けていたのですが、メンバー全員が感染症にかかってしまい、体調不良を抑えて踊りました。踊り終えた後、倒れたメンバーもおり、現地の病院にお世話になりました。メンバー全員点滴打っています。熱や感染性のある病気に敏感な時期でしたので、帰国スケジュールも変更しました。今だから笑える話ですね。帰国時は皆やつれてました。

イギリス遠征の時は、日本に帰る際、悪天候で帰国できないトラブルもありました。日本に帰ってくることができず、チームのミュージックビデオの撮影の日程をずらしていただきました。数日空いたことで、逆にいいコンディションで撮影をすることができましたが、スケジュールを詰めすぎないようにとチーム全体で反省しました。

Dリーグの過去シーズンで一番記憶に残っているものと、その時の想いを教えてください。

21-22のROUND.10、大怪我が重なってそれを乗り越えて出場した日が印象に残っています。ラウンドの前日に足を故障してしまい、ROUND当日に病院に行って会場に行って、リハーサルを終えたらまた病院に行って松葉杖をついて会場入りしました。膝に水が溜まっていたため、それを抜いて、痛み止めをして出場しました。

yamattchiが代わりに出場する話が進んでいたのですが、振りを揃える作品で固めと呼ばれる仕上げをかなり頑張った作品だったため「自分が出ないと」と思い、痛くないと嘘をついて無理やり出ました。KEITAさんも(嘘をついていることは)わかっていたと思います。

自分の怪我だけでなくチームリーダーのRyoちゃんにも本番前に肩が外れるというトラブルが起きてしまいました。D.LEAGUE運営の方にも心配していただき、出場か棄権かという話が出るくらいの状態でした。たまたま笑顔道さんの中に整体で脱臼に対応できる方がいらっしゃって、治していただきました。肩を戻しても泣くくらい痛みが止まらない様子でした。それくらい怪我してでも出る、命懸けでやっている想いでした。映像を見返していただくと包帯姿も見えると思います。

そこからバックアップメンバーの大切さを考え、全員が踊れるようにするなど、チーム全体のトラブルに対する意識がより高まったと思います。

【D.LEAGUE】

自分のダンススタイルのこだわりや強みと思っている部分を教えてください。

自分がダンスに惹かれた大きな理由の一つがブラックカルチャーがあったことです。その歴史を知った上で、そのルーツを守りつつも、誰とも被らないようにしたい。誰かに似てると言われたくない。自分を作りたい。というこだわりがあります。

今自分が得意とするのはアフリカンダンスやダンスホール、アフロダンスと呼ばれるスタイルです。D.LEAGUEはダンスホールやアフロダンスを主軸にしているダンサーが少なく、日本全体で見ても男性でやってるダンサーがほとんどいないと思います。プラス、全ジャンル踊れる。そこが自分の個性や強みかなと思っています。

踊り始めたきっかけは、momoca renri先生にアフリカンなスタイルを教えていただいたことだと思います。オールドスクールであるロックダンスを学び、その一つ前にあるアフリカンを教えていただいた時、HIPHOPやロックダンスの中にもアフリカンの要素がエッセンスとして散りばめられていることに気づき、独自に探求するようになりました。SNSでニュースタイルと呼ばれるアフリカンのスタイルが流れてくるので、そういった動画などから独学で研究しています。

これから挑戦したいことがあれば教えてください。

ダンスについてはレベルアップはもちろん、23-24シーズンは、DリーグでKADOKAWA DREAMSのキーマンとして選んでいただきました。それを見ている皆さんやチームの中にも、わかりやすく示したいというのが19歳の目標です。KADOKAWA DREAMSとして、チャンピオンを目指している最中です。今シーズンで沢山活躍して、沢山お金も稼いで、20歳までには親孝行できたらいいなと思っています。


また、ファッションやヘアスタイルに注目していただくことも多いのですが、ヘアスタイルについてはプライベートもほとんどないので、D.LEAGUE優先で髪の毛は衣装に合わせることを考えた上で、奇抜に目立つようにしています。

ダンサーとしてアーティストと同じカテゴリになれるよう、服装もこだわっています。KDのメンバーではSasyaちゃんがキッズブランドとコラボをしています。服には興味があり、自分も機会があればそういうことができたらいいなと憧れています。

また、海外のアーティストさんは自分の靴のブランドを持っているのを見て、めちゃめちゃかっこいいなと思いました。憧れるだけでなく(そうなれるよう)頑張りたいと思っています。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

D.LEAGUEとは、“世界中すべての人に「ダンスがある人生」をもたらす”をミッションに、活動を通じてダンスへの認知・理解・共感を実現し新しい文化と産業構造を創造する、2020年8月に発足した日本発のプロダンスリーグです。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント