早大野球部【連載】春季リーグ戦直前特集『HERO』 第1回 伊藤樹

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 廣野一眞

ついに始まる東京六大学春季リーグ戦。ここまでの対外試合は大学生相手に負けなし、社会人相手にも収穫のある試合を積んできた。2020年秋以来の優勝、そして日本一を目指す選手、監督にお話を伺った。

第1回に登場するのは、投手陣の軸として期待される伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)。昨季は第二先発としてチーム最多の4勝を挙げる活躍を見せた。この春、新たにエースナンバーを背負い東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)に挑む伊藤樹の胸中に迫った。

「丁寧に丁寧に投げる」

【早稲田スポーツ新聞会】

ーー改めて浦添キャンプはどのようなテーマで臨みましたか

 冬から通して平均球速のアップと、それに伴って最高球速が上がればいいなということに重点を置いて練習を重ねてきました。沖縄では試合もありましたし実戦での球速アップを目標にしていました。結果的に思ったようにはなりませんでしたが東京に戻ってきてからの2、3試合がすごくいい状態で来れてるので、それを考えたらいいキャンプだったと思います。

ーー球速を上げるためにどのようなトレーニングをされましたか

 継続してウエートトレーニングをしたのに加えて、片足スクワットや小学生がよくやるマット運動で側転とか柔軟性を生かした動きなどをいろいろ並行してやりました。

ーーキャンプでは社会人チームと対戦されましたが、社会人の打者と対戦してみていかがでしたか

 エナジックという社会人チームと対戦したときに先発させてもらって、2巡目からの打者の対応の違いを感じました。実力不足を感じた部分もありましたし、配球とか考え直さなければいけないかなという部分とかは多かったので、大学生との対戦では味わえないレベルの高さがすごかったです。

ーー沖縄キャンプを総括して収穫と課題はどのようなところでしたか

 練習が続いていて多少の疲労ももちろんありましたが、社会人チームを相手にすると6回2、3点くらいに収めるくらいのレベルしかまだないという感じで自分の実力不足を感じました。収穫としては、丁寧に丁寧に投げるというところはかなり染み付いてきたなと思います。昨秋のリーグ戦を通してなんとなくつかんでいた、四球を無くしてしっかりとゾーンに投げ込むというのはかなりできるようになってきたのかなと思います。

ーー同期や後輩の投手にアドバイスをされましたか

 いつも一緒に練習をするのは宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)で、同期だったら梶田笙(スポ3=大阪・早稲田摂陵)です。特に宮城に関しては、同じ先発としてどういった風に投げれるのかという意見交換を結構しました。

ーー新体制対談では、投手陣のまとめ役がまだ不在であると、おっしゃっていましたが実際にはいかがでしたか

 沖縄(キャンプ)に関しては鹿田さん(泰生、商4=東京・早実)がいろいろ練習のサポートに回ってくださりました。(鹿田投手は)アドバイスというか数値や動画を見て意見交換をするのが好きなタイプの人で、ピッチングでは一緒に見て積極的に話しているところを見ました。そういった部分では4年生としてやるべきことをやってくれてるなと思いますし、登板に関しては全然投げていないので僕が結果で示さなければという感じです。

ーー投手陣は経験の浅い投手もいますが、その中でどういった役割を果たしていきたいですか

 神宮での(登板)経験は少ないですが、高校ではエースとして投げてきた子たちが多いので、そんなに経験不足がああだこうだという感じではないなと思っています。リーグ戦の空気感とか、ずっと先発をやってきた子が中継ぎに回ったり抑えに回ったりしている中で、僕は2年間抑えとか中継ぎ、先発と全部やってきたので、もっとこういう感じでいったらいいんじゃないかとか、調整の方法とかをみんなで模索しながらやれているので、すごくいい状態なのかなと思います。

ーー早同定期戦やオープン戦では良い状態のように見えましたが、いかがですか

 かなり良くなってきているなと思います。先ほども言いましたが、丁寧に丁寧に投げることは、かなり自分が求めているレベルくらいにはできるようになりました。あとはそこからもう一つ球速を上げたりとか、ピンチをつくった後のギアの入れ替えとか、実戦でしか発揮できない部分の積み重ねだと思うので、非常に良くなってきてるかなと思います。

ーー球速は今のところどのくらい出てるか教えていただけますか

 146キロまでは出ました。

ーー変化球の精度はいかがですか

 スライダーをしっかり投げようというのを冬を通してやっていました。もともとスライダーを得意としてやっていましたが、カットボールとかスプリットの方が効果的かなと2年目を通して思い、そこに頼ってしまった部分がありました。なのでそこに加えて、一番自信を持って投げられていたスライダーをしっかり投げ切ることができれば、自信につなげることができるので、スライダーは一番大事にして投げてます。

ーー実際に打者と対戦してみて手応えを感じるのはどういうところですか

 ストレートに対する打者の反応が変わったなと思います。

ーーフォームや投球スタイルに変化はありましたか

 グローブを出す位置を変えたりとか、セットポジションの際、少しノーワインドアップにしてみたりとか模索しながら投げています。

ーー課題を挙げるとしたらどのようなところですか

 やはり球速のところや真っすぐの高さですかね。試合中にある程度、ボンっと雑な感じで投げることができるなと感じたので、あとはどれだけストレートを速く投げてファールを取れたり、空振りを取れたりができるのかというところです。

ーーここまでの投球で小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から何か言葉はありましたか

  沖縄キャンプの時に、自分が目標としていたところまで全然達していなくて結構焦っていてお話を伺いに行きました。「まあまあだよ」という感じで言われて、自分で思っているよりも悪くはないんだなと思って、落ち着きを取り戻しました。

「とにかく勝ちたい」

ーー今シーズンはエースナンバー「11」を背負ってプレーをしますが、心境はいかがですか

 3年生で11番をつけて投げるのは早大野球部の歴史上、本当にまれなことで、背番号や歴史を大事にされる監督から3年生で11をいただいたのは、期待とか責任を感じます。もちろんそれに対して、期待に応えたいなと思いますし、チームで一番投げてきてこれからも投げていかないといけない中で、そのような役割があるんだなという自覚はしてます。あとは結果で応えたいと思います。

ーーバッテリーを組む印出太一選手(スポ4=愛知・中京大中京)は主将を務めていますが、伊藤樹投手から見てどのような主将、捕手ですか

 主将としては、昨年の(主将の)森田さん(朝陽、令6社卒)とは違ったタイプの主将です。今年は昨年に比べて活気みたいなものはあまりないですけど、やることをしっかりやっていこうとか準備の面や計画性では、客観的な分析をして練習とか試合を進めていくというのは、印出さんの性格が出ていると思います。キャッチャーとしては、とにかく丁寧に丁寧に相手を見ながらケアするところをケアして進めていく感じのキャッチャーなので、すごい印出さんらしいチームだなと思います。

ーー他大学のエース格の投手と投げ合うことに関してはいかがですか

 楽しみでしょうがないと自分の中で思っています。(カードの)第1戦で勝利することはチームにとって、とても大きなものだと思うので、他大学のエースに勝ち切って5勝以上挙げることが大きな目標です。とにかく勝ちたいという気持ちです。

ーー特に対戦するのが楽しみな投手はいますか

 どこもそんなに変わらないというか、人を気にするタイプではないので(笑)。

ーー初戦は立大との対戦になります。昨季の対戦では完投勝利を挙げられましたが、どのような印象をお持ちですか

 印象としては足とかを使って、作戦を絡めながら点を積み重ねていくタイプだなと思っています。昨年の秋は丁寧に丁寧に投げ切った結果が9回1失点での完投勝利だったので、それの再現をしたいなと思います。

ーー試合の展開によっては中1日で第3戦に先発することも考えられますがいかがですか

 もちろんきついとは思いますが、冬を通して(第3戦も)投げるつもりで準備してきたので、特に問題はないかと思います。

ーーバッティングに関して、先日の関東学院大戦で適時打を放つ活躍を見せましたが、打撃の自信はいかがですか

 自信はないですけど(笑)、いい意味で割り切っています。どんなかたちでもヒットゾーンに飛べば、何も変わらないヒットだと思うのでできるだけ打ちたいなと思います。

ーーご自身のリーグ戦の目標を教えてください

 分かりやすく言うとタイトルを取ることで、最多勝や最優秀防御率を取りたいなと思います。

ーー最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

 エースとして、第1戦や第3戦でしっかりと勝ち切って、自分のタイトルと共にチームを優勝に導きたいなと思います。

ーーありがとうございました!

【早稲田スポーツ新聞会】

◆伊藤樹(いとう・たつき)
2003(平15)年8月24日生まれ。176センチ。宮城・仙台育英高出身。スポーツ科学部3年。今季から背番号「11」を受け継いだ伊藤樹投手。「早慶6連戦」で大活躍した安藤元博氏(昭37教卒)から、昨年の大黒柱・加藤孝太郎(令6スポ卒=現JFE東日本)まで名投手が背負ってきた伝統ある背番号です。名実ともに早大のエースとして、優勝へ導く投球に期待が高まります!
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント