第一生命 D.LEAGUE 23-24 ROUND.12!avex ROYALBRATSがシーズン初のスウィープ勝利!MVDはKooDa!

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avex ROYALBRATS 【D.LEAGUE】

世界最高峰のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE 23-24」(以下D.LEAGUE)のROUND.12が2024年4月7日、東京ガーデンシアターにて行われた。CSことチャンピオンシップの残り5枠をかけた上位チーム同士のぶつかり合いだけでなく、全チーム各チームの強みが存分に溢れた見どころの多い作品のオンパレードであった。avex ROYALBRATSが今シーズン初のスウィープ勝利、JUNPEIと共に振り付けを行ったKooDaがMVDを獲得した。結果は以下。

1st Match:DYM MESSENGERS VS SEGA SAMMY LUX(5-1)
2nd Match:avex ROYALBRATS VS Medical Concierge I'moon(6-0)
3rd Match:Valuence INFINITIES VS KOSÉ 8ROCKS(3-3)
4th Match:SEPTENI RAPTURES VS FULLCAST RAISERZ(1-5)
5th Match:CyberAgent Legit VS KADOKAWA DREAMS(4-2)
6th Match:LIFULL ALT-RHYTHM VS dip BATTLES(1-5)

今シーズン初スウィープのaRB、連続スウィープでCS出場なるか!?

2nd Matchでのavex ROYALBRATS VS Medical Concierge I'moonではaRBが今シーズン初のスウィープ勝利を収めた。

先攻のaRBは「Sick」、ヤバい、イケてるという意味のスラング(海外の流行り言葉や崩し言葉)をテーマに起用。SICKは直訳すると病的、むかつくなど、ストレートに訳すと悪口と取られる言葉だ。スラングではネガティブな言葉が褒め言葉として使われることも多い。例えばCRAZY、頭おかしい(ほど普通は考えつかない)凄さといった意味で使われたりする。スラングについて知ることで、新たな価値観やかっこよさの視点を得られ、よりD.LEAGUEを深く味わえる。

ショーはシンプルにリズムを刻む音から始まり、細かなリズムでの完全なシンクロ。頭の位置を固定したままステップを踏み続けたり、Shiggyのアクロバットから、機械的な直線や円の運動をベースにした腕や脚技を途切れなく高い密度で続け、フォーメーションにも落とし込む。

avex ROYALBRATS 【D.LEAGUE】

一方のI’moonは「COLORS」をテーマに、マネキンが踊り出す世界に迷い込むというストーリーの作品を展開する。人が見ていないところで動く「だるまさんが転んだ」で前半は展開し、中盤からはドラムに合わせた高度な音ハメ。後半はマネキンと一緒に踊り出し、エンタメもダンスもしっかり盛り込んだ作品だ。色を使った照明へのこだわりもI’moonのカラフルな世界観と魅力をしっかり強調している。

ホラー映画や「志村後ろ後ろ」など、視聴者はわかっているが、主人公が何も知らず危機が迫っているという展開は没入感がありヒヤヒヤしてしまう演出だ。着目点が面白く、Dリーグではあまり使われてこなかった印象だ。

バッグがキーアイテムとなり、マネキンが人間を振り回すという構成だが、一部照明が暗く、バッグがはっきり映らない場面もあり、なぜバッグなのか、最後のマネキンと踊るルーティーンは仲良くなったのか踊らされているのか、など伝わりにくい部分をジャッジがどう評価したか、コメンタリー動画をぜひ見てほしい。

Medical Concierge I'moon 【D.LEAGUE】

スウィープ勝利が決まった瞬間、JUMPEIと共に今回振付を担当したKooDaが泣き崩れる一幕もあり、チームとして今シーズン、ジャッジや多くの人にどう伝えれば良いかを模索し続けた、表に出さない努力が見事に花ひらいた瞬間であった。

コレオグラフというジャンルは自由度が高く、王道のHIPHOPからSNSなどでの話題のステップまで、この音や歌詞にこの振り、というセレクトセンスが抜群に高いのがaRBの強みだ。

2シーズン目でメンバーが総入れ替えしたが、タイトな振り付けの中での抜きのうまさ、遊び心、高い水準でアイソレーションとシンクロを使いこなすという共通点は健在で、ゲームで例えるなら「理論値が出せれば最強」というチームだ。

しかし一方でaRBの「常に高いクオリティの作品を見せてくれる」という安心や期待感が今シーズンは足枷となってきたように思える。首位のLegit相手にドローに持ち込む実力がある反面、KD、INFINITIES、DYMなどピーキー(尖りすぎた)作品との相性は悪く、思うように勝利を掴むことができなかった。残り試合では超変化球のALT-RHYTHM、超豪速球のRAISERZと、どのような戦略で物語を動かすのか、トリックスターとしての活躍を期待したい。

今シーズン初のSPダンサーなしのラウンド!上位2チーム対決。ブレイキン対決。

本ラウンドは、SPディレクターはいるものの、今シーズン初のSPダンサーなし、純粋なDリーガーだけの試合となった。CSに進む切符を掴むための大事な試合だからこそ、自分達で掴みにいく、という覚悟が伝わってくる。

そんな中、5th MatchのCyberAgent Legit VS KADOKAWA DREAMSは、前回までのランキング1位と2位の対決ということで注目が集まった。

Legitは今回ほとんどのメンバーにソロがある構成でKANATOがキーマンとしてメンバーからいろんな色のLegitを引き出していく。それぞれのパートでソロから得意な音どりをクリアに見せ、何をやりたいかを明確に示していく流石の構成力。音と場面転換で2分強とは思えない密度のショーに仕立て上げ、最後の階段上でストップする終わり方はLegit初の試みだという。

CyberAgent Legit 【D.LEAGUE】

KDはSPコレオグラファーに、KELO Hiraiを招聘。今までほぼ全てのディレクションを自分達で行なってきたKDとしては異例で、この勝負への本気度が伝わってくる。入場の時点でMINAMI以外がベンチコートを脱ぐという演出も珍しく、黒い衣装に身を包んだメンバーと、神妙な表情のMINAMIを見て、これから何が起きるのか、会場に緊張が走った。

ボタニカルな棺桶型のステージ装置に献花する演出から始まり、フィンガータット、表情をを見せたり暗くしたりを繰り返す照明演出。振り付けも繰り返しを用いることで、グロテスクな世界観を作り上げていく、まさに振り切りすぎたピーキー作品。Rebornというテーマに沿って見ると機械的な動き、日常生活では行わない動きを多分に取り入れることで、命(感情や人らしさ)と無機質さとの対比が描かれている。

クライマックスでは棺桶からMINAMIが登場し、全員が衣装チェンジ。スキンヘッドの特殊メイクを披露するなどとにかく印象値が高い作品であり、逆に全て伝わりきらないことで不気味さやメッセージ性の深さを思い知らされるようなクリエイションだ。

KADOKAWA DREAMS 【D.LEAGUE】

この注目の一戦は結果的にLegitの勝利となったが、試合後のインタビューでTAKUMIは「リハで見て緊張感を全員が持った。なぜ勝ったのか自分達でもわからない。前衛的でアートを感じさせるいい作品で、危機感を持っていた。結果が出るまで、昨年のCSの結果発表を待っている時と気持ちが重なって泣きそうになった」と語っていた。

また、3rd MatchではValuence INFINITIES VS KOSÉ 8ROCKSのブレイキンチーム対決が行われた。

INFINITIESはムーディーなジャズに合わせたBEBOPを取り入れたステップを基調とし、今シーズンで一気にパワーアップした立ち踊りだけでなく、フロアブレイキンもガッツリ揃え、雰囲気やソロの強さを見せつける。さらにチームの核弾頭TSUKKIのヘッドスピンをしながら横にスライドを6回繰り返しステージ中央に移動するという人間離れした技を成功させ、そこから姿勢と勢いを保ったままエアートラックスを続ける離れワザ。赤い靴下もスタイルポイントが高い。

Valuence INFINITIES 【D.LEAGUE】

KOSÉ 8ROCKSは「ピースミーティング」をテーマに、「Hoe Avenue Peace Meeting」という実際にあった歴史的な一幕を作品化した。ストーリーテラーYOUTEE のソロから始まり、ギャングの抗争と和平をブレイキンで表現する。バトルのような展開だったものが、次第にチームを離れてのコンビネーションが始まり、一緒に良い文化を作ろうという流れになる。

冒頭のYOUTEEのトップロック(52 Blocks)も実は意味があり、窃盗や強盗、暴力が当たり前の時代に、格闘技や護身術の要素を取り入れできたダンスだという。争いの頻発する世界で、自分の命を守らねばならない、という時代背景から生まれたステップだ。これは黒人奴隷がアメリカ移民船で運ばれる中、自分たちの身を守らなければならないという環境から、カポエイラを生み出し、格闘技ではなくダンスと偽り踊っていたことと根底で通ずるものがある。

KOSÉ 8ROCKS 【D.LEAGUE】

0〜80年代、HIPHOPの生まれたアメリカでは様々な国から黒人たちが集められ、国や文化ごとにギャングチームを作っていた。

クラブを縄張りと主張し活動していたギャングたちが、あるアーティストが抗争を調停しようとして死亡したのをきっかけに、文献によると30以上のギャングの代表がHoe Avenue にあるクラブに集まり、話し合い休戦に至ることになった。

ギャングの暴力が根絶したわけではないが、緊張の緩和と団結をもたらし、後にHIPHOPと呼ばれるムーブメントへと繋がったのがこの「Hoe Avenue Peace Meeting」だという。

レギュラーシーズン優勝はLegitとRAISERZの一騎打ち

ROUND.12を終え、CSPの差でレギュラーシーズン優勝できるのはLegitとRAISERZに限られた。結果次第では次回、多くのチームのCS進出、そしてレギュラーシーズン優勝が決まる。

当然ながら次のラウンドはCS進出をかけた残り5枠を争う1番の山場となるだろう。その上、現在3位のKDがNO MATCHとなるため、シーズンの最後までランキングは大荒れすると考えられる。

また、残念ながらCS進出ができないチームも、残りのラウンドで次のシーズンへの布石や、実験的な作品への挑戦が可能となり、注目したいポイントだ。

ALT-RHYTHMに勝利したdip BATTLESのKENSEIは試合後のインタビューで「今年一年は新体制になっての準備期間。いろんなことを学び一周回って元の自分に戻ってきた。残りのラウンドでは来シーズンで脅威になると思わせるような片鱗を見せたい。」と語っていた。

dip BATTLES 【D.LEAGUE】

各チーム、残り試合への追い込みと並行してオフシーズンにファンと交流する機会やパワーアップするため、アイデア出しを行なっているようだ。次回5月3日のROUND.13まで時間があるため、Dリーガーの出演するイベントや、各チームのSNS、過去のインタビュー記事などをチェックし、ぜひDリーグの楽しみ方を増やして欲しい。また、来シーズンへのリクエストや、応援の言葉を引き続き発信していただきたい。
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著者プロフィール

D.LEAGUEとは、“世界中すべての人に「ダンスがある人生」をもたらす”をミッションに、活動を通じてダンスへの認知・理解・共感を実現し新しい文化と産業構造を創造する、2020年8月に発足した日本発のプロダンスリーグです。

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