【ラグビー/NTTリーグワン】「初めてのホストゲームは楽しかった」。 入社6日目のルーキーが感じた声援を背に戦う喜び<BR東京 vs 横浜E>

リコーブラックラムズ東京 山本嶺二郎選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
BR東京 12–31 横浜E


リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)は4月6日(土)、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で横浜キヤノンイーグルスと対戦し、12対31で敗れた。

「めぐりめぐったチャンス」で2キャップ目を獲得したのは、BR東京の山本嶺二郎。今年3月に明治大学を卒業し、4月1日に入社式を終えたばかりの“新入社員6日目”のルーキーだ。

リーグワンデビューは、前節・東芝ブレイブルーパス東京戦だった。アーリーエントリーながら落ち着いたプレーでチームに勢いをもたらすと、一時同点に追い付く反撃の下支えとなった。試合後、ピーター・ヒューワット ヘッドコーチからは「良いスタンダードを持ってプレーできている。継続して信頼を築き上げていってほしい」と好評価を得れば、自身でも「思ったよりやれたかな」と及第点を与えた。

2戦連続の出場となったこの日も、後半開始から出場すると、早速ラインアウトでジャンパーに。その次のマイボールラインアウトでも連続してボールを獲得するなど、セットピースの安定に大きく貢献した。「僕が出場するのは、先発のマイケル・ストーバーグが疲れてきているタイミング。『ラインアウトのジャンパーになる機会は多くなる』とのマインドセットを持っています」と控えとしての心の準備を万端に挑んでいる。

そのあとも、40分をとおして数多くのブレイクダウンでサポートプレーヤーになるなど、BR東京らしい泥臭さを体現。明治大学時代には先発が多かったからこそ、自身がかつて控え選手に求めたエナジー役を務めた。

入社式には出席したものの、グラウンドにとんぼ返りしたため会社の同期たちとは、まだ交流ができていない。ただ、多くのファンの声援を背に戦う喜びを、いち早く知ることができた。

「初めてのホストゲームは、応援のコールが大きくてすごく楽しかったです」

闘志を秘めた笑みで、次の戦いへと向かった。

(原田友莉子)

リコーブラックラムズ東京のピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(左)、武井日向キャプテン 【©ジャパンラグビーリーグワン】

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ


「残念です。自分たちらしくない前半でした。正しいエリアに侵入してからの精度が欠けていたと思います。セットピースでは2本モールでのトライを与えてしまい、残念でした。前半はそういう意味も含めて、自分たちの流れを作れなかったです。後半は控えの選手が良いパフォーマンスを見せてくれたと思います。どうすべきなのか、何をすべきなのか、それを控えの選手はスターティングメンバーに見せてくれたのではないかと思います。

アーリーエントリーの二人、山本嶺二郎とサミュエラ・ワカヴァカはすごく良かったと思いました。経験のある選手に対して、このジャージーを着る意味を見せてくれたのではないかと思います」

――ロックでジョシュ・グッドヒュー選手でなくハリソン・フォックス選手を起用したのは、けがでしょうか?
「けがです。前節のブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦に出ていて、今日出ていないメンバーはけがの関係です」

――今日出場したアーリーエントリーの二人について、来週以降の試合でも先発というお考えもあるのでしょうか?
「そういうオプションももちろんあると思います。僕の哲学、考え方として、年齢は関係ありません。プレーがしっかりできれば、年齢は関係ないです。あの二人に関してはしっかりとやれるということを見せてくれています。チームにとっても、いまはトランジションフェーズなのかなと。(山本、サミュエラ・ワカヴァカの)二人を含め、他のアーリーエントリーメンバーもすごく良いと思います。継続して成長してパフォーマンスを見せてくれれば、チャンスは巡ってくると思います。(武井日向キャプテンのほうを向きながら)隣にいる彼がみんなを良くリードしてくれているので、日向を含めた若い選手たちがこのチームの未来だと思います」

――奮起を期待している、ということでしょうか?
「もちろん。良いエナジーを加えてくれました。南(昂伸)も良かったですね。『何か変えよう、そうしたい』という気持ちが見えたと思います。『インパクトを与えたい、何かを変えたい』と思うような選手が欲しいです。もちろんミスはあるだろうけど、会社のため、着ているジャージーのため、仲間のためにやれることは何でもやりたいと思う選手は多いほうが良いですね」

リコーブラックラムズ東京
武井日向キャプテン


「自分たちのミスから自陣に入られて、そこでモールでスコアされてしまいました。逆に自分たちにもチャンスは巡ってきましたが、敵陣に入ったところでの精度が悪く決め切れなかった。チャンスをものにできた横浜キヤノンイーグルスと、できなかった僕たち。それでどんどん差が開いてしまった試合だったと思います」

――チャンスの数は変わらなかったと思いますが、決め切れなかった要因はどこだと考えますか?
「特に前半のモールは簡単にトライを与え過ぎてしまったと。あそこで止めないとダメですし、相手のやりやすいようにディフェンスをしてしまったと思います。確実に改善しなければいけません。僕たちのモールも、ラインアウトはしっかりと取れましたがそのあとの動きについては精度を上げていかなければと思います」

――チームが「トランジションフェーズにある」ということですが、雰囲気はいかがでしょうか?
「若い選手にエナジーはすごくありますし、いま出ているメンバーが毎回出られるわけではないので競争は確実に上がっています。フレッシュな選手が結果を出しているのも、正しい準備があるからだと思います。僕自身、チームのために体を張ろうと思ってプレーしているので、そういう思いをもってプレーしてくれる選手がもっと増えれば、良い方向に進んでいくのではと思います。フレッシュなメンバーは特にそういう思いが強いです。話していても熱い思いをもっているので、若い選手がそういう姿を見せることで、ほかのメンバーも一緒になって良い方向に進んでいければいいと思います」

――前節・BL東京戦では後半に巻き返せた場面がありました。
「控えの選手たちのマインドセットがすごく良いです。どういうプレーを求められているか、ということに対して100%アクションができています。そういうことも一つの要因です。試合はどんどん状況が変わっていくので、“次の仕事”というマインドセットができていれば、やるべきことは明確になってくると感じます。良い意味で引きずらないように、ミスをしても次の仕事で自分の役割を実行するというマインドセットが大切です」

横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(右)、梶村祐介キャプテン 【©ジャパンラグビーリーグワン】

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督


「勝ち点5を取れたのはいいことですが、試合内容と試合レベルは本当に満足のいくものではありません。来週はショートウィークですが、やることを明確にして、自分たちの目指すレベルでプレーしないとトップ4、そして、それ以降のシーズンに影響が出てくると思います。こだわっていきます」

――満足がいかなかったのはどのあたりで、どう改善したいでしょうか?
「スキルにおいて、簡単なアンフォースドエラー(自分たちに原因があるエラー)が多かった。相手のプレッシャーではなく、自分たちでエラーしている場面も多いです。焦ってコントロールできない状況もあります。そういった『メンタルの状況とパフォーマンスをつなげるコネクション』が、まだ(足りない)。経験と、あとはグラウンドの中でどうやって修正するかというコミュニケーションに、まだまだレベルアップが必要だと思います」

――ジェシー・クリエル選手の姿も会場にありましたが、今後の見通しはいかがでしょう。
「もうそろそろ復帰できると思います」

――ファーストトライ後のペナルティの多さはどう感じましたか?
「ミスも、コントロールを失っているミスなんです。スペースに対して自分でスピードをコントロールできていない。スペースを生み出すのは、スピードの緩急なんですね。そこをコントロールしないと簡単なミスが起きるので、速いだけだとラグビーは絶対無理です。

なので、速さをしっかりコントロールできる能力が、まだ(足りない)。ウチの選手でいうとメンタルですね。技術はもっているので、プレッシャーが掛かるシチュエーションでコントロールできるのも、スキルだと僕は思います。しっかりこだわっていかなければと思います」

――昨季と比べて1試合あたりのペナルティ数が減っていますが、チームとして意識していることを教えてください。
「めちゃくちゃ練習しています。チームにレフリーのライセンスを持った人が一人いて、めちゃくちゃ厳しいレフリングでトレーニングしています。ちょっとでもグレーなプレーをしたらすぐペナルティ、という状況を作っています。今季に関していえばペナルティ数は少ないですが、今日はもっと対応していかないといけないと感じました。ゲームのシチュエーションによって、絶対そういう時間帯がくるんです。レフリーも人間ですしね。そういうときでも、しっかりとクリアに見せる見せ方、例えばスクラムもそうです。そういう対応の仕方が必要だと思います」


横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン


「取らないといけなかった勝ち点5を取れたことをうれしく思っています。ただ、自分たちが求めるレベルではなかったですし、このレベルでプレーしていたら昨季を超えることは絶対にできないので、もう一度自分たちにベクトルを向けて、自分たちが求めるレベルでプレーできるように、来週は準備期間が1日短いですが、チームとしてもう一度コネクトして準備していきたいと思います」

――満足がいかなかったのはどのあたりで、どう改善したいでしょうか?
「ベーシックスキルのレベルが低かったと思っています。今日はゲームの締め方が最悪だったと思っています。取らなくていい選択を自分たちで取って、自分たちでリスクを高めてしまった。ああいうゲームの締め方をしていると、今後同じ状況になったときにボーナスポイントを失ったり、勝てるゲームを落としてしまったりするので、今日のゲームから学んで次に生かしたいと思います」

――アンフォースドなエラーが出てしまった要因は何でしょうか?
「ゲームをとおして、モメンタムは常に自分たちにあったと感じています。だからこそ、いろいろなスペースが見えてしまって、そこにやみくもに走りに行ってしまった。自分たちの足をコントロールできずに、自分たちからプレッシャーを掛けてしまった、というところに要因があると思います」

――前半の入りは良かったですが、そこから相手に合わせてしまう形で流れが悪くなった要因を教えてください。
「ベーシックスキルが乱れて、特に相手陣22mに入ってからの精度が10分以降落ちました。チャンスは作れていたのですが、フィニッシュまで持っていけなかった。今日に限っての課題ではなく今季のチームがずっと抱えている問題です。このまま引きずっていたら絶対また影響してくるので、すぐに修正していきたいと思います」

――ご自身のトライの場面を振り返ってください。
「ハイボールのこぼれ球にほかの選手が反応して、そのサポートについていた僕がトライを取れただけです。ただ、ハイボールは競りにいこうという話をここ最近ずっとしていて、こぼれ球への反応を高めることでチャンスが生まれると話していました。そういう準備から生まれたトライかなと思います」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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