最終ラインから左足で試合を組み立てるアレックス・グリーンウッド :: P2W012 :: WSL Watch #055
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キックの精度と戦術眼を併せ持つ貴重な左利きの技巧派CB
で、アレックス・グリーンウッドの素晴らしさについて言及するなら、まずは左利きのキックが上手いCBの重要性と希少性について触れる必要があると思ってて。保持型のチームが左利きのCBを獲得したがるようになって、それまで以上に大金を使ってでも獲得するようになったのはメンズ・フットボールの世界でもわりと最近で、例えば、ペップ・グアルディオラ(Pep Guardiola)率いるマンチェスター・シティのメンズ・チームがスペイン代表DFのアイメリク・ラポルテ(Aymeric Laporte)を獲得したのが2018年1月だったんだけど、当時は移籍金が高すぎるって批判もありながらも世間の期待以上の活躍を見せて、結果的に左利きCBの重要性により大きな注目が集まるようになった感じだったと思うんで、時期的には5〜6年前頃からだった気がする。もちろん、保持型のチームにおける左利きの左CBの重要性について詳しく説明したらものすごく長くなるからここではしないけど、マンチェスター・シティがその後に獲得したヨシュコ・グヴァルディオル(Joško Gvardiol)もそうだし、アーセナルのガブリエル・マガリャンイス(Gabriel Magalhães)もマンチェスター・ユナイテッドのリサンドロ・マルティネス(Lisandro Martinez)もトッテナム・ホットスパーのミッキー・ファン・デ・フェン(Micky van de Ven)もアストン・ヴィラのパウ・トーレス(Pau Torres)もそうだし、プレミアリーグ以外でもスペインのレアル・マドリーのダヴィド・アラバ(David Alaba)とかイタリアのインテルのアレッサンドロ・バストーニ(Alessandro Bastoni)もそうだし、最近の注目株だと同じくイタリアのボローニャのリッカルド・カラフィオーリ(Riccardo Calafiori)なんかもそうだと思うけど、近年のメンズ・フットボールの世界ではキックが上手くてビルドアップ能力が高い左利きのCBの需要が増えてて、必然的に市場価値がどんどん上がる傾向があって。もちろん、リヴァプールのフィルジル・ファン・ダイク(Virgil van Dijk)とかチェルシーのチアゴ・シウバ(Thiago Silva)みたいに右利きでも左CBを上手くこなす選手はいるし、左足が上手く使える右利きのCBだっているし、逆に左利きでも上手くなかったらあまり意味がないし、そもそもビルドアップにそこまで強いこだわりを持ってないチームだったら左利きであることよりも優先される能力があったりするんで、どんなチームでも必ず左利きのCBを求めてて獲得のために大金を使ってるってわけじゃないんだけど。ただ、それでも左利きのCBを(何なら総合的な守備能力には多少目をつぶっても)重要視するようなプレイモデルを採用するチームは増えてて、左利きのCBを上手くチームとして活かすことで成果を出してるチームが多いのは近年の傾向だってことは間違いないんじゃないかな。
ようやく、アレックス・グリーンウッドの話に戻るんだけど、"WSL Watch #008(https://note.com/jwf/n/n30037c00c6e2)"でも触れた通り、マンチェスター・シティのウィメンズ・チームの試合を観て「やってるサッカーがかなりシティじゃん」って思って、それから徐々にWSLを観るようになったんで、マンチェスター・シティの試合を中心に観てた最初の頃は気付いてなかったんだけど、他のチームの試合を観れば観るほど、さらに言えばUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグとかで他国の強豪チームの試合を観たり、FIFAウィメンズ・ワールドカップ(FIFAWWC)でいろんな国の試合を観たりすればするほど、「グリーンウッドみたいなCBって全然いないじゃん」「グリーンウッドみたいな左利きのCBって、特にウィメンズ・フットボールの世界ではものすごくレアなんじゃね?」って思うようになって。それが、「いろんなチームのいろんな試合を観れば観るほどその評価を上方修正したくなる選手」って書いた理由なんだけど。話がちょっと逸れるけど、ウィメンズ・フットボール全体でも、左利きのCBと同じくらい左利きのSBも不足してるように感じるかな。右利きの選手が左SBをやってるチームがけっこう多いんで。メンズ・フットボールも並行して観てる感覚だと。理由まではよくわかんないけど。ともあれ、「ビルドアップにそれなり以上にこだわる保持型のチームの監督だったら、グリーンウッドを欲しがらない監督はいないんじゃね?」って思っちゃうくらいの能力を持った左利きのCBだって言えるはず。
長野風花が語るアレックス・グリーンウッド
ちなみに、4月の代表ウィーク前の最後のリーグ戦、3月30日の18節はリヴァプール対マンチェスター・シティで。長野風花がケガから戻って4位に浮上したリヴァプールと優勝争いのためには負けられないマンチェスター・シティの対戦だからもちろん注目なんだけど、この長野風花(と長谷川唯)のコメントも頭に入れながら観るとより楽しめるかも? なんて思ったり。今シーズンの1巡目の対戦はマンチェスター・シティが5-1で快勝したんだけど、実はこの試合はウィンター・ブレイク直後の時期で、個人的には「リヴァプールがウィンター・ブレイク中に取り組んでた保持の部分、特に低い位置からのビルドアップに果敢にチャレンジしたんだけど、マンチェスター・シティのハイプレスの餌食になっちゃった」って印象で。もちろん、単なる憶測なんで本当にそうだったのかはわかんないけど、リヴァプールはそれまでよりも保持にこだわってるように見えたし、マンチェスター・シティは保持よりも非保持で主導権を握ってた感じで。今回は違った展開になることを予想してるけど、どっちにしてもすごく楽しみ。
クラブでも代表でもチームを支える貴重な人材
ユース年代からイングランド代表に呼ばれてて、フル代表デビューも2014年に飾ってる。2015年のFIFAWWCにも最年少のメンバーとして選ばれてて、主に左SBとして出場したらしい。2019年のFIFAWWCにも出場してるし、2022年のUEFAウィメンズ・ユーロの優勝と2023年のFIFAWWCの準優勝にも貢献してるし、通算代表キャップは90っていう素晴らしい実績を誇ってる。
とりあえず、マンチェスター・シティでもイングランド代表でも、いなくなると困るレベルの貴重な左利きDFって言って間違いないはず。
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