【ラグビー/NTTリーグワン】目標は桜のジャージー。 S東京ベイが誇る韋駄天の勝利への全力疾走を見逃すな<クボタスピアーズ船橋・東京ベイ>

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ リカス・プレトリアス選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

ボールを手にすると「何かやってくれるんじゃないか」と、観る者にそんな期待を抱かせる男がいる。南アフリカ共和国からやってきた新鋭、リカス・プレトリアスである。

「私が大切にしているのは、まずはラグビーを楽しむこと。そして、100%のパフォーマンスを発揮できるように毎試合毎試合にフォーカスしてチームに貢献することです」

昨季にクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)に入団したばかりの25歳。チームでは同期となる、同じく南アフリカ出身のスカルク・エラスマスは17歳のころから友人で、ストーマーズでは一緒にプレーしていた間柄。ちなみに、ピーター・ラピース・ラブスカフニは高校の先輩にあたる。そこにスカルク・エラスマスとピーター・ラピース・ラブスカフニがいたのはまったくの偶然だったものの、S東京ベイはリカス・プレトリアスにとってはフィットしやすい環境にあった。

「私にとってこの二人の存在はとても大きかったのですが、私はチームメート全員のことを大切に思っています。若手選手からも先輩選手からも、さまざまなことを学べます。また、スタッフを含め、チームの一体感がとても素晴らしいです」

ラグビープレーヤーとしてのあなたの強みは? この問いにリカス・プレトリアスは「ワークレートとアタッキングマインド」と答える。試合では縦横無尽にピッチを駆け回り、高い闘争心を持って敵陣に切り込んでいく。もともと足は速いほうだったが、日本のスピーディーなラグビーに対応すべく、来日に向けて体を絞ってきたという。

中でも圧巻だったのが、1勝3敗と苦戦を強いられる中で迎えた1月14日の第5節・コベルコ神戸スティーラーズ戦。後半残り時間1分、33対34とS東京ベイが1点差を追う展開の中、ボールをキャッチしたリカス・プレトリアスは敵陣10mラインから爆走。往年の元プロレスラージャンボ鶴田ばりの無尽蔵のスタミナでゴールまで走り抜き、チームに逆転勝利をもたらした。それは、S東京ベイが昨年までの勢いを取り戻した瞬間でもあった。

「仲間たちのおかげで、(トライの)チャンスを得ることができました。ゴールに向かって走っていたあの瞬間は、とても気持ちよかったです」

まさに“走り出したら止まらない男”。昨季の日本デビュー以降、一気に頭角を現してレギュラーメンバーに定着。現在はカテゴリB(日本代表資格獲得見込み)ながら、将来の目標として桜のジャージーを掲げる。

「日本代表になるという目標が、試合における大きなモチベーションになっています。だからこそ、一つひとつの試合にフォーカスし、ベストを尽くしていこうと思っています」

神戸S戦以降、チームは勝利を重ねてランキングも4位まで浮上。次節は、こちらも上り調子にある三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と対戦。果たすべき使命は、リカス・プレトリアスの中では明確になっている。

「これまで同様、先のことは考えずに、いまは相模原DB戦だけにフォーカスしています。チームのために、頑張ります」

リカス・プレトリアスが見せる勝利への全力疾走。その俊足は、オレンジアーミーの期待を裏切らない。

(藤本かずまさ)
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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