ピンチでさえわたるフォークボール。平野佳寿は決して走者をかえさない
オリックス・バファローズ・平野佳寿投手 【写真:球団提供】
昨季も守護神としてチームを支え、リーグ3連覇に貢献
平野佳寿投手 年度別成績 【(C)PLM】
ところが、1イニングあたりに許した走者の人数を示すWHIPはむしろ悪化しており、ファンが気をもむシーンも少なくなかった。このコラムでは、直近2年に比べると走者を抱える場面が多かった平野投手が、なぜこれほどの好成績を収めることができたのかを探っていきたい。
走者を抱えた場面を三振で切り抜ける
平野佳寿投手 2023年走者有無別の奪三振割合・被打率 【(C)PLM】
走者を許したあとはフォークを多用
平野佳寿投手 2023年0・1ストライク時の走者有無別球種投球割合 【(C)PLM】
割合を増やしたフォークがしっかりと機能
平野佳寿投手 2023年走者有無別フォークボールのボールゾーンスイング率 【(C)PLM】
もともと打者はランナーがいるとボール球への手出しが増える傾向があり、ストライクゾーンからボールゾーンへと変化するフォークは、こうした打者の打ち気をそらすボールとして大いに効果を発揮した。
空振りとファウルで打者を追い込む
平野佳寿投手 2023年走者有無別のスイングに占める各結果の割合 【(C)PLM】
またそれに伴ってインプレー打球の割合は減少しており、結果として打者を2ストライクまで追い込むケースが増加。走者なし時は打者を追い込んだ割合が44.7%と半数に満たなかったが、走者あり時は52.4%まで上がっており、より投手優位で打者と勝負することができていたといえる。
昨季の平野佳寿投手は、前年までと比べて走者を抱える場面こそ多かったものの、自慢のフォークボールを効果的に用いることで打者を追い込み、三振を奪うことでピンチを脱出。得点を許すことなくアウトを積み重ねていった。
2023年10月2日の北海道日本ハム戦では日米通算250セーブを達成。日本人では佐々木主浩氏、高津臣吾氏、岩瀬仁紀氏に続く史上4人目の快挙となった。チームには山崎颯一郎投手など優秀なリリーバーも多いが、40歳で開幕を迎える今季も、まだまだ守護神の座を譲るつもりはないだろう。オリックスが日本一を奪還するその瞬間、歓喜の輪の中心には平野投手が立っているのだろうか。
※文章、表中の数字はすべて2023年シーズン終了時点
文・データスタジアム
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