全球団に本塁打王クラスの主砲が存在? パ・リーグの“チーム内本塁打王”を振り返る

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福岡ソフトバンクホークス・近藤健介選手 【(C)Softbank HAWKS】

熾烈な本塁打王争いは今シーズンも見られるか

 2023年のパ・リーグでは、シーズン最終戦まで熾烈な本塁打王争いが繰り広げられた。その結果、浅村栄斗選手、ポランコ選手、近藤健介選手の3名が、26本塁打で並んでタイトルを獲得。また、万波中正選手もわずか1本差の25本塁打を記録し、戴冠まであと一歩に迫ってみせた。

 年間30本塁打を超えた選手こそ不在だったが、本塁打王争いを繰り広げた選手たちの所属球団が全て異なったことは特筆ものだ。それに加えて、残る2球団においてもハイペースで本塁打を記録した選手が存在していた点も、2023年を振り返るうえで興味深い要素の一つだ。

 今回は、2023年のパ・リーグ6球団でチーム内最多の本塁打を記録した選手たちを、実際の成績とともに紹介。さらに、各選手が本塁打を記録したペースを指標を通じて確認することによって、新たなシーズンにおける強打者たちの活躍にも期待を寄せたい。

万波中正(北海道日本ハム)

万波中正選手 年度別成績 【(C)PLM】

 万波選手は横浜高校時代から潜在能力を高く評価されており、2018年のドラフト4位で北海道日本ハムに入団。高卒4年目の2022年には100試合に出場し、持ち前のパワーを発揮して14本塁打を記録。打率.203、出塁率.237と荒削りな面も見られたが、一軍定着の足がかりを作った。

 続く2023年は141試合に出場して自身初の規定打席に到達し、シーズン最終盤まで本塁打王の座を争った。惜しくも1本差でキングの座は逃したものの、打率.265、出塁率.321と課題の確実性も大きく向上。外野手部門のゴールデングラブ賞を初受賞するなど守備でも長足の進歩を遂げ、チームに欠かせない主力選手へと成長を果たしている。

浅村栄斗(東北楽天)

浅村栄斗選手 年度別成績 【(C)PLM】

 浅村選手は2008年のドラフト3位で埼玉西武に入団。高卒3年目の2011年からレギュラーの座に定着し、2013年には23歳の若さで打点王を獲得。2014年以降は不動の二塁手としてチームを支え、2018年には自身2度目の打点王に輝く活躍でリーグ優勝に大きく貢献した。

 2019年に東北楽天へ移籍して以降も活躍を続け、2020年には120試合の短縮シーズンながら32本塁打を記録し、初の本塁打王に輝いた。そして、2023年は8年連続の全試合出場を達成するとともに、自身2度目の本塁打王を獲得。8度のベストナイン、2度のゴールデングラブ賞という受賞歴が示す通り、近年のパ・リーグを代表する名選手の一人となっている。

中村剛也(埼玉西武)

中村剛也選手 年度別成績 【(C)PLM】

 中村剛也選手は2001年のドラフト2巡目で西武(現・埼玉西武)に入団。5年目の2005年に22本塁打を放ってブレイクし、「おかわり君」の愛称が定着。2008年に46本塁打で初の本塁打王に輝くと、そこから史上3位の多さとなる6度の本塁打王、同6位の4度の打点王を獲得。通算471本塁打は現役最多の数字で、球史に残る長距離砲の一人となっている。

 2019年には36歳にして30本塁打、123打点を記録して打点王に輝くなど、ベテランの域に達しても強打を発揮してきた。2023年は4月に月間打率.369、7本塁打と序盤戦のチームをけん引し、打率.196に終わった前年の不振を払拭。故障の影響で88試合の出場にとどまったものの、チーム最多の17本塁打を放ち、OPS.819と復調を印象付けた。

グレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ)

ポランコ選手 年度別成績 【(C)PLM】

 ポランコ選手はパイレーツ時代の2016年に22本塁打、2018年には23本塁打を放つなど、MLB通算96本塁打を記録した実績を持つ。2022年に巨人へ移籍し、ライトのレギュラーとして138試合に出場して24本塁打を記録。NPB初年度から持ち前のパワーの一端を示した。

 2023年から千葉ロッテに活躍の場を移すと、シーズン序盤こそ不振に苦しんだものの、8月と9月の2カ月だけで13本塁打を放つなど、パ・リーグの水に慣れてからは本領を発揮。チームにとっては落合博満氏以来、実に37年ぶりとなる本塁打王を獲得し、指名打者部門のベストナインにも輝く大活躍を見せた。

森友哉(オリックス)

森友哉選手 年度別成績 【(C)PLM】

 森友哉選手は2013年のドラフト1位で埼玉西武に入団。2年目の2015年に20歳の若さでレギュラーに定着し、打率.287、OPS.825と好成績を記録した。プロ入り当初は指名打者や外野手としての出場が中心だったが、2018年以降は主戦捕手に定着。2019年には捕手としては野村克也氏以来54年ぶりとなる首位打者を獲得し、同年のリーグMVPにも輝いた。

 2022年のオフにFA権を行使し、地元球団のオリックスに移籍。同年は故障による離脱がありながら、リーグ4位の打率.294を記録し、出塁率.385、OPS.893とハイレベルな成績を残した。自身4度目となる捕手部門のベストナインを受賞する活躍を見せ、移籍初年度からチームのリーグ優勝に大きく貢献を果たしている。

近藤健介(福岡ソフトバンク)

近藤健介選手 年度別成績 【(C)PLM】

 近藤選手は2011年のドラフト4位で北海道日本ハムに入団。高卒4年目の2015年に自身初の規定打席に到達し、打率.326という好成績を記録してブレイクを果たす。2017年には故障で57試合の出場にとどまったものの、打率.413という驚異的なハイアベレージを記録し、「幻の4割打者」として話題を呼んだ。

 その後もリーグ屈指の好打者として活躍を続け、2019年から2年連続で最高出塁率を受賞。福岡ソフトバンクに移籍した2023年には長打力も大きく向上し、26本塁打、87打点で本塁打王と打点王の2冠を獲得。出塁率.431で自身3度目となる最高出塁率にも輝くなど、移籍1年目からまさに圧倒的な活躍を繰り広げた。

本塁打数に差はあるものの、ホームランの量産ペースに焦点を当てると…

 最後に、今回取り上げた各球団のチーム内本塁打王と、各選手の打撃成績を確認したい。

2023年 チーム内本塁打王の各種指標 【(C)PLM】

 本塁打王を獲得した浅村選手、ポランコ選手、近藤選手の3名はそれぞれ26本塁打を放ち、万波選手はそれに次ぐ25本塁打を記録。それに対して、中村選手は17本塁打、森選手は18本塁打と、純粋な本塁打数には少なからず差が生じている。

 しかし、本塁打を1本記録するまでにかかった打数を示す、「AB/HR」に目を向けると話が変わってくる。本塁打王を獲得した3選手のうち最もAB/HRが優秀だったのは、17.19という数字を残したポランコ選手だ。しかし、中村選手はそのポランコ選手を上回る、16.65というAB/HRを記録している。

 すなわち、中村選手は今回取り上げた選手の中で、本塁打を記録するペースが最も早かったということだ。また、森選手のAB/HRは21.33と、万波選手の数字(21.32)とほぼ同じ。これらの数字からも、ともに故障による長期離脱を経験した中村選手と森選手がフル出場できていれば、タイトルを争っていた可能性は大いにあったと考えられる。

6球団が本塁打王クラスの主砲を擁した1年を経て、2024年の本塁打王争いも要注目だ

 6球団全てが本塁打王クラスの力を有する主砲を擁したというシーズンは、歴史を振り返ってもそう多くはない。今回取り上げた6名の選手はいずれも同じ球団で2024年のシーズン開幕を迎えるだけに、2024年の本塁打王争いも要注目といえよう。

 今回取り上げた選手たちがパワーを大いに発揮して再び本塁打王を争うのか、それとも他の選手がそこに割って入る活躍を見せるのか。新シーズンのパ・リーグの戦いを彩るであろう豪快な本塁打の数々に、来シーズンもぜひ注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太
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