全球団に本塁打王クラスの主砲が存在? パ・リーグの“チーム内本塁打王”を振り返る
熾烈な本塁打王争いは今シーズンも見られるか
年間30本塁打を超えた選手こそ不在だったが、本塁打王争いを繰り広げた選手たちの所属球団が全て異なったことは特筆ものだ。それに加えて、残る2球団においてもハイペースで本塁打を記録した選手が存在していた点も、2023年を振り返るうえで興味深い要素の一つだ。
今回は、2023年のパ・リーグ6球団でチーム内最多の本塁打を記録した選手たちを、実際の成績とともに紹介。さらに、各選手が本塁打を記録したペースを指標を通じて確認することによって、新たなシーズンにおける強打者たちの活躍にも期待を寄せたい。
万波中正(北海道日本ハム)
続く2023年は141試合に出場して自身初の規定打席に到達し、シーズン最終盤まで本塁打王の座を争った。惜しくも1本差でキングの座は逃したものの、打率.265、出塁率.321と課題の確実性も大きく向上。外野手部門のゴールデングラブ賞を初受賞するなど守備でも長足の進歩を遂げ、チームに欠かせない主力選手へと成長を果たしている。
浅村栄斗(東北楽天)
2019年に東北楽天へ移籍して以降も活躍を続け、2020年には120試合の短縮シーズンながら32本塁打を記録し、初の本塁打王に輝いた。そして、2023年は8年連続の全試合出場を達成するとともに、自身2度目の本塁打王を獲得。8度のベストナイン、2度のゴールデングラブ賞という受賞歴が示す通り、近年のパ・リーグを代表する名選手の一人となっている。
中村剛也(埼玉西武)
2019年には36歳にして30本塁打、123打点を記録して打点王に輝くなど、ベテランの域に達しても強打を発揮してきた。2023年は4月に月間打率.369、7本塁打と序盤戦のチームをけん引し、打率.196に終わった前年の不振を払拭。故障の影響で88試合の出場にとどまったものの、チーム最多の17本塁打を放ち、OPS.819と復調を印象付けた。
グレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ)
2023年から千葉ロッテに活躍の場を移すと、シーズン序盤こそ不振に苦しんだものの、8月と9月の2カ月だけで13本塁打を放つなど、パ・リーグの水に慣れてからは本領を発揮。チームにとっては落合博満氏以来、実に37年ぶりとなる本塁打王を獲得し、指名打者部門のベストナインにも輝く大活躍を見せた。
森友哉(オリックス)
2022年のオフにFA権を行使し、地元球団のオリックスに移籍。同年は故障による離脱がありながら、リーグ4位の打率.294を記録し、出塁率.385、OPS.893とハイレベルな成績を残した。自身4度目となる捕手部門のベストナインを受賞する活躍を見せ、移籍初年度からチームのリーグ優勝に大きく貢献を果たしている。
近藤健介(福岡ソフトバンク)
その後もリーグ屈指の好打者として活躍を続け、2019年から2年連続で最高出塁率を受賞。福岡ソフトバンクに移籍した2023年には長打力も大きく向上し、26本塁打、87打点で本塁打王と打点王の2冠を獲得。出塁率.431で自身3度目となる最高出塁率にも輝くなど、移籍1年目からまさに圧倒的な活躍を繰り広げた。
本塁打数に差はあるものの、ホームランの量産ペースに焦点を当てると…
しかし、本塁打を1本記録するまでにかかった打数を示す、「AB/HR」に目を向けると話が変わってくる。本塁打王を獲得した3選手のうち最もAB/HRが優秀だったのは、17.19という数字を残したポランコ選手だ。しかし、中村選手はそのポランコ選手を上回る、16.65というAB/HRを記録している。
すなわち、中村選手は今回取り上げた選手の中で、本塁打を記録するペースが最も早かったということだ。また、森選手のAB/HRは21.33と、万波選手の数字(21.32)とほぼ同じ。これらの数字からも、ともに故障による長期離脱を経験した中村選手と森選手がフル出場できていれば、タイトルを争っていた可能性は大いにあったと考えられる。
6球団が本塁打王クラスの主砲を擁した1年を経て、2024年の本塁打王争いも要注目だ
今回取り上げた選手たちがパワーを大いに発揮して再び本塁打王を争うのか、それとも他の選手がそこに割って入る活躍を見せるのか。新シーズンのパ・リーグの戦いを彩るであろう豪快な本塁打の数々に、来シーズンもぜひ注目してみてはいかがだろうか。
文・望月遼太
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