来季の鹿島の監督についての私の考え

note
チーム・協会
【これはnoteに投稿されたタケゴラさんによる記事です。】
新たにアップされたロニー会議(https://www.youtube.com/@ronnie_ibaraki)の動画で、「岩政監督は来季続投すべきか?」というテーマで話しました。そこでは時間の都合もあって、全てを話すことはできなかったので、改めてできうる限り私自身の考えを記していきます。
過去に自分が考えて記したことはこちらにまとめてあるので、補足として読んでいただけると。

※リンク先は外部サイトの場合があります

まず結論として、私は「来季の鹿島は岩政監督ではなく、他の監督に託した方がいい」と思っています。

前提

そもそも私は、岩政さんが監督になった時からあまりよく思っていません。それは岩政さんに対する好き嫌いの話とかそういうわけではなく、あの状況で岩政さんが監督になることでチームとして上手くいく可能性がかなり低いと思ったので。前監督のレネ・ヴァイラーは自分たちのスカッドを見て、現実的に一番勝てるやり方を選んで、事実4月〜5月は首位にも立ちました。その後、チームは失速して急速に停滞感が漂っていき、結果ヴァイラーは解任されました。その時に、タイトルを目指していたチームとして解任のタイミング自体はまあ理解できたのですが、急失速の大きな要因の一つだった上田綺世を失ったことに対する補填が最後まで遅れたことへの考慮もあまりされた様子もなく解任したことに、拙速さは否めないなと感じていました。

そんな状況で監督になった岩政さん。この時の立場は、監督としての経験が(ヴァイラー合流前の代行期を除けば)大学での1年のみ、コーチとしてはアマチュアではまああるものの、プロとしては約半年だけ。実績や経験という後ろ盾はない状況です。この状況で、タイトルを目指すJ1チームの監督を託すのはかなり不安な材料でしたが、さらに加えて岩政さんは鹿島に新たなチームスタイルを根付かせるという作業をしようとします。しかも、そのスタイルは今までやってきたことの延長線上とはズレたものをゼロベースから。いやいや、ただでさえ監督ほぼ未経験の人にやらせるだけでも大変なのに、スタイルをイチから作ることまで託すのか、と。それは流石にタスクオーバーでしょ、と思ったわけです。

しかも、そのスタイル作りもどうやらクラブ主導というよりは、岩政さん主導ということが何となくわかってきます。え?クラブがこうしていきますって決めることのはずだけど、その意思とか方針の決定も新人監督に託すの?、って思いました。なんでクラブの命運を左右することを、指導者としてのキャリアが今後どうなるか未知数の人間に預けることができるのか、そのベット先は一般論で言うと不可解だなと言わざるを得ません。

これらを考えた時に、岩政監督としてチームが上手くいくだろうと考える材料よりも未知数な材料が多すぎて、あまりにも心許ない。なので、岩政さんをあのタイミングで監督にすることがよくないと思っていますし、結論としてクラブが岩政さんを続投させようとも退任させようとも、その決断には不満が残ることになってしまうな、と思っています。前提からして、なぜその選択をした?ということになるので。それって物事を批評するには卑怯だなとは思うんですけど。

理由

とはいえ今の議題を考えるに、これ以上過去のことを掘ってもアレなので、ここからは私の考えに至った理由の部分を話していきます。理由としては大きく2つあって、1つは「目標設定に対する進捗がよろしくないので、ゴールが見えないこと」、もう1つは「そもそもの今のスタイル自体が、クラブの特性に合っていないのではないか?」ということです。

理由①

「目標設定に対する進捗がよろしくないので、ゴールが見えないこと」、これはシンプルにいうと結果が出てないし、内容もよろしくないということです。

まずは結果の部分から見ます。今季クラブが掲げた目標は「タイトル獲得」(https://www.antlers.co.jp/news/club_info/90961)でした。私としては、それを踏まえて鹿島というクラブはこれくらいやってほしいなという論調で今まで触れてきましたし、まあ現実的に考えたとしても「この成績だったら、もうちょっと頑張ったら来季はタイトルいけそうだな」というところまでは辿り着いてほしいと思っていました。

ですが、現実はここまで勝点49のリーグ6位、ルヴァンカップベスト8、天皇杯3回戦敗退です。残念ながら、最後まで優勝争いには絡めたとは言い難い成績ですし、特にリーグ戦は順位云々よりも勝点が(今季はリーグ全体的に少ない傾向にあるものの)優勝を狙うにはあまりにも少なすぎる数字です。リーグ戦で優勝したいなら34試合制だと勝点70前後は大体必要ですし、そこに届かせるためには今季勝点60は欲しいところでした。ですが現状だと、残り2試合連勝しても勝点は55に留まります。これだと、一般的な予想値を超える大幅な積み上げがない限り、来季のタイトル獲得への期待値は難しい状況と言えます。

次に内容です。客観的に示す補助材料として、以下のデータを見ていきます。
得点:41(リーグ5位)
平均得点:1.3
ゴール期待値:1.105(リーグ16位)
攻撃回数:115.8(リーグ10位)
チャンス構築率:9.9%(リーグ12位)
シュート:11.4(リーグ13位)
シュート成功率:11.2%(リーグ4位)
敵陣ポゼッションからのシュート率:27.2%(リーグ4位)
敵陣ポゼッションからのゴール率:3.2%(リーグ1位)
自陣ポゼッションからのシュート率:11.3%(リーグ1位)
自陣ポゼッションからのゴール率:0.6%(リーグ12位)
セットプレーからのゴール数:13(リーグ1位)

失点:30(リーグ4位)
平均失点:0.9
被ゴール期待値:1.186(リーグ6位)
被攻撃回数:115.7(リーグ9位)
被チャンス構築率:9.6%(リーグ4位)
被シュート:11.2(リーグ5位)
被シュート成功率:8.1%(リーグ4位)

Football LABより(https://www.football-lab.jp/)

こう見ていくと、得点数や失点数、またポゼッションからのシュート率に関してはリーグの中である程度の成果を残していると言える数字が並んでいます。特にポゼッションからのシュート率に関しては、チームとして今季取り組んできたボールを繋いで組み立てながら、連動性かつ流動性を持った攻撃という部分が形になって現れている、と言える部分でしょう。

ただ、今季はリーグ全体的に得点数が少ないこともありますし、ゴール期待値やチャンス構築率、シュート数などを見ていくと下から数えた方が早い結果になっています。これはつまり、言うほどゴールチャンスになりそうな攻撃ができていない→得点数がそこまで伸びていない、ということが言えるかなと思います。それでも、得点数がリーグの中で上位に立てているのは、樋口雄太という優秀なキッカーと鈴木優磨という優秀なターゲットを擁しているのでセットプレーからゴールが稼げているから、という部分が大きくなっていて、この2人が今季の鹿島の攻撃でかなりコアな存在であると言える裏付けかなと思います。

当たり前ですが、サッカーは「どちらがより多くのゴールを奪えたか」で勝敗を競うスポーツです。そう考えた時に、仕込んだ攻撃の形を表現できていても、それがゴールを奪うチャンスにあまり繋がっていないということは、結果的にその形があまり効果的でないということに結びついてしまうかなという風に私は思っています。

また、守備に関しても失点数は優秀な数字を残していますが、攻められる回数はそこまで少なくないですし、チャンスを作られる回数も例年の鹿島と比べると決して低い数字ではありません。(https://www.football-lab.jp/kasm/season/)そう考えると、チームとしての守備を機能させているよりかは、やはり植田直通を中心とした個々の踏ん張りで止めているものが大きいのかな、という考察もできるかなという風に思います。

こうした部分から、タイトル獲得という目標値に比べての進捗が現状ではあまりにも芳しくないし、このペースでゴールに辿り着けるのかという部分が見えてこない、というジャッジを私の中ではしています。

理由②

2つ目のスタイル設定の話です。私はこれまで鹿島を見てきた中で、鹿島アントラーズというクラブは伝統的に「攻守に強度高くプレーして、攻守の切り替えの部分で優位性を示し、ソリッドな守備からのカウンターでゴールを狙う」ことに長けたチームだと思っています。走って戦える選手を多く揃え、攻守の切り替えというサッカーで一番不安定になりやすい部分で相手よりも優位に立てる。これが鹿島が代々武器にしてきた部分であり、これは監督が誰であろうとあまり変わらずに、多くの勝点をもたらしてきた要因の一つだと思っています。

ですが、今の鹿島は攻守の切り替えの部分での優位性をあまり示せていません。理由は、今までより流動的にポジションを動かすスタイルなので、ボールを失った時にポジションバランスが崩れていることが多いことスタイルが発展途上なので中途半端なボールロストがやたら多いこと、まずブロック守備からスタートするのでボール奪取位置が低く、相手ゴールまでの距離が遠すぎることが挙げられると思います。事実、カウンターからのシュート率は過去の鹿島と比べても今季は最低値を記録しています。(https://www.football-lab.jp/kasm/season/)

この今まで持っていた優位性を捨ててまで、今のスタイルをやるメリットがあるとクラブが感じている、クラブは今のスタイルを岩政監督がいようともいまいとも継続していく。それをクラブの中で意思決定していくなら、問題ないと思います。ただ、今のスタイルを選んでいるのがクラブ主導の意思決定というより岩政監督個人の意思決定におけるものだとするなら、岩政監督がいつかはわからないですが監督の座を降りることがやってきた時に、いくつかのエッセンスは残しても今後このスタイルをまた放り捨てる可能性は否定できません。そう考えた時に、今まで持っていた武器を捨ててまで、結果も進捗もよろしくないスタイル構築に来季も取り組む意義は何なのだろう。それで結果が出る保証は今のところ得られていないのに、という風に私は思ってしまいました。

監督以前に

もし今オフに監督を代えるとなった時に、批判を免れることができない要素としてあるのがクラブとしての継続性の無さでしょう。十分なビジョン、評価基準、環境が用意されない中で監督に全てを託すオーダーをしながら、結果が出ないとなると監督のクビだけがすげ変わっていくのは、ここ最近の鹿島はずっとそうです。それでも、私は今監督を代えた方が代えないより良くなりそうな可能性が高そうな気がするのと、その方がまだ個人的に後悔しないかな、という理由でここまでの意見に至っています。

そもそも一番の問題は、鹿島というクラブがどうやってJリーグの中で勝とうとしているのかが、ずっと曖昧だということです。明確なスタイルを設定するのかしないのか、スタイルを設定するならどういうスタイルにしてどこの範囲まで定めていくのか、そのスタイルをどれくらいのスパンで描いていくのか、スタイルに合わせてどんな編成にしていくのか。このあたりの意思決定や責任の所在がずっと曖昧なままこれまで過ごしてきたので、PDCAのサイクルが全く機能していない状況になってしまっています。

なので、クラブとしてはまずこのあたりを決めていって明確にしていくことをスタートさせていかなければ、誰が監督であろうとよほど圧倒的な資金力を手にすることができない限り、今の混迷した状況から抜け出すことはできないと思っています。それがあってこそ、その状況に適した目標設定ができて、目標設定に合わせた監督やスタッフ選びができて、監督に合わせた編成ができて、進捗に対する評価ができるようになってきます。このサイクルを中途半端にすっ飛ばして、目立つところだけで評価の良し悪しを決めているのが今の鹿島だと思っています。

監督を交代するのかしないのか。これが今の鹿島の本質的な問題ではなく、どうやって勝っていくのか、そのために何が必要なのかを決めて、その責任を誰が背負うのかを明確にする。これこそが今の鹿島が本質的に求められていて、向き合わなければならない問題だと思っています。求められているのは「あたらしい鹿島をつくる」前に「何をつくるのか決める」ことです。

※リンク先は外部サイトの場合があります

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

メディアプラットフォーム「note」に投稿されたスポーツに関する記事を配信しています。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント