野球普及と社会貢献の先にあるもの
【日本大学】
2023年10月、東京・練馬区のアオバジャパン・インターナショナルスクール光が丘キャンパスのグラウンドで、一般財団法人 世界少年野球推進財団(WCBF、理事長・王貞治氏)が主催する「WCBF Baseball Experience Event −What is baseball? Let’s enjoy together−」が開催された。そして、この野球体験イベントのサポート役を務めたのが、日本大学準硬式野球部の選手たちだった。
野球を知らない子供たちに、野球の楽しさを知ってほしい
【日本大学】
「子供の目線で話しかけたり、スキンシップしてくれるので助かっています」と話すWCBFの沖津氏。 【日本大学】
降り続いた雨が予定時刻間際に奇跡的にあがり、急いで設営準備を進めた。 【日本大学】
中畑・里崎両氏、女子野球選手たちと、イベントに参加した12名の準硬式野球部員。 【日本大学】
後半の時間では、誰でも手軽にできる5人制の新たなアーバンスポーツ「ベースボール5」を、女子野球選手たちが実演して紹介。バットを使わず、自分でトスしたボールを手で打って一塁ベースへ走るという基本プレーを、子供たちも実践形式でトライし、その目を輝かせながら“初めてのベースボール”を楽しんでいた。
【日本大学】
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子供たちとのふれあいの中で、気づかされることがある
「日大準硬式のみなさんは、女子野球にはなくてはならない存在」という女子野球連盟・山田会長。「指導者の方の熱意もすごいので、これからもっとコミュニケーションを深めて、楽しい試みができたらいいなと思います」 【日本大学】
WCBFの沖津氏からも同様に「他の大学さんにもお手伝いいただくことがありますが、日大の学生さんは特に野球に対する情熱があります。組織としてしっかりしているので、私たちからのお願いを上級性に伝えれば、参加しているメンバーでしっかり共有して対応してもらえる。おんぶや抱っこといった子供たちとのスキンシップも積極的で、こちらが言わなくてもやっていただけるというのはとても素晴らしいですし、感謝しています」と称賛の言葉をいただいた。
「楽しかったと言ってもらえて、それだけでやった価値があったと思います」と話すのは、女子野球選手のリーダー格で、「ベースボール5」の普及活動にも尽力している元女子野球日本代表の六角彩子選手(埼玉西武ライオンズ・レディース)。「日大の皆さんも臨機応変に動いてくれましたし、積極的にボディランゲージや会話をしてくれたおかげで子供たちも懐いていましたね。とても良いサポートしてくれたと思います」と感謝。さらに、「準硬式と硬式の違いはありますが、同じ野球が好きな仲間として、子供たちから大人までそれぞれのカテゴリーでの野球を共に盛り上げていきたいと思います」と、今後の共闘も願っていた。
子供たちを指導する六角選手。 【日本大学】
中畑氏・里崎氏との会話も選手たちには貴重な経験。 【日本大学】
2度目の参加となり、今回はリーダーとしてほぼ初参加のメンバーを束ねた窪嶋文哉選手(法・3年)は、「昨年、初めて参加した時は、野球を知らない子供にどう教えたらいいのかわからず、自分が小さい頃の経験を思い出しながら教えてあげるのが大事かなと思っていました」と話す。「僕らからすれば、まずボールを打とうと思ってしまいますが、子供たちにとってはボールとふれあい、ボールに慣れることが大切なんだと気づきました。今回も、子供たちはバットを使わなくても、ボールを追いかけたり、的を目掛けて投げたりと、みんな楽しそうにボールで遊んでくれていたので良かったなと思います」と振り返る。また、「元プロ野球選手や女子野球選手の方ともこういう場で関わることができ、同じ野球選手としてのつながりが持てた経験は大きい。いつかまた自分が人に教える立場になった時に、この経験を生かしていきたい」と話した。
窪嶋文哉選手(法・3年) 【日本大学】
準硬式野球部の活動姿勢を称賛する声に、「外部の方から評価していただけるのはとてもうれしく思います」と笑顔の窪嶋選手。 【日本大学】
天艸和志選手(生物資源科・1年) 【日本大学】
「次の機会があれば、今度は経験者として後輩にも教えられるよう頑張りたい」と意欲的だった天艸選手。 【日本大学】
立場や世代を超えた交流や経験を、将来の糧として
沖津氏は言う。「学生の皆さんは将来、いろんな場所で、いろんな立場になって野球に携わることになると思いますが、“野球の伝道師”として、野球の楽しさをもっと広めてもらいたいですし、そうなることを期待しています」
野球のプレーや試合だけでは経験できないことがある。インターナショナルスクールという “世界”における国際交流、子供たちとのふれあい、地域社会や組織の大人たちとのコミュニケーションなど、多角的かつ多様な側面において、立場や世代を超えた交流、同じ目的で同じフィールドで過ごす時間は貴重な経験学習であり、そこから学ぶこと、得られること、考えることは少なくない。そして、それらは近い将来に実社会に出る学生たちにとって、確かな財産になるものだと言えよう。「学生はどんどん外に出て、社会貢献に携わってもらいたい」と、東都大学準硬式野球連盟の理事長も兼務する杉山智広準硬式野球部ヘッドコーチが、文武両道を標榜する準硬式野球部の部員たちに自主性や能動的な行動力を求める理由はそこにある。野球を通じてさまざまなことを学んでいる部員たちが本領を発揮すべき場所は、卒業後に挑む社会という広大かつ苛酷なグラウンドなのだから。
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