【雑感】2023/11/4 ルヴァン杯-Final 福岡vs浦和

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【【雑感】2023/11/4 ルヴァン杯-Final 福岡vs浦和】

【これはnoteに投稿されたゆうき(y2aa21)さんによる記事です。】
あー!!決勝で負けるのつらい!!
つらい!つらい!つらい!






さて、福岡の方はU-21枠でCHの森山を起用したということもあって、配置としてはここ最近ベースになっている5-2-3ですが、3の左に前が入るという並びになりました。福岡のチームとしての特徴もそうですし、浦和との組み方として福岡は非保持の時間帯が多くなるだろうというのは想定されていたことだろうと思います。

5-2-3という配置ではあったものの最前列の3枚のスタート位置は左右非対称でした。紺野は山岸と中央を閉めるようなポジションで、感覚的には2トップとも言えるような立ち位置で、前は山岸の左斜め後ろあたりにいる時間が多かったと思います。



浦和のビルドアップ隊の特徴を見ると、左CBのホイブラーテンは細かくボールタッチしてボールを運ぶタイプではないことと、体の向きに対して素直にパスを出す傾向があって、右CBのショルツはホイブラーテンのように長いボールを出すことは少ないものの、細かいタッチでボールを運んだり、パスを出すときにくいっと体をひねって体の向きとは違う方向へパスも出せるという特徴があります。

福岡の方はそれへの対策として、紺野を真っすぐホイブラーテンに対して矢印を出させて次のパスが出て行きそうな場所を限定する、前は山岸と共にショルツに対してハーフレーンや中方向のコースを埋めた状態にしておいてショルツの前が詰まった状態(周りが動き直さないとどんどん狭くなりそうな状態)を作ろうとしていたように見えました。これに見出しのようなものを付けるとしたら「『動』の右サイド、『静』の左サイド」といった感じでしょうか。

【ゆうき(y2aa21)】



浦和の保持も福岡の非保持の配置である5-2-3を意識して、SBのスタート位置はここまでの試合と比べて低めに設定されていたと思います。福岡の3トップと同じくらいの高さからスタートしてWBからの距離を取っておく、そこへWBが出て来なければSBがそのままオープンにボールを持てるし、そこへWBが出てくればSHがその背中を使えるよね、という意図だったのかなと。

ただ、先述した福岡の左右非対称なタスクと浦和の選手の配置(特にSH)はミスマッチだったように思います。SHは右に髙橋、左に小泉となっていましたが、髙橋の方が動いてくれる相手に対して大きく動きながらその背後を狙えて、小泉の方が止まっている相手の間を漂いながらボールを引き出せるという特徴があると思っています。

なので、この試合で言えば、福岡の「動」の右サイドに対して髙橋、「静」の左サイドに対して小泉を当てても良かったのかもしれません。試合が始まってから福岡のそのような傾向が掴めるまで時間がかかったとは思わないので、前半の途中からでもそうした調整をして変化がつくのか試してもらいたかったなという印象です。

あるいは、早川と髙橋を入れ替えるとか、少なくとも2列目の並び順が変わると違った展開を作れたのではないかと思いました。後半の頭から大久保が右SHに入ったことで右サイドから前進できる回数が増えたのは彼が狭い局面でも上手にプレーできる選手だからというのもあったのだろうと思います。



浦和のCHのキャラクターを見ても、空いているスペースに入っていくことが多いのは右CHの敦樹なので、左は多少スペースが出来てもそこに入ってくる選手はいないだろうというのも福岡の方は想定していたのかもしれません。

33'15~は右で詰まって左へサイドチェンジしたところから荻原がオープンにボールを運んで前方を窺っていました。そこへWBの湯澤が対応しに来る、湯澤の背中を取った小泉に対してグローリが詰めているという状況で奈良とグローリの間は広く空いていましたが、ここに入っていく選手がいませんでした。

これは浦和の2CHが、特に岩尾と敦樹の組み合わせになると6番と8番でタスクを分担してしまっていることと、カンテはゴール前に自分から入っていくよりも手前のスペースでポストプレーをしてくれる全盛期の興梠のようなタイプの選手だということが影響していそうです。



前者については、6番、8番を分担してしまうと8番役の選手がいない方のサイドにそもそも人数がいないのと、6番役の選手は自分のタスクをこなしてから前に出て行くのには距離があって間に合いません。スコルジャ監督が就任当初に「CHは8番2枚が理想」と話していたのは、こうして左右どちらからでもSB、SHに関われる選手を内側に用意しやすくしたいという意図があったのだろうと思います。

これは岩尾だけ、あるいは敦樹だけに原因があるのではなく、自然と各自の居心地の良いエリアでプレーすることが多くなった結果、チーム全体のバランスがそうなってしまっているのかなと思います。



後者については、アウェー広島戦のカンテの理不尽ミドルがカンテのすぐそばに明本がいて、明本がゴール前へ向かってアクションを起こしたことでカンテが前向きになる時間が作れていたのですが、そういうプレーがこの試合でトップ下に入った早川にはありませんでした。

試合に出始めた頃はもっとガンガンアクションを起こす系のプレーをしていた印象でした。ただ、ある程度慣れてきて周りから求められるタスクが増えたのか、彼自身がもっと上手くやらないとと思っているのか、そのあたりを推し測るのは難しいですが、アクションはおとなしくなっているなと思います

2CHの役割分担も踏まえると、トップ下は少し下がり目になって8番として振舞う(小泉や安居がやっているようなタスク)ことをしないと相手を左右に振ってスペースが生まれてもそこを突いていくのは難しいのだろうと思います。そういう点で関根がトップ下に入ると10番のようにも8番のようにも振舞えるので、彼が恐らく柏戦の負傷がまだ回復しきっていないのだろうと思いますが、この試合で起用できなかったことは痛かったですね。

これらはどこか1か所に手を入れれば良いかというとそうでは無く、複数個所を同時進行で修正しないといけない難しい仕事になるだろうと思いますし、それによって構築してきた安定性を一旦手放さないといけないかもしれません。これは今季の前半戦を振り返った時にも書いたことですし、それが出来たら苦労しないんだよというくらい悩ましい課題ということでもあります。

【ゆうき(y2aa21)】



また、スコルジャ体制では相手との噛み合わせという盤面上での勝負を仕掛けるような印象はあまりありません。それでもチームとして味方と繋がりながら前進していこうとする要素はあると思いますが、それをやろうとするときに相手の存在は無視できません。

決して「噛み合わせ」を把握できれば相手を攻略できるというわけではありませんが、少なからずそこを意識、理解することで「自分が相手の誰を困らせると味方の誰を助けられるのか」ということは認知しやすくなるのではないかと思います。

今季の多くの試合で見える保持での課題はリポジショニングの遅さ、少なさで、ボールの移動中に次の展開を予測してポジションを取りなおせている場面は少なく感じます。この試合でも岩尾がボールを持ってゆっくり運んでいる時にホイブラーテンへ「ここへ動いてくれ」という風に身振りで指示をしていたり、ショルツが運んで前進しようとしている時に酒井に対して「もう少し一緒に前へ出てくれ」というジェスチャーをしている場面がありました。

リポジショニングが上手くできていない原因はいくつか想像できます。1つはどう動いたら良いのかが感じられていないということ。これは「嚙み合わせ」などの情報を頭に入れておいた上で、今起きている状況を把握し、次の展開に備えるという要素です。

そして、もう1つは細かく動き直し続けることに対して体力的についていけていないということ。特に酒井は回復しきる前にどんどん試合に出ていることで運動の量も質も下がってきているように見えるのでとても心配です。試合が始まって15分過ぎたくらいから最後の力を振り絞っているようなフォームで走っていることが多いので。

この2つは過密日程でトレーニングの時間を戦術的な要素よりもリカバリーに費やすことが多くなってしまっていることが関係しているかもしれません。連戦の中で選手の入れ替えも満足に出来ていない状況なので、頭も体もリフレッシュ出来ておらず、その疲労が判断もアクション自体も遅らせてしまっているのかなと想像してしまいます。




負け試合にどのような意味を持たせるかはその後の振る舞いによって変わります。ここで意気消沈してズルズル負けるようになれば「あそこで流れが完全に切れてしまったね」となるでしょうし、ここで奮起して勝ち続けられれば「あの負けが良い薬になったね」となるでしょう。


こんなことを浦項とのホームゲームの雑感で書きました。今のところ前者に振れてしまっている感じがしますが。。

この後やってくる浦項とのアウェーゲーム、神戸とのホームゲームは残り試合をチームがどのようなテンションで闘えるか、はっきり言ってしまえば残り試合が消化試合になってしまうかどうかを大きく左右する試合になります。

1つの試合をシーズンの線の上に置いたときに「こんな状況になる前にもっと勝ち切っておかないといけない試合があったよね」という正論はあるものの、それとは別の階層として目の前の1つの試合に対して「今の状況で出来ることをどれだけやり切れるのか」ということも大切です。特に現場、選手はそれしか大切ではないくらいだと思います。

ACLの3試合、リーグの3試合、これらにどういう意味を持たせて挑むのか。ここで「やっぱり今年も難しかったね。また来年!」と言ってしまっては来年も同じことを繰り返すと思います。

タイトルは順番待ちをしていたらいつか回ってくるものではなく、自分たちからそこへ向かっていかないと勝ち獲れません。そこへ向かう勇気を改めて問われている今、自分たちに何が出来るのか、時間は短いですが整理をつけて次へ進みましょう。



今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。


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