【MGC】総括記者会見コメント:瀬古リーダー、高岡シニアディレクターがMGCのレースやMGCまでの道のりを振り返る
【総括コメント(要旨)】
この2人は、伸びしろがある。小山選手は、10000mを27分台で走っている(27分55秒16=2021年)し、赤﨑選手は、7月にホクレンディスタンスチャレンジ(第4戦)の5000mで三浦龍司選手(順天堂大)に勝って13分28秒70(注:自己記録は、その1週間前の第3戦においてマークした13分27秒79)を出していて、トラックでもしっかり戦える力を持っている。そんな選手が、パリオリンピックの代表に選ばれたことは嬉しいし、まだまだ伸びしろがあって、日本記録を出す力はあるのではないかと思っている。
ただ、赤﨑選手については、2時間9分台の記録では世界で戦えないと思うので、オリンピックまでにいい記録を出してもらうことに挑戦していってもらいたい。このことは(2時間7分台が自己記録である)小山選手についても同様といえる。
3位だった大迫傑選手(Nike)は、またしても3番。(出身大学の)先輩としては、可哀想だな、詰めが甘かったなという感じがしている。彼は前回も3位だったので、今後行われるファイナルチャレンジでは、日本記録でも出して、また(前回同様に)選ばれるのではないかと期待をしている。あとは(スタート直後から独走して4位でのフィニッシュとなった)川内優輝選手(AD損保)。逃げきるところまではいかないだろうと思っていたが、(集団に吸収されたあとも)粘って2位争いを繰り広げた。こうした彼の頑張りは素晴らしく、日本のマラソン界を盛り上げる一番手だなと思う。本当によく頑張ったと思う。
女子は、鈴木優花選手(第一生命グループ)、一山麻緒選手(資生堂)が1・2位となった。申し訳ないが、鈴木選手は私のなかではダークホースにも入っていなかった。しかし、やはり勢いがあり、しっかりと勝ちきったところがすごいと思う。彼女もまだ24歳で、伸びしろもある。彼女も今回、自己新で勝ちきったが、やはり(2時間)24分では世界と戦うには厳しいので、オリンピックまでにどこかの大会でタイムが欲しい。
そして、一山選手は、東京オリンピック代表のなかで唯一、パリオリンピックの代表に内定した。東京オリンピックは(8位には入賞したが)たぶん納得のいかない走りだったと思うので、次のパリ大会ではそれを超えるような走りをしていただきたいなと思う。
3位の細田あい選手(エディオン)は、2時間21分42秒(2022年)の自己記録を持っている。このなかでは誰が優勝しても不思議ではないくらいのレースだったので、細田選手には、次のファイナルチャレンジで記録を出して選ばれることを目指してほしい。このほかでは、今回、加世田梨花選手(ダイハツ)は、ブダペスト世界選手権に出場(19位)して、1カ月半のなかでしっかりと勝負する力があったことはすごいなと思った。彼女も24歳と若く、将来性もあるので、ファイナルチャレンジで記録に挑戦して、代表を勝ちとってもらいたいなと思う。
ご承知の通り、MGCはペースメーカーのいないレース。どのような展開になるのかというところと、力のある選手と若い選手がどのようなレースをするのかというところを楽しみにしていた。その期待通りに、男女とも混戦のなかで若い選手が活躍してくれた。パリ(オリンピック)もだが、その先も見据えた戦略を取っていくことができるのではないかと感じている。また、このタフなコンディションのなかで勝ち抜いた選手であるだけに、当然、パリもタフなコンディションになるとは思うが、そのなかで結果を残すような選手を派遣できると思ってい
【質疑応答(抜粋)】
高岡:当然ながら、パリオリンピックの日にち、スタート時間はすでに決まっている。それと同じようにこの大会も2年くらい前から(会期は)決まっていた。コンディションを合わせるという意味では、(オリンピックの場合と)同じことだと思っている。「この大会(MGC)に合わせられてこそ、(オリンピック)本番でも合わせられる」ということで、選手にはそういった力が必要となってくるので、そこは今回のレースに合わせられた選手が素晴らしかったということ。また、日本のなかで選手を選出するに当たっては、同じ条件のなかで選手を選んでいくことが必要だと思っている。コースに関しても、(今回のMGCのように)必ずしも平坦なコースではない、ペースメーカーが存在するわけではないといった(同じ条件下でレースを行う)ところも、パリオリンピックのレースにつながると思っている。
瀬古:今回、コンディションを合わせられなかった選手は、今後、もう1回(ファイナルチャレンジという)チャンスがある。そこにも合わせることができなかった場合は、もう話にならないのではないか。こうして、(選考のための仕組みを)2段階でつくっているところが良かったと考えている。また、(天候に関しては)本当はもうちょっと暑いなかでのレースになるかと思っていたが、最悪の日(強い雨のなか気温も上がらない状態)となってしまった。昨日、あるいは明日だったら良かったのかもしれないが、だからといって明日に変更することは(物理的に)できない。できないものはしょうがないのではないか。こんな(天候の)なかでも走る力が選手には必要で、天候を味方にする選手にならなければいけないと思う。どんな状況になっても走れる力を養うのが、僕はMGCだと思っている。
Q:今回は、前回に比べて倍増する形の出場者数となり、選手の層は厚くなったものの、力の差も生じて、出場するだけになってしまった選手も見られたが、このあたりを全体としてどのように捉えているか。
高岡:多くの選手が今回のレースに参加できたことは、層の厚さが増したこと、もしくは底上げができた部分かなと思っている。一方で、(先ほどの質問の答えと同様に)60人いれば60人とも、うまくこの日にコンディションを合わせられたわけではなかったということなのかなと考えている。やはり(調子を)合わせられた選手が上位に来たし、オリンピックに対する思いも含めて見ることができたレースだったのではないかと思っている。
瀬古:今回のMGCに向けては、前回よりも出場権を獲得するための標準記録を(男子は)1分速くしている。そのうえで人数が倍増しているので、悪い話ではない。次、どうするかということになると思う。僕は、マラソンをこれから盛り上げていくためには、やはり企業の力も必要だと考えていて、(所属選手が)MGCに出場することができれば、企業も応援してくれるはずだし、そういう点も僕らは大切だと思っている。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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