【ラグビー】闘魂注入。復活めざす日体大ラグビー部が強豪レスリング部と合同練習

日本体育大学
チーム・協会

闘魂注入。復活めざす日体大ラグビー部が強豪レスリング部と合同練習

 闘魂注入―。復活をめざす日本体育大学ラグビー部が夏合宿直前、国内屈指のレスリング部との合同練習に挑戦した。部員は誰もが自分の弱さを知り、闘争心に火が付いた。
 4年ぶりの合同練習は、レスリング部の松本慎吾監督の日体大ならではの互助精神により実現した。ざっと2時間、柔軟体操から始まり、マット運動や、2人組、3人組で身体的負荷をかけたり、追い込みで走ったりなどのメニューが続いた。ジャンプ、ステップ、差し押し…。見る間にマットには汗のたまりができ、その都度、モップでふき取っていく。
 松本監督やコーチの声が飛ぶ。
「どんなにきつくても両ひざに手を置くなよ」「自分に妥協するな~」「あご上げて」

◆タックル、タックル、タックル

 8月13日。横浜・健志台キャンパスのレスリング場は学生たちの熱気が充満した。ラグビー部員が約80人、レスリング部員は約60人。レスリング部員は自分のからだをコントロールする能力に優れている。その柔軟性やからだの使い方、運動能力の高さに圧倒され、ラグビー部の伊藤拓哉主将は「(レスリング部員は)人間じゃないですよ」と漏らした。
 タックル練習では、北京五輪銀メダリストの湯元健一コーチが実践指導してくれた。ラグビーに直結するスキルである。その極意を聞けば、湯元コーチは「倒すときの力をひとつに集結させることです」と説明した。
 まずは目線をあげた低い姿勢でからだを寄せる。足は前後にずらし、片手で相手のひざをとる。右足を前に出すなら、頭は左に向ける。胸をかける。足を蹴って、手をひねって、一気に倒す。ドンッ!大事なのはこの後だ。ひざを立て、すぐに起きる。次の動作に移る。
 最後は、スパーリング。ラグビー部員がパワーで押し切ろうとすると、ボディーバランスがいいレスリング部員に倒される。ラグビー部の秋廣秀一監督に次いで、筆者も湯元コーチにチャレンジすれば、前に出た瞬間、宙に回されてしまった。コテンパンにやられた。強いのなんのって。年齢差はともかく、さすが五輪メダリストである。

◆心技体

 レスリング場の壁には『心技體』と墨字で書かれた書道紙が額に収まっている。練習後、汗びっしょりの伊藤主将は「心技体の大事さを学びました」と言った。
 「トップレベルで戦うレスリング選手たちは、練習での意識やどん欲さが違うことを実感しました。相手に対して、絶対に弱みを見せない。技の部分では、足の詰め方、指のひねりなど細かいスキル。体では、体力がいかに重要かということも勉強になりました」
 秋廣監督はこうだ。恒例の夏の長野・菅平高原合宿は17日に始まる。
 「部員たちは、日本一のレスリング部から、動きのアジリティ(俊敏性)やタックルした後に起き上がるはやさを学ばせてもらった。この機会を、ラグビー部が強くなるきっかけとして、夏合宿に臨みたい」

◆日体魂に支えられ

 それにしても、レスリング部の協力はありがたい。他競技との合同練習から得るものは大きい。感謝の言葉を伝えれば、松本監督はこう、応えてくれた。
 「(日体大入学の)18歳からここにいる人間ですから。日体大のいろんな運動部の流れを見てくる中で、レスリング部もそうだし、ラグビー部もそうだし、いろんな部が強くあってほしい。こういう横のつながりがあって、(合同練習を)お願いされれば、いくらでも時間を割かせてもらいます。やっぱり日体大として、一緒に頑張りたい、強くなりたい、それだけです」
 日体魂は健在なのである。(松瀬学) 

レスリング部員とタックル練習に励むラグビー部員=13日・健志台キャンパス 【撮影:筆者】

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著者プロフィール

本学は、「體育富強之基」を建学の精神とし、創設以来、一貫して、スポーツを通じ、心身の健康”を育み、あわせて世界レベルの優秀な競技者・指導 者の育成を追求し続けてきたことに鑑み、「真に豊かで持続可能な社会 の実現には、心身ともに健康で、体育スポーツの普及・発展を積極的に推進する人材の育 成が不可欠である。」と解釈し、科学的研究に裏付けされた競技力の向上を図りつつ、スポ ーツを文化として幅広く捉え、体育・スポーツを総合的・学際的に探究する大学を目指し、 各学部、各研究科がそれぞれ目的を掲げ、教育研究を行なっている。

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