2023年松本山雅FC前半戦振り返り

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたまきまきさんによる記事です。】
2023年のJ3も、前週の第19節を終えて前半戦が終了しました。

松本山雅は前半戦を終えて勝ち点28の6位。首位愛媛FCには勝ち点10の差です。

明日からその愛媛FCをニンジニアスタジアムで打ち負かすべくご褒美もかねて遠征に行ってくるのですが、その前に今回は2023年の松本山雅について、前半戦の振り返りをしていきたいと思います。

霜田監督が使っている「4-2-3-1」のフォーメーションに則って、各ポジションごとに主な出場選手を列挙し、試合を見ての印象を書いていきたいと思います。また、最後には霜田監督の評価とチーム自体の評価もしていきます。

*以下、選手名は敬称略とさせていただきます。

4-2-3-1のイメージ図 【まきまき】

ゴールキーパー(GK)

全試合で、ビクトルと村山の一騎打ち、という構図になりました。日本人離れしたシュートストップ能力があるビクトルが序盤戦はスタメンに座ることが多かったのですが、チームがビルドアップをより重視するようになり、また中盤で失速気味だった時に足元の技術に長け、味方へのコーチングが上手い村山がスタメンを奪い、前半戦を走り切りました。

村山についてはその漢気あふれる立ち居振る舞いと、よく通る声を使っての声がけは以前から知っていたのですが、正直ここまで足元が上手いとは知りませんでした。35歳を過ぎてなお進化するGK…

足元の技術に長けた神田・次世代の星である薄井もどこかのタイミングでメンバー入りしてほしいところですが、なかなかにこの2人の牙城を崩すのは厳しいか。なんとかTMなどで経験を積んで、這い上がってきてほしいところです。

センターバック(CB)

右CBで活躍しているのは我が推し、野々村。元々空中戦に強く、フィジカルならJ3の中でトップレベルでしたが、今年から新たに自身の課題でもあるビルドアップに取り組んでいます。ボールを持った時のプレーがおぼつかないこともありますが、たまに見せる鋭い縦パスは「おおっ!」とこっちが唸ってしまうほどです。また、野々村が出場停止となった時には我らがお父さん(?)橋内がCBとして出場。CBとしては小柄ながらもベテランの味を活かして奮闘していましたが、岩手戦あたりから少し調子を落としていた印象。その他には篠原もメンバー入りし、堅実なプレーを見せてくれています。

一方左CBは、開幕戦から常田がフル出場中。野々村が「縦に刺す」パスを武器としているなら、常田は「横に広げる」パスを得意としています。「左利きかつ正確なロングフィードが蹴れる長身CB」というアドバンテージを活かし、セットプレーや守備の時には文字通り「砦」として相手チームに立ちはだかっています。その反面、ビルドアップではまだ未熟さが出ることも。ボールを持つとすぐに味方選手にパスを出すことが多くタメを作ることが少ないのと、出しどころがないと簡単にロングフィードを蹴ってしまうことが多々あるように見えました。今期のチームがより「繋ぐ」ことに主眼を置いているのを考慮しても、もう少しGKを含めたボール回し、また自身がドリブル等でボールを持ち運ぶことなど、「落ち着いた」プレーを見せてほしいと思いました。ただ去年と比べて安定感は上がっていると思うし、何よりイエローがまだ1枚だけというのもすごい。成長しているな、と思います。

CBに関しては、守備では安定感を見せてくれた一方、ボールを自分で動かす力が後半戦に向けての課題かな、という印象です。八戸戦でボールを動かせる安永が入ったことで多少は見栄えがよくなりましたが、彼がマークされる時のアドバンテージとして、「背番号40番台コンビ」がさらなる成長を見せてくれることこそ、後半戦に向けた何よりの補強だと思います。

サイドバック(SB)

右SB

北九州から完全移籍してきた藤谷と、SBに転向した宮部の争いとなっています。藤谷が「攻」の部分で縦への突破力やクロスを持ち味とすれば、宮部はCB時代に培った対人守備と球際の強さを活かした「守」で輝きを放っています。どちらもタイプが違うため一概には比較できませんが、強いていえばもう少し藤谷には守備での強さを、宮部には攻撃参加を磨いてほしいところ。ただ藤谷が八戸戦で守備でもいいプレーを見せてくれたので、ファーストチョイスとして選ばれやすくなり、宮部は後半の守備固め要員になってしまうのか…?という気もしています。この辺りは後半の見どころの一つかもしれません。右SBは下川もできますが、基本この2人の争いになっていきそうですし、下川には左SBに専念してほしいことを考えるとなってほしいですね。

(そして信州ダービーの橋内右SBはなんだったんだろう…知らない子ですね←)

左SB

ここまで下川がスタメンとして主に出場。彼のよさは藤谷と同じく、積極的な攻撃参加と左足からの高精度クロス。あと誰にも負けない熱いハート。2021年の涙は忘れないよ(いつまで言ってんだ)。去年の名波体制では3-4-2-1の右WBで出場したこともあり、利き足ではない右足でのクロスも彼の選択肢として増えました。ただ、カットインからの右足クロスもいいけど、強引にドリブルで敵を抜いて左足でクロスを上げる下川ももっと見たいな。

対抗馬として山本龍平もちょくちょくメンバーしており、特にYS横浜戦でのPK獲得は見事でした。その他には稲福もボランチと並行して左SBに挑戦しているようですが、いかんせん鹿児島戦の失点シーンが痛いミスだったなと。

下川を中心に、龍平がその座を奪うのか、はたまた稲福が覚醒するのか、それとも他の選手が出てくるのか…楽しみなポジションの一つです。

ボランチ(DMF・CMF)

パウリーニョ・喜山・安東が主に前半戦の主力として試合に出場。元々この3人は守備に特徴があり、中盤でボールを刈り取ることに(特にパウリーニョなんかは)関してはJ3トップクラスのものを持っていると思います。

あとパウリーニョのゴラッソは健在。好き。

ただ、今年のボランチは守備力だけでなく、CBからのパスを前線に上手く配球することも求められているので、ダブルボランチを採用している今季は彼らのような守備的MF1人と攻撃的MF1人を同時にスタメンで出すのが最適解なはず。そういう意味では住田・米原に期待していますが、前者は調子の波が激しく、後者に関してはコンディション不良もあってあまり試合に絡めず。それでも福島戦あたりから米原が試合に絡み始め、主に攻撃面で気の利いた縦パスを打ち込んだりしていいものを見せ始めています。年齢的にも彼らに期待したいですし、もちろん上に挙げた3人も(疲労など管理しつつ。あと安東は怪我しないように(絶対))頑張ってほしいと思います。

そして、なんと言っても前半戦のトピックスの一つが安永。

横浜FCの10番、水戸の8番という前評判に違わず、スタメン出場した八戸戦ではまさにCBと前線との繋ぎ役として活躍してくれました。間違いなくこれまでの山雅にないものを持って松本に来てくれた存在。まだ1試合だけですが、彼が後半戦どのくらい活躍するかが今年のJ2昇格を占う基準の1つになると確信しています。

オフェンシブミッドフィルダー(OMF)

いわゆる4-2-3-1の「3」の真ん中のポジションですね。

去年の加入当時から攻撃面で非凡なものを見せていた菊井が、今年も攻撃の司令塔としてがっちりポジションをキープ。ラストパス・シュート・ドリブルと、攻撃面ではその才能を遺憾無く発揮し続けていますが、僕は特に彼のドリブルに注目しています。山雅の選手にはあまりドリブルで仕掛けていくタイプがいないため、その存在自体が貴重。細身な彼があんなにスルスルっとボールを運んでいく様を見ると、まるで故郷に帰ったかつての背番号10を思い出します。フロントさん、今年のオフは彼に背番号10あげてもいいのよ…?昨年の名波体制では守備重視のサッカーな故にどこか輝きを放ちきれていないところがありましたが、攻撃に比重を置いた今年はそれもなくなり、生き生きとした姿をピッチで見せてくれています。ただ、ちょっとした欠点はボールが入らなくなると中盤まで降りてきてボールを受けるところ。攻撃にアクセントをつけられる選手だからこそ、余計に「上がっててくれ!」って思っちゃうんですよね。ただこれは先ほども書いたボランチ問題とリンクするところがあるので、安永が入ったことでいくらか解消されそうな匂いもしています。あとそのスタイル故にファウルされることも多いですが、その時の振る舞い含めたアンガーマネジメントも改善点かも。ピッチキャプテン任されることも多いし。

菊井が出場停止で不在の時には国友が代役を務めましたが、これまでもその有り余る万能性故に見劣りしてしまいがちでした。ただ八戸戦で小松に代わりCFに入った時にはそちらで輝けていたので、案外適正ポジションは1列目だったり…?

ウイングフォワード(WG)

4-2-3-1の「3」の左右のポジションです。左右どちらのポジションでも出ている選手が多いので、SBとは異なり一緒に記載することとしました。

清水からレンタルの滝、CFからWGに転向した榎本、ラインメール青森で柴田監督にしごかれて帰ってきた村越。大卒ルーキーの國分。主にこの4人が主軸として、ポジションの2枠を争っています。

その中でも一番輝いているのは滝。タッチも柔らかいものがあり、また左右両足の精度が高いため、どちらの足でもクロスが上げられ、点も決められるのが彼のすごいところ。当初は右で使われていましたが、本人は左の方がやりやすいのか、左で使われるようになってからはポジションを自分のものにしています。もっといっぱいMVP取って、イオンで肉も白米も買ってほしい(「いっぱい食べるぞ滝裕太」で検索)。ちょっとはにかんだ笑顔が可愛いです。

次点で高評価なのは村越。新体制発表会で「背番号29番、田中パウロ淳一です」と挨拶して僕の心を鷲掴みにした後、その勢いのままにシーズンイン。かなり小柄な部類に入る彼ですが、ヘディングでは相手DFと真っ向から張り合う体幹、また今年の山雅で重要な前からのプレスにおいても2度追い・3度追いを厭わないスタミナと脚力は彼が持つ大きな武器です。ただし、菊井と同じく感情のコントロールがうまくいかないこともあって、愛媛戦のレッドカードなんかはその最たる例でした。正直あれは倒した森脇が悪いと今でも思っているのですが、彼が不在だった琉球戦・福島戦と連敗したことを考えると(しかも琉球戦は特別指定の樋口が入っていたので余計に)村越がいればなぁ…と余計に思ってしまいました。残念ながらTR中に怪我をしてしまいましたが、1日も早い復帰を祈っています。ゴルパフォのバク転もっと見たいよ。

榎本については、正直「適正ポジションはCFなのでは…?」と思っています。とはいえCFには小松と渡邉が座り、また今の山雅ではWGが手薄なので、なんとか後半戦ではもっと活躍してほしいところ。また、國分については大卒ながらここまでかなりの試合に絡んでいますが、サイドよりも中央で活きるのかな…?という感じ。ただし試合を重ねるごとによくなっているので、ここからの逆襲に期待です。

その他にはルーカス・特別指定の樋口が途中出場したこともありましたが、守備・攻撃ともにまだトップチームのレベルには達していない印象。共にこれからの選手だと思うので、後半戦のどこかで絡んでくれることを期待しています。

センターフォワード(CF)

小松蓮が大黒柱として、ここまでほとんどの試合でスタメンを張り、八面六臂の大活躍。前半戦終了時点でJ3得点ランクトップは「立派」の一言に尽きます。キャンプから生活習慣を改善し、「今年こそは…!」というシーズンを送っています。彼の強みはなんと言っても空中戦の強さ。今季ここまで相手と競り合って、ほぼ負けたところを見たことがありません。また菊井のクロスに合わせる、いわゆる「菊松コンビ」も抜群。守備でも前線のプレッシングをサボらず、攻守に貢献してくれています。正直替えの効かない1人で、夏の移籍の話もないそうなのでほぼ残留は確定。コンディション不良で八戸戦はベンチ外でしたが、愛媛戦では再びメンバー入りするのでしょうか。チャント大好き。

(え、菊松コンビなんて誰も言ってないって…?)

横浜FCから移籍した渡邉一真も、ここまではコンスタントに試合に絡んでいます。途中出場が多いですが、元日本代表のベテランらしく狡猾な試合運びを見せ、試合をきっちり締めくくっています。岩手戦で1対1を外すなど、FWなのにゴールが奪えていないことが懸念点でしたが、八戸戦で18試合目にしてようやくゴールゲット。ここから嗅覚を研ぎ澄ませ、後半戦に入っていってくれると信じています。

そして鈴木国友。「ヘディングもでき、足元も上手く、複数ポジションをこなせる」というユーティリティ性がここまでは悪い方向に出て、適正ポジションが定まっていない印象でした。しかし八戸戦で小松がメンバー外になった時にCFのポジションに入ると、その献身的な運動量を活かしたプレッシングを活かして守備で奮闘。さらにカウンターの矢として後半には2点目を決めるなど、CFに求められるタスクを(小松とは違う形で)しっかり遂行してくれました。小松が復帰するとどちらを使うのかはとても悩ましい問題となりそうですが、これからの霜田監督の起用法に注目です。

監督:霜田正浩

下條TDの下、今年から名波監督に変わって就任。「自らボールを持ち、主体的にゴールに迫り得点を量産するサッカー」という、これまでの山雅とは全く正反対のサッカーを浸透させ、かつ1年でJ2昇格を目指すという難題に取り組んでいます。開幕の奈良戦では早くも完成度の高いサッカーを見せてくれ、チームもスタートダッシュに成功して一時は首位に。ただ、選手のコンディション不良などが相次ぎ、信州ダービーでは橋内を右SBとして使うなど奇策を繰り出すも連敗。その後も勝ったり負けたりとなかなか波に乗り切れませんでしたが、前半戦最後の八戸戦では八戸戦では攻守が共に噛み合い、3−0の完勝。いい形で後半戦へと入ることになりました。

自分たちが志向するサッカーは明確になっていますが、上位勢の中でも鹿児島・富山・沼津といった自分たちの型があるチームに対してはここまでその型に屈して敗戦を喫しています。また、後半の失点が非常に多く、琉球・福島といったチームに対して75分以降に点を取られ逆転負けを喫しているなど、リードしている時の試合運びは課題となっています。その一方、自分たちのやりたいサッカーをピッチ上で見せることができた時の勢いは凄まじく、相模原には5-3、八戸には3−0というド派手な試合を見せてくれています。

山雅の長年の課題であった得点力に関しては間違いなく向上しており(33得点/18試合、1位)、J2昇格を目指すにあたり、後半戦の課題は失点数(26失点/18試合、15位)をいかにして改善していくか、また後半25分以降の失点数をいかに減らし、「勝負強さ」をいかにして取り戻していくか、にあるとみてよさそうです。

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以上、2023年松本山雅FC前半戦振り返りでした。

思い返せば、去年のJ3はいわきFCが圧倒的な先行逃げ切りでJ3を優勝しましたが、2位の藤枝MYFCは前半終了時点で10位、そこから怒涛の追い上げを見せて最後の最後に山雅・鹿児島という上位チームを差し切ってJ2への切符を手にしました。

今の山雅のスタイル的に、また首位との勝ち点差を考えても、J2昇格のためには去年の藤枝のような爆発力が求められると思います。ただ、前半戦である程度の土台は霜田監督によって作られたと思いますし、後半戦でどのような戦いを見せてくれるのかがとても楽しみです。

J2昇格を願って。まずは今週末の愛媛戦で思いっきり応援してこようと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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