【柏レイソル】リーダーシップ「2023Reysol Report Vol.14」

柏レイソル
チーム・協会

【©️KASHIWA REYSOL】

 結果が出ていないときに、選手たちからよく聞かれる言葉に「声だけでも解決できることはある」というものがある。この「声」とは様々な意味を含む。ピッチ内外でのコミュニケーションから、試合中のコーチング、苦しい時間帯で味方を鼓舞する声が、それにあたるだろう。しかし、ここ数年のレイソルには、チーム全体が“おとなしい”という課題がある。

 勝利を手にするためには、技術・戦術・メンタルなど、様々なものが必要となり、声を出したからといって勝てるものではない。しかし、選手個々の技術面、チーム戦術を向上させるには、日々の地道なトレーニングで積み上げていくしかないのに対し、声というものは、その選手が意識するだけですぐに変えられる。今の勝てていない状況に対し、選手が今できることをピッチの上で100%やれているのだろうか。もちろん、試合が終わった後は、選手同士でコミュニケーションを図り、前の試合で生じた改善点や課題を互いに共有して「次はこうやっていこう」という話を間違いなくしているとは思う。

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 では、試合中はどうか。明らかに自分たちの流れではない試合、たとえば、前節のFC東京戦のように前半は攻め込まれ、自分たちはボールをつなげず、簡単にロストしてまた相手の攻撃を浴びたあの試合において「今の戦い方がハマっていない」と感じ、「もっとこうした方がいい」や、あるいは味方に対して「もっとこうしてほしい」とピッチの中から発信・要求する選手はいたのかどうか。いたのかもしれないが、それが味方に伝わっていないのであれば、それは発信していないことと変わりない。

 球際のバトルやボールを奪いに行く局面でも、寄せが甘い、切り替えが遅いなど、破綻の糸口になりそうな部分が出たときに、それを「もっと厳しく奪いにいってほしい」「もう一歩寄せてほしい」と仲間に厳しく要求するということは、自分自身もそれだけのことを実際にやっていなければ要求できない。したがって、味方への要求は自分自身の責任感をも生み出す。

【©️KASHIWA REYSOL】

 井原正巳監督にその点を聞くと「仲良し集団的なところがあるので、もっと厳しさを持って、厳しい声、要求をお互いがし合ってほしいという物足りなさは日々感じています」と言う。
 ただ、同時に井原監督は、こうも話す。
「選手もそういうところも意識し始めて、今週は選手同士で話し合いをしてくれたので、それが次のゲームに活きてくればいい」

 現チームでは古賀太陽がキャプテンを務めている。だがキャプテンだけがリーダーシップを取ればいいわけではない。チームが勝つためには、ピッチに立つ選手それぞれがリーダーとしての自覚と責任を持って、何かが起きたときに、それをチームに発信できるか。

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 井原監督は「そういうリーダーになれる人材はいるので、今の状況を乗り越えることで、より成長することを期待したい」とも言った。中には「自分はそういうタイプの人間ではない」「キャプテン気質ではない」と言う選手もいるだろう。しかし、その意識を改め、自分がチームを背負っていると言う責任を持たなければ、いつまで経っても状況は変わらない。先述したとおり、ピッチ上でリーダーシップを取り、声を出したからといって、勝てるようになる保証はない。しかしやらないよりは、やったほうが勝利の確率は間違いなく上がる。
 これは“誰が”ではなく、今のチームに所属する全選手にとっての、絶対に乗り越えなければならない課題だ。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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