【北海道誕生20年】梨田昌孝監督時代の名試合6選①

チーム・協会
 トレイ・ヒルマン監督のあとを受けて、2008年から2011年まで北海道日本ハムファイターズを率いたのは梨田昌孝監督だった。
 4年間で3回のAクラス入り。2009年はリーグ優勝を果たした。
 ダルビッシュ有、武田勝が左右の両輪としてフル回転し、強力なブルペン陣がリードを守り切る。そして、守備でリズムを作って攻撃につなげる。
 オールスターゲーム常連の選手が多数在籍する一方で、脇役陣の活躍や若手の芽吹きも忘れられない4シーズンを振り返る。

7点差大逆転でヒーローインタビュー9人登壇

【(C)H.N.F.】

(2008年4月8日 vs.東北楽天ゴールデンイーグルス@札幌ドーム)
 興奮冷めやらない試合終了後、ヒーローインタビューの準備が整うと、ベンチから一人、また一人と選手たちが姿を現した。入場行進のごとく整列してお立ち台に向かう。その数、9人。左から森本稀哲、田中賢介、稲葉篤紀、高橋信二、ターメル・スレッジ、小谷野栄一、工藤隆人、高口隆行、鶴岡慎也。所狭しとお立ち台に上がり、喜びを爆発させた。
 ファイターズ史上最多、いまだに破られないヒーロー記録は作られるべくして作られたといっていい。先発・武田勝が二回に一挙7点を失ったものの、6イニング踏ん張る間に打線が奮起した。三回、先頭打者・工藤の二塁打をきっかけに、5者連続出塁を含む猛攻で5点を奪い返すと、四回には田中賢の2ランで同点に追いつく。そして、六回に森本がスクイズを決め、これが決勝点となった。1点のリードを建山、武田久、MICHAELの勝利の方程式発動で守り切った。
 梨田昌孝監督の就任1年目の2008年。けが人が続出したこともあってリーグ3連覇はならなかったが、翌年の“復権”に向けて礎は確かに築かれていた。この試合で同点弾を放った田中賢は言う。「誰もあきらめる気持ちを持っていかなったのが一番の勝因」。最後まで諦めない。そして、全力疾走。それらはファイターズの合言葉になっていく。

プロ野球記録、7試合連続二塁打

【(C)H.N.F.】

(2009年4月15日 vs.オリックス・バファローズ@札幌ドーム)
 「9番・遊撃」がその男の定位置だった。20年来のファイターズファンならすぐに顔を思い出すことだろう。そして、この頃には「最強の9番バッター」の称号をほしいままにしていた。華麗な守備が魅力だった金子誠が打者としての記録を持っていると聞けば、驚く人がいるかもしれない。
 4月7日の八回に二塁打を放ったとき、1週間後にどうなっているかなどと考えてはいかなかったはずだ。次の試合も、その次の試合も二塁打を放った。チームメートも日に日に盛り上がった。「周りがうるさかったから、ほっといてくれって感じだった」。迎えた4月15日の六回無死満塁。三塁線を破る一打は、走者一掃の適時二塁打となった。プロ野球新記録、7試合連続二塁打は、こうして達成された。翌日は2四球1安打(単打)で記録は止まったが、3試合後には3本の二塁打を記録している。
 現役時代、金子誠は適時打を放つたびにこう話していた。「9番バッターが打つ試合は荒れるんだ。だから、自分が打ったあとはしっかり守らないといけない」。常に守備のことが頭にあり、自分の立ち位置を知り尽くしていた背番号「8」は、紛れもなく黄金時代を支えた一人だった。
 記念の一打が決勝打となったことで、ヒーローインタビューを受けた。「お待たせしました。きょうは僕のために集まっていただき、ありがとうございました」。守備でも打撃でも“マック節”でも、ファンを喜ばせた試合だった。

お釣りなし!クライマックスシリーズ逆転サヨナラ満塁弾

【(C)H.N.F.】

(2009年10月21日 vs.東北楽天ゴールデンイーグルス@札幌ドーム/CS第2ステージ第1戦)
 絶叫からの熱狂。ドラマのようなシーンを、野球ではしばしば見ることができる。逆転弾、満塁弾、サヨナラ弾――。要素は数多くあれども、それが日本シリーズ進出をかけた戦いで一気に記録されたとなれば熱狂度合いはケタが違う。2リーグ制移行60周年記念で2010年に現役選手と監督ら858人を対象に行ったアンケートで、「名勝負・名場面」の1位に選ばれたのも納得できる衝撃の一打だった。
 2年ぶりのリーグ優勝を果たしたファイターズは、第2ステージでイーグルスを迎え撃った。勢いに乗る相手に、九回表を終えて4点ビハインド。稲葉篤紀の適時打で1点を返してなお1死満塁で打席に立ったのは、前年からファイターズの一員となっていたターメル・スレッジだった。その2球目。持ち前のフルスイングから放たれた打球は、左中間へと伸びていく。大歓声の中、ベンチで梨田監督やチームメートが「いけ!いけ!」と叫んだ。白球がスタンドギリギリに飛び込んだ瞬間、札幌ドームが揺れた。逆転サヨナラ満塁弾。しかも、お釣りなし。
 梨田監督といえば、近鉄バファローズを率いていた2001年に代打サヨナラ満塁弾でリーグ優勝を果たしている。「2001年の北川(博敏)を思い出した」。この大逆転勝利で先手を取ったファイターズは、4勝1敗(アドバンテージを含む)で日本シリーズに進出。エース・ダルビッシュ有を欠くシリーズだったが、チームを前進させる助っ人の一振りだった。

6月30日~7月13日【HOKKAIDO 20th MEMORIAL SERIES】 【ⒸH.N.F.】

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