永久シードまであと2勝! 申ジエがプレーオフを制す!

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 JLPGAツアー2023シーズン第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額3億円/優勝賞金5400万円)大会最終日が6月25日、千葉県袖ケ浦市・カメリアヒルズカントリークラブ(6650ヤード/パー72)で行われた。通算13アンダーで並んだ申ジエと岩井明愛とのプレーオフに突入したが、1ホール目で申がバーディーを奪い、決着。今季JLPGAツアー2勝目、ツアー通算28勝目を飾り、永久シードまであと2勝に迫った。1打差の3位には通算12アンダーの菊地絵里香、さらに1打差の通算11アンダー、4位タイには笠りつ子、吉田優利、小祝さくらら5人が入った。
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《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:24mm》

 岩井明愛とのプレーオフが決まった瞬間、申ジエの頭の中にある思いが過った。「岩井さんは自分よりも飛ぶので、舞台となる18番・パー5での勝負は不利かな」。しかし、勝つことをあきらめたわけではない。むしろ「自分のプレーをしっかりできれば勝てる」という思いのほうが強かった。ジエが言う自分のプレーとは、確実にフェアウェイをとらえ、第3打をピンそばに落としてバーディーを奪うゴルフにことだ。

 予定どおりドライバーでのティーショットをフェアウェイ左に落とすと、第2打も5番ウッドでフェアウェイ右、ピンまで残り85ヤード地点にボールを留める。「私が好きな距離を残せました」と言うように、この時点で勝負は決まっていたのかもしれない。54度のウェッジを使うと、バックスピンがかかることは明白。あとはどれぐらいの高さで打ち、どれだけのスピンをかけて、どれだけボールを戻すかだけがテーマとなった。実は本戦の18番を回ったとき、同組の選手が第3打を打つ姿がヒントになっており、それが頭の中にしっかりとイメージされていた。「ピンまでの距離よりも2、3ヤード奥に落とせば、ピンの近くまでボールが戻るはず」。そう計算してアドレスに入った。

 ゆったりとしたスイングから放たれたボールは、ピンの上2メートルほど先に落ちた後、バックスピンでピンに向かって転がっていく。あわやイーグルかと思われるほどのスーパーショットだったが、カップの横をかすめて1メートル先で止まった。

 「狙いどおりにいきましたが、入ってほしいという気持もありました」と、あらためてショットの精度をグリーン周りにいた多くのギャラリーにアピールした申。その瞬間に沸き起こったギャラリーからの歓声が岩井にプレッシャーをかける。岩井の第3打はラフからの難しいアプローチだったこともあるが、ボールはグリーン奥のラフへ。それを1メートル弱に寄せると、あとは申のパットの結果を待つだけとなった。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 「ウィニングパットを打つ前、おばあさんのことを考えていました。私の手をつないでいてほしい。一緒にこのパッティングを打ちましょうと」。

 4週前の火曜日に亡くなった祖母のことを忘れた日は一度もない。訃報を聞いてすぐに帰国しようと思ったが、自分のゴルフを見るのが楽しみだった祖母のためにも、気丈に日本でプレーを続けた。頭の中は一日でも早く優勝を報告することしかなかった。にもかかわらず、惜しいところで敗れた試合が続く。勝ちを意識して以来、8位タイ、5位タイ、2位タイと順位を上げ、ついに優勝を手にすることができた。これでJLPGAツアー通算28勝目となり、永久シードまであと2勝だが、気を緩めるつもりはない。「ゴルフは上手く行っても次の日も上手くいくとは限りません。自分を常に追い込んで努力しなければいけません」と、自分への厳しさを忘れていないからだ。ただ、その考えがある限り、永久シード獲得も遠い先ではないだろう。(山西 英希)
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