自分の特性を生かしたマネジメントで首位に立った川岸史果

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 JLPGAツアー2023シーズン第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額3億円/優勝賞金5400万円)が6月22日、千葉県袖ケ浦市・カメリアヒルズカントリークラブ(6650ヤード/パー72)で開幕した。第1日はともに6バーディー、ノーボギーの66をマークし川岸史果と岩井明愛が6アンダーで首位に並んだ。1打差の5アンダー、3位タイには渡邉彩香、ささきしょうこ、大出瑞月、神谷そら、森田遥の5人が並んでいる。

 「私の飛距離だと多少曲がるのは仕方がありません。ナイスショットしてラフに行くこともありますしね」と、6バーディー、ノーボギーの66でホールアウトした川岸史果がサバサバとした表情で語る。飛ばし屋の選手がボールを曲げてしまうのは当たり前。それを覚悟のうえで、川岸が選択した作戦は少しでも短い距離を打つことだった。

 「今週ぐらい深いラフだとなかなかボールを打ち出せない選手が多いと思いますが、自分だけは出せると信じ込んでやっています」。いい例が10番パー4(399ヤード)だ。ティーショットを左に曲げてラフに打ち込んだ川岸。見た目には簡単に出せそうもないぐらい深いラフにスッポリと入ったが、ピンまで残り133ヤードまで飛ばしていたため、9番アイアンを選択でき、グリーン手前の花道にまで持っていく。そこからきっちりピンに寄せてパーセーブに成功した。

 仮にティーショットで飛距離を稼げず、なおかつラフに入ると、ボールを出すだけで精一杯となる。しかも、ボールとクラブフェースの間に芝が挟まることでスピンがかからず、予想以上にボールが飛んでしまうことがあるため、縦距離の計算も難しい。これをフライヤーと呼ぶが、短いクラブを持ち、フライヤーを計算して打つと、意外と飛ばずに大きくショートすることもあるからやっかいだ。しかし、川岸のように飛距離が出る選手だと、ラフからでも短いクラブを持てる。さらに、クラブフェースを開き、高い球を打つことでフライヤーの心配もない。

「打ち方はグリーン周りからのロブショットと同じなんですが、それをセカンドショットで行うことで、ボールの高さを出します。上に上がる分、ボールが飛び過ぎることがないので、安心してクラブを振り抜けるんです」。要は、フェースを開いて構えたら、カット軌道でボールの上からヘッドを下ろし、フィニッシュまで振り抜くとボールは通常よりも高く上がるというわけだ。そんな芸当ができるのも、川岸の飛距離とパワーがあるからだろう。

 今年のリシャール・ミル ヨネックスレディスでは6年ぶりのツアー2勝目を飾り、嬉し涙が止まらなかった川岸。自分のことのように父親の良兼も喜び、シニアツアーの会場では他のプロから祝福の言葉を浴びたという。ところが、中には「1.5ラウンドの優勝だからな」という選手もおり、悔しい思いもしたとのこと。「私自身、優勝は優勝と思っていますし、特に気にしていませんが、父からは今年中に3勝目を挙げろと言われています」と笑う。

 まだ第1日が終わったばかりだが、今大会は4日間あるだけに、このまま逃げ切れば誰にも文句を言わせることはない。「残りの3日間も60台を出して、トップ10に入れるように頑張ります」。周囲の声には惑わされず、あくまでもマイペースを貫くつもりだ。(山西 英希)
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