【日本選手権】第3日ハイライト/三段跳・森本麻里子が14m16のビッグジャンプで24年ぶりに日本記録を更新!100mハードルの大熱戦は寺田明日香が制す

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

第107回日本陸上競技選手権の第3日目は6月3日に、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、台風一過の快晴の中で8種目の決勝が実施されました。

この日、最も注目を集めたのは、12秒台続出で活況を呈する女子100mハードル。誰が勝ってもおかしくない、予測不能の決勝は、まさにその言葉通りの大熱戦となりました。中盤で力強く抜け出した寺田明日香(Japan create Group)を、終盤に青木益未(七十七銀行)、田中佑美(富士通)、福部真子(日本建設工業)が猛追。4人がフィニッシュラインになだれ込むように飛び込みました。
制したのは寺田。12秒95(-1.2)で2年ぶりに女王の座を奪還し、5度目の栄冠を手にしました。同タイム、0.007秒の僅差で2位が青木、3位には田中が12秒96で入りました。12秒73の日本記録保持者・福部は、その記録でブダペスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)をただ1人突破していましたが、12秒99で4位にとどまり、今大会での即時内定は得られませんでした。4人が繰り広げた史上空前の優勝争いはスタンドの観客を大いに魅了し、選手たちを称える惜しみない拍手が送られました。

【フォート・キシモト】

フィールドでは、今大会待望の日本新記録のアナウンスが聞かれました。大雨の影響で1日スライドとなった女子三段跳で、4連覇中の森本麻里子(内田建設AC)が5回目に14m16(+0.7)の大ジャンプを披露。1999年に花岡麻帆(三英社)が作った日本記録14m04を24年ぶりに塗り替えました。近年着実に記録を伸ばし、昨年10月には日本歴代2位の13m84をマーク。日本人2人目の14m台到達へ着実に近づいていました。快挙を地元で見事に実成し遂げ、スタジアムを大いに盛り上げました。また、2位の髙島真織子(九電工)も5回目に日本歴代3位の13m82(+1.3)をマークして一時トップに。その直後に生まれたのが、森本の日本新ジャンプ。2人の意地のぶつかり合い、さらには今回3位(13m54/+1.6)で13m81の学生記録を持つ船田茜理(武庫女大大学院)を加えたライバル同士の競い合いによって、ついに新たな歴史の扉が開かれました。

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この日は4人の新チャンピオンが誕生しました。男子走幅跳では、日本記録保持者・城山正太郎(ゼンリン)が最終6回目に8m11(+2.1)をマークし、5回目の8m06(+1.1)でトップだった橋岡優輝(富士通)を逆転。2019年ドーハ世界選手権ではファイナリスト(11位)となり、21年の東京五輪にも出場(予選敗退)した28歳が、これまで2度の2位が最高だった日本選手権で、念願の日本一の称号を手にしました。橋岡は米国で助走を動きから変えている途上の中で2位に。3位は6回目に7m90(+2.0)をジャンプした小田大樹(ヤマダホールディングス)。5月21日のセイコーゴールデングランプリでブダペスト世界選手権参加標準記録(8m25)を突破する日本歴代3位の8m26を出した吉田弘道(神崎郡陸協)は、3位以内に入れば代表内定でしたが、1回目の7m54(+1.2)が最高で10位にとどまり、今大会での代表入りは果たせませんでした。

【フォート・キシモト】

新風が吹き込んだのは女子ハンマー投。国内競技会に初参戦したマッカーサー・ジョイ・アイリス(NMFA)が1投目の63m31でそのまま逃げ切り、初出場初優勝を飾りました。母が日本人、父はバスケットボール選手だった米国人で、生後すぐから8歳まで日本で暮らしていたというマッカーサーは、昨年2月に日本国籍を選択。今年4月には米国・ロサンゼルスでの競技会で69m89を放ち、室伏由佳(ミズノ)が04年に作った日本記録(67m77)を大幅に塗り替えていました。2位には62m63で村上来花(九州共立大)が入りました。昨年のU20世界選手権銅メダリストは、今年4月1日には65m33の学生新記録を樹立。今後、2人の投げ合いから目が離せなくなりそうです。

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2連覇中の黒川和樹(法大)が予選で敗退する波乱があった男子400mハードルは、同じ法大出身の社会人1年目・児玉悠作(ノジマ)がセイコーゴールデングランプリで世界選手権参加標準記録(48秒70)に迫る48秒77をマークしており、標準突破を見据えた争いに注目が集まりました。レースはその児玉がトップで最後の直線に入りましたが、終盤に伸び悩みます。その隙に、一気に逆転したのが東洋大2年の小川大輝。自己新の49秒52で初の日本一に輝きました。東京五輪セミファイナリスト・山内大夢(東邦銀行)がケガからの復調を見せ、49秒78で自身最高位の2位。児玉は49秒83で3位でした。

男子棒高跳は風が回る難しいコンディションに各選手が苦しむなか、柄澤智哉(日本体育大)が5m41を2回目にクリア。3回目での成功だった澤慎吾(きらぼし銀行)を抑え、初優勝を成し遂げました。

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また、男子ハンマー投は福田翔大(日大大学院)が最終6投目に71m79の自己新を放ち、71m64でトップだった前回王者・柏村亮太(ヤマダホールディングス)を逆転。2年ぶりに王座を奪還しました。1日順延で行われた女子棒高跳は4月に11年ぶり日本新の4m41に成功した諸田実咲(アットホーム)が3m90、4m00、4m10をすべて1回でクリア。4m20も一発で越え、2年ぶりの女王に返り咲きました。

同時開催のU20日本選手権は10種目で決勝が行われ、女子100mハードルは予選で13秒57(+0.1)の好タイムをマークした片山心菜(中京大中京高・愛知)が、決勝も向かい風1.4の中で13秒58と力走して優勝。前日に2投目まで終えた時点で大雨の影響で1日順延となった男子円盤投は、3投目以降の試技が行われ、6投目に51m07を放った武井夢叶(京都産業大)が逆転優勝を飾った。

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第107回目を迎えた日本選手権もいよいよ最終日。オレゴン世界選手権7位入賞のサニブラウン アブデルハキーム(東レ)が登場する男子100m、2連覇中の泉谷駿介(住友電工)が日本人初の12秒台に挑む110mハードル、田中希実(New Balance)が2年連続3度目の2冠と世界選手権参加標準記録(14分57秒00)突破なるかに注目が集まる女子5000mなど、12種目で決勝が行われます。また、U20日本選手権は13種目で決勝を実施します。競技日程、出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。


文:月刊陸上競技編集部

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