【柏レイソル】田中隼人、U-20W杯で化けられるか「2023Reysol Report Vol.9」

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田中隼人、柏から世界へ

 5月8日、アルゼンチンで開催されるFIFA U-20ワールドカップに出場するU-20日本代表に、田中隼人が選出された。
 ラツィオに所属するU-20アルゼンチン代表のルカ・ロメロ、チェルシー加入が決まっているU-20ブラジル代表のアンドレイ・サントス、また、日本がグループリーグで対戦するU-20セネガル代表にはUEFAヨーロッパリーグでもプレーをしたディナモ・キーウのサンバ・ディアロなど、20歳以下とはいえ、ワールドカップだけあって世界の第一線で活躍する選手たちがこの大会では集う。
 そんな選手たちと対戦する大会へ向けて、田中は意気込みを語った。
「この1カ月は世界のトップレベルとやれます。また大きな経験値を得て帰ってくると思うので、そこでサポーターの人が見て『田中、変わったな』と一目で分かる変化を1カ月で身につけたい」

田中はプロ2年目の19歳。左利きで188cmの大型DF 【©️KASHIWA REYSOL】

 今季、田中はレイソルでリーグとYBCルヴァンカップを合わせて5試合に出場した。第5節のサンフレッチェ広島戦では、マッチアップした森島司を抑える上々のパフォーマンスを見せたが、出場した5試合ではチームの結果が伴わず、3−2の逆転勝利を収めたルヴァンカップのアルビレックス新潟戦では前半だけで交代になり、個人としては不本意なパフォーマンスに終わった。今季は背番号20を与えられ、「レギュラーを取る」として強い思いを抱いていただけに、忸怩たる思いがあっただろう。

 ただ、裏を返せば伸びしろとも言うべき課題が見つかり、日々のトレーニングでは改善を期して取り組んできた。
「ボールが相手のセンターバックにあるときの相手FWとの駆け引き、先に体を当てるタイミングは、特に浦和レッズ戦で興梠選手とのマッチアップで、もっと上げなければいけないということを学びました。レイソルにも武藤さんや(細谷)真大のように動き出しが上手い選手がいるので、この1カ月でいろいろなことを自分で課題として捉えて改善してきました」

3/31浦和戦では興梠選手との駆け引きに後手を踏んだ 【©️J.LEAGUE】

 そうやって取り組んできたものが、世界のアタッカー相手にどこまでできるか、その戦いの中からJリーグでは学び得られなかったことが新たに見つかるか、あるいはワールドクラスのアタッカーを封じるプレーができれば、田中はこの大会を機に一気に実力を伸ばすだろう。
 田中は「世界一を取って帰ってくることが、自分も、チームも、レイソルの関係者も全員ハッピーになれると思う」と目標を語った。日本は、U-20ワールドカップの前身であるワールドユースの時代に1999年の大会で準優勝した。また、近年のU-20ワールドカップでは、ガーナ、セルビア、ウクライナが優勝しており、年齢制限のないワールドカップと比べて実力が伯仲している。2019年の大会では韓国が準優勝したのだから、日本が勝ち進む可能性も十分にあるだろう。

持ち味は左足の正確なパスと攻撃の組み立てだ 【©️KASHIWA REYSOL】

 ネルシーニョ監督も「こういう世界大会では経験を積むことが、隼人個人のキャリアに良い影響を及ぼすのは言うまでもないですが、世界の強豪国と対戦することで彼が成長して帰ってくることは、チームにとってもメリットがある」と言う。
 5月10日、田中は代表のためチームを離れた。20日から開幕するU-20ワールドカップで、日本は日本時間22日6時にセネガルとの初戦を迎える。同大会での田中の活躍はもちろんのこと、独特の雰囲気を持つ大会を通じてワールドクラスとしのぎを削り合った田中が、1カ月後にどんな成長を遂げて帰ってくるのか、それが楽しみである。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

笑顔で柏からアルゼンチンへ向かった田中隼人 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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