【Pit Crewに聞く】Teamの勝利に貢献するアナリストのお仕事

チーム・協会

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

スピード、スキル、フィジカル、そして戦略と団結。
ラグビーという競技は、それらすべての要素が複雑に絡み合う。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手たちがピッチ上で表現するそうしたプレーに、私たちは手を握りしめ、胸を熱くし、思いを乗せる。
だが、プレーせずとも、グラウンドに入らずとも、選手と同じように戦っている存在がいる。チームの裏方として共に戦うスタッフの存在だ。
そうしたスタッフを今季チームでは”Pit Crew”と呼んでいる。そんなPit Crewにオレンジリポーターが取材をし、チームや仕事への思いを聞いていく連載記事【Pit Crewに聞く】

今回はチームのアナリストにオレンジリポーターのNobbyさんがインタビュー。

アナリストの役割とは?

NTTリーグワン2022-23シーズンを14勝1敗1分の2位という過去最高の成績でプレーオフ進出を決めたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。今回はその躍進の裏で勝利への判断材料をチームに提供する「アナリスト」という職業にフォーカス。そのクボタスピアーズ船橋・東京ベイの「アナリスト」臼井・村上の2人に自身の仕事内容に関して取材の機会を頂いた。
(取材日:4月11日)

―今回はシーズン中にも関わらず貴重な時間を頂きありがとうございます。早速ですが「アナリスト」というお仕事はチームにどう貢献されている仕事なのでしょうか。
  
臼井(以下:臼):簡単に言いますとチームを勝利に導くための映像のサポートです。ドローンを飛ばして日々の練習や、試合映像の撮影結果から、改善点や修正点を発見、報告を行うことがメインの仕事内容となります。

村上(以下:村):映像に関わる仕事がアナリストの仕事だと思っています。J-SPORTSが撮影した映像などを入手して、様々な角度からの映像を集め、勝利への判断材料を提供する仕事です。

公式戦での臼井アナリスト 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

―映像に関わる仕事がアナリストの仕事という事は理解できました。個人スタッツを測るGPS(背中に装着する装置)とは関係ないのですか?」

臼:そこに関しては違うセクションの担当者の仕事になっていますね。

―コーチへの助言というものは行わないのでしょうか。

臼:対戦相手の映像を入手して分析をするときに傾向などが見つかれば助言等はしますよ。
実は毎試合、撮影した映像提供をチーム間で行っているんです。効果のある映像を撮影するのは必要ですが、ある意味相手チームへも要望あれば提供するということになります。

村:映像の提供については公式戦に関しては断れません。こうした映像の共有はジャパンラグビーのレベル向上が根底にあるからだと思います。

臼:海外ではこの情報共有がもっと盛んに行われているんですよ。

練習中にカメラをセッティングする村上アナリスト 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

自身のキャリアスタートとクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの出逢いとは

―現在、クボタスピアーズ船橋・東京ベイには2名のアナリストが存在しますが、なぜ2人なのですか?

村:アナリストの仕事は質を求めると限界がなく、仕事も多岐にわたるのが理由です。1名のチームもありますけどね。

―その多岐に渡るアナリストのお仕事ですが、具体的にシーズン中はどのような業務を行うのか教えてください。

村:土曜日の試合後は様々な映像機材の撤収、他チームのアナリスト間での映像提供(サーバーへのアップロード)がメインです。他チームの映像入手も行います。

臼:具体的な内容は言えませんがスタッツもそこで入手しますね。そして、日曜日~金曜日は翌週と翌々週の相手チームの情報入手と練習の撮影をします。シーズン中はこの繰り返しとなりますね。

―そんな大変で特殊なアナリストのお仕事ですが、アナリストになったきっかけと、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団したきっかけをおしえてください。

臼:大学卒業後、地元愛知の学校で指導をしている時にアナリストの仕事に興味を持ちだし、そのタイミングでトヨタ自動車(現:トヨタヴェルブリッツ)からお話を頂いてアナリストのキャリアをスタートさせました。その後、もともと交流のあったクボタスピアーズ船橋・東京ベイのスタッフからオファーをもらい入団しました。

村:私は大学院時代にコーチとしてラグビーと関わることになった時、どうやって選手に説得力を持たせようと考えた結果、映像からの分析が必要と感じキャリアをスタートさせました。そして他のアナリストの方からスピアーズでアナリストを募集していることを聞いて、門をたたき入団となりました。本当に運とタイミングで入団させてもらいました。


【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

アナリストは多忙、しかしその分やりがいも大きい

―アナリストして最もやりがいを感じる瞬間どんな時ですか?

村:映像に関わる仕事なので、ミーティングなどでその映像が採用されている時にやりがいを感じます。でも一番はチームが勝利した時ですね。モティベーションビデオにも力を入れているので選手にやる気が出たら本当に嬉しいです。

臼:クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、特に目からの刺激を重要視していると感じています。フランHCの影響も大きいと思います。
私はチームの勝利が一番ですが、正しいプロセスを踏んでも結果が得られないことがあります。そんな時でもお互いの役割を称え合うことにスタッフとしてのやりがいを感じます。チームに携わる人々のリスペクトを感じてこれからも仕事をしていきたいです。

―最後にクボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属されてアナリストとして印象に残った一戦を教えて下さい

村:今シーズンの開幕戦のサントリーサンゴリアス戦です。相手チームどうこうではなく、自分たちの準備してきたものを出し切って自分達にフォーカスして勝利できた試合でした。

臼:開幕戦も印象に残っていますが、過去ではなくこれからの試合に期待してください。5月20日までの試合全てを楽しみにしてほしいです。

チームがいい準備をするためにアナリストの仕事は欠かせません 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

取材を終えて

それぞれの異なる環境とキャリアを経て「アナリスト」という仕事にたどり着いた臼井氏と村上氏。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイにはコーチや選手だけでなくそんな、経験と揺るがないフィロソフィを持った素晴らしいアナリストが「映像」という面でがチームを支え、勝利への視界を更に良好にさせていると感じました。
今シーズンも残り2試合。彼らの存在を感じながら残りの試合を観戦していきたいです。


文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ オレンジリポーターNobby
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント