【Inside Story】コベルコ神戸スティーラーズ 営業マーケティンググループ MD担当 長谷川 貴哉
コーロクンらしさを出すのに苦労したというコーロクンぬいぐるみキーホルダー(1900円)と女性に人気のスティーラーズベア(3600円)。グッズブースで接客したり、アルバイトに指示をしたり、グッズブースで大忙しの長谷川氏。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
社内公募を利用してラグビーセンターへ
2021年10月よりMD担当としてグッズの企画開発などに従事する長谷川氏は、
「現在、約100種類ほどのアイテムがあります」と話す。
リーグワン初年度は、約50種類。今シーズンも続々と新商品を登場させている。
「グッズの企画開発の経験はなかったので、1年目は、すべてが手探りでした」
そう振り返る長谷川氏は、2019年から神戸製鋼所 機械事業部門にて樹脂機械設備の新設やアフターサービス等の提案をする営業活動を行っていた。
営業マンとして奔走していた長谷川氏が、ラグビーセンターへ異動することになったのは、社内公募制度を利用して。
1987年生まれ。京都府出身。父親の影響で4歳からラグビーをはじめ、スタンドオフやセンターでプレーしていた。同志社香里高校でもラグビー部に所属し、高校3年の時には大阪府予選決勝に進出した経験も。進んだ同志社大学では、同好会でラグビーを楽しんだ。
ちなみに、同じく同志社大学出身で、現在、ファンクラブおよびチケット担当の大橋 由和氏(https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202212060044-spnaviow)は、3学年先輩だ。
「高校時代の同期の多くは、体育会ラグビー部に入部したので、彼らから大橋さんのことは聞いていました。まさか、大橋さんと一緒に仕事をすることになるとは思ってもみませんでしたね」
ちなみに、大橋氏について、どんな人だと思っていたのだろうか。長谷川氏を直撃すると
「同期の友人たちが声をそろえて、とてもストイックな人だと言っていたので、当初はビビっていたんですけど、すごく気さくな人でしたね」と笑う。
さまざまなジャンルの商品開発に着手
「グッズの企画開発だけだと思っていたのですが、想像していた以上にタスクが多くて驚きました」
業務に追われる中で、グッズの企画開発においては「商品ラインアップの幅を狭めないということを意識していました。それは今でも変わりません」と話す。
街に出て雑貨をチェックしたり、ショップの商品ディスプレイから陳列方法のヒントを得たり、常にアンテナを張っている。
1年目に手がけた商品で、テーマパークでの被り物から発想を得たのが、コーロクンキャップだとか。特にこだわったのが、兜の部分。なかなか思い通りのものができずに、サンプルを3度作り直して、現在のものになったという。
制作に時間がかかったものは、ほかにも。
「コーロクンぬいぐるみキーホルダーも大変でした。コーロクンの肌の色や表情、そして立体なので、コーロクンらしさを出すのが難しかったです」
Tシャツやキーホルダーといった定番商品から、これまで作ってこなかったイヤリングや髪飾りなどの女性向けアイテムや、カトラリーセットといったお子様向けアイテムも販売した。女性向け、お子様向けのアイテムは大ヒットとはいかなかったが、「可能性の芽は摘まないことが大切だと思います」と意欲的に取り組む。
今シーズンは選手グッズをはじめ、3本の柱で展開
1)選手グッズなどの定番商品
2)SDGsなどトレンドを取り入れた商品
3)コラボグッズ
3本の柱でグッズを展開する。
特に強化したのは、Steel Matesからの要望が多かった選手グッズだ。
「昨シーズン、選手グッズは5選手のネーム入りマフラータオルだけだったのですが、今シーズンは選手を絞らずに、全選手のグッズを作りました」
ガチャガチャで販売している選手ピンバッチ、選手の似顔絵イラストが入ったフェイスタオルは大人気だ。とはいえ、選手フェイスタオルは、52選手、それぞれの特徴を捉えた似顔絵を描き起こしてもらったり、名前のスペルチェックをしたり、販売までに手間がかかったそう。
長谷川氏は
「Steel Matesに喜んでいただくだけでなく、選手グッズを通して、選手のモチベーションアップにつながればとも思っています」と語る。
SDGs関連商品には、廃棄処分されることになっていたラグビーボールをアップサイクルしたメッセンジャーバックや六甲山の間伐材を活用したキーホルダーなどを販売。
コラボグッズには、地元神戸のヒーロー「鉄人28号」とのコラボ商品や、選手プロデュースTシャツがラインナップ。
「鉄人28号グッズは、初めてのコラボレーション企画だったので、スケジュール感が分からず商品化までに1年ほどかかりました。調整事項も多く、いろいろと大変でしたが、多くの反響もあり、実現できて良かったです」
昨シーズン以上に多種多様なグッズを展開する中で気づいたこともある。
「メッセンジャーバッグは、9800円、間伐材のキーホルダーは1500円と、決して安くありません。果たして売れるのだろうかと心配していたのですが、結果は好評で、改めて自分の考えだけに縛られてはいけないと思いました」
大人気の選手ピンバッチがこちら。300円とリーズナブルなのも嬉しい!試合会場では、ファンの皆様からご要望の多かった手に取りやすい価格帯の商品(ぷくぷくシール200円、フェイスペイントステッカー300円)も販売中! 【コベルコ神戸スティーラーズ】
事業規模拡大という大きな目標に向かって
長谷川氏は、
「グッズはチームとファンの皆様をつないでくれる大切なツールだと思いました。グッズ単独ではなく、チケットやファンクラブなどと連携を取りながら総合的にプロモーションしていくことが重要なので、どんなタイミングで、どんなグッズを、誰にPRするのかを意識するようになりました」とも。
営業マーケティンググループには、マーケティングチーム全体を統括する吉村 泰輔氏を筆頭に、プロモーション担当の田中 大治郎氏(https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202206270036-spnaviow)、チケット担当の大橋氏、ファンクラブ担当の坂下 莉沙子さん(https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202210280080-spnaviow)がいる。
「通常のグッズ販売で取り扱おうと思っていたグッズも、コアファンに喜ばれそうだと思ったら坂下さんと相談して『ファンクラブ限定』販売にしています。また、開幕Tシャツやボンフィンのような来場促進につながるようなものであれば大橋さん、SDGs関連グッズなど注目度の高いグッズに関して、吉村さんとはプレスリリースの是非について相談します。SNSなどでのきめ細かい告知に関しては、(田中)大治郎と話し合って決めています。彼らと日々話し合いながら、Steel Matesのみならず、ラグビーファンに“刺さるグッズ”をこれからも世に送り出したいと思います」
彼らの存在も心強いと長谷川氏は話す。
最後に今後の目標を聞くと、
「MDは、シーズンに関係なく年間を通して収益を上げられる貴重な事業と考えています。今後は常設店舗の設置やAmazon以外のECサイトなど、販路を拡大していきたいですね」と、事業規模拡大という大きな目標を掲げる。
営業マーケティンググループの頼れる仲間とともに、MD担当として、これからも“刺さるグッズ”の企画開発に挑戦する。
文/山本 暁子(チームライター)
試合会場の看板には、どんな商品が販売されているのか一目でわかるように商品リストを張り出すなど工夫も。また、グッズブースは、行列ができていることが多いので、待ち時間を表示している。「日々改善を図っているので、ぜひグッズブースにお立ち寄りください。今後はシーズン関係なくお使いいただけるアイテムの販売も予定しております!」 【コベルコ神戸スティーラーズ】
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