JFAアカデミー福島から加入した新人がWEリーグデビュー。 ニューヒロインは嵐を巻きおこせるのか

マイナビ仙台レディース
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【マイナビ仙台提供】

WEリーグ再開の第9節。新加入選手が先発で登場
 約2ヶ月のウインターブレイクを経て、2022-23Yogibo WEリーグが再開。マイナビ仙台レディースは、ホームのユアテックスタジアム仙台にINAC神戸レオネッサを迎えた。
この試合は、マイナビ仙台としては初めてホームで迎える「声出し解禁試合」。チームの前身であるベガルタ仙台レディース、マイナビベガルタ仙台レディース時代には、熱心のサポーターの歌声がユアスタに響いた。選手を勇気づける歌声が帰ってくる試合だった。
 リーグ中断期に4人の新加入選手を迎えたマイナビ仙台。JFAアカデミー福島から加入のU-20女子ワールドカップに出場したFW松窪真心(まなか)選手、同じくJFAアカデミー福島から加入のレフティ、DF佐々木里緒選手、セレッソ大阪堺レディースから完全移籍加入のDF田畑晴菜選手。そして、既に特別指定選手としてWEリーグカップに出場していた早稲田大学から加入のFW廣澤真穂選手。4人は1月末にチームに合流し、2月の宮崎県延岡市でのキャンプにも参加した。
 このI神戸戦では、松窪がトップの一角として、佐々木は左サイドバックで共に先発。田畑と廣澤もベンチ入りした。試合は前半3分にセットプレーから失点を喫するが、後半8分に高い位置でボールを奪った矢形海優選手が船木里奈選手へパス。船木は相手DFの股を抜く左足のシュートで同点に追いついた。1-1で推移した試合は、後半終了間際、I神戸のCKから高瀬愛実選手に決められ1-2で敗れた。

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見ていて面白い選手」存在感を示した松窪
 先発だということは試合前日に告げられたという。そこで松窪は一気に緊張した。「でも選手、スタッフの皆さんが緊張をほぐして盛り上げてくれたので、楽な気持ちで試合に臨めたと思います」。ルーキーが伸び伸びプレーできるよう、周りの選手が手を差し伸べた。「(宮澤)ひなたさんからは『自由にやっていいよ』と言ってもらいました。良いパスが来り、良いところに走ってくれているので、自分が何かをするというより、合わせてもらっている感じでした」。
 シュートこそ1本に終わったが、前線からのプレスやドリブルで相手をかわすなど、攻守で強みを発揮した。スタンドは松窪のプレーに度々どよめいた。松窪自身はその声援にも勇気づけられた。「すごく力になりました。今までこんなに大勢の皆さんの前で試合をする機会はありせんでした。苦しい時に少しスタンドを見上げると、一生懸命応援して下さる皆さんがいて、『プロサッカー選手になったんだなぁ』と実感できた試合でした」。
 目下の目標は、ゴールを決め切ること。「FWとしてゴールを決める。決め切るというところはもっと突き詰めていきたいです。できるだけ早く一点取って波に乗りたい。そう簡単には取らせてはくれないと思いますが、工夫してゴールに絡めたらいいかなと思います」。
 松田監督は松窪についてこう話す。「躍動感がある。常にボールに関わる意識も持っている。スピード感もあるし動きも大きいので、面白い選手だなと思います。サッカー小僧、子どもみたいな一面があります。すごくそれは大事なんです。サッカーが好き、上手くなりたい、点を取りたい。その気持ちがストレートに出ている、今の選手には珍しいタイプ」。純粋にサッカーを愛する姿勢は仲間やサポーターにも伝わっている。

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落ち着いたプレーぶり。左足の精度が光る佐々木
 「キックの精度が高いので、プレッシャーを受けても打開する力がある。技術も判断も高い選手だと感じています」と松田監督が評価する佐々木。彼女もまた、デビューの日を迎えた。「大丈夫かなという不安と初めてWEリーグで出られる楽しみ。二つの気持ちが混じっていました」。ピッチでの表情やプレーは落ち着いていた。「(中島)依美さんやイチ(市瀬菜々)さんにもサポートしてもらって、練習通りにプレーしようと意識していました」。
 守備に追われる時間も長かったが、周囲の選手と連携して守った。「マッチアップする相手のサイドでの選手が仕掛けてくる選手だったので、1対1で負けないように粘り強く守備をしようと意識していました」。佐々木からは「流れの中ではやらせない」という気迫もにじみ出ていた。
 攻撃が大好きな佐々木は、常に前へ飛び出す時を伺っている。「球際や攻撃参加、サイドバックですが攻撃に参加して、もっとチームの攻撃を活性化させたいと思っています。攻守においてハードワークして、このポジションで一番輝ける選手になっていきたいです」。JFAアカデミー福島の先輩、高平美憂選手は憧れの存在だった。今、その高平と縦に並んで試合に出場したり、共にトレーニングで磨き合っている。

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田畑、廣澤も途中出場。活性化される先発争い
 続く第11節サンフレッチェ広島レジーナ戦でも連続して先発に選ばれた松窪と佐々木。松窪はドリブルで持ち上がり、中島の先制点に絡む活躍を見せた。また佐々木のクロスから松窪がシュートを放つ場面もあった。先発の座を勝ち取るだけのポテンシャルを持っていた2人。これからの成長や味方との融合が楽しみだ。
 田畑と廣澤も第9節I神戸戦で途中出場を果たした。積極的な攻撃参加とサイドからのクロスを持ち味とする田畑。FWとして高い能力を誇る廣澤。彼女たちもチームの力を大きく底上げする存在だ。マイナビ仙台では各ポジションで競争が活性化している。折り返しを迎えたWEリーグ。ニューヒロインがブレイクする瞬間は見逃せない。
試合情報
2022‐23 Yogibo WEリーグ第12節 

マイナビ仙台レディース 対 日テレ・東京ベルディベレーザ
日時:3月26日(日)13時キックオフ
会場:ユアテックスタジアム仙台

(マイナビ仙台レディースオフィシャルライター・村林いづみ)
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著者プロフィール

東日本大震災により休部した東京電力女子サッカー部マリーゼが移管し、2012年ベガルタ仙台レディースが発足。2017年に株式会社マイナビとタイトルパートナー契約を締結しマイナビベガルタ仙台レディースとなりました。 2020年10月にWEリーグへの参入が正式決定。2021年2月より「マイナビ仙台レディース」とクラブ名を改め、活動をスタート。選手達の熱いプレーが多くの方に届くような盛り上がりをともに作っていきます。仙台、東北から日本全国、全世界に向けて、感動や勇気を与え、WEリーグ優勝を目指し活動しています。

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