池江璃花子が大学で得た宝物(2)日本大学スポーツ科学部で得た学び
【日本大学】
状況が変化していく中でも 知ることができた学ぶ楽しさ
池江が取り組む水泳への復帰も2020年から本格的にスタート。久しぶりに水に入ったときは、本当に楽しそうな笑顔を見せてくれていた。
いよいよ池江自身も楽しみにしていたキャンパスライフがスタートすると思っていた矢先、社会が一変。新型コロナウイルス感染症である。学校での授業はほとんどがオンラインでの開講となり、友人たちと顔を合わせることも激減してしまった。
寂しさもあったが、1年時はほとんどの時間を闘病に費やしていたこともあり、大学で『学ぶ』ことはとても楽しかった。
「授業はとても面白いし、楽しかったです。特に3年生で履修した「アダプテッド・スポーツ」という科目が面白いと思いました。障がい者の方たちのスポーツを実際に体験してみよう、というものでしたが、すごくいろいろなやり方があるんだな、って勉強になりました。たぶん健常者の方たちよりももっと難しいことをしなければいけないんだな、と考えると尊敬する気持ちがわいてきました。こういうことは座学だけで学ぶよりも、身体を動かしている方が楽しいですし、分かりやすいと思いました」
2021年にはインカレで初優勝を飾るまでに体調も回復。スポーツ科学部での学びがその一翼になっていたのは間違いない 【日本大学】
コーチング学を通して様々な問題に対する 適切な“解決能力”が身についた
「水泳をテーマにした、コーチング演習の授業も楽しかったですね。人に教える、ということ自体は経験として持っていましたが、ちゃんと速く泳げるようにしたい、という気持ちで教えたことはありませんでしたので、とても面白かったです。泳ぐ側が成長していく姿を、教える側の立場で見られると、自分も教えていて良かったな、と思えますし、さらに『どうしたらもっと速くなるんだろうか』ということを考えるようになります。その時間はすごく面白くて有意義でした」(池江)
トップアスリートの多くは、自分で自分をコーチングできる選手だ。まず自分が目指す目標を定め、目標達成までの道筋を立てる。一つひとつ段階を踏んでトレーニングを積み重ねて行くが、練習の度に自分のパフォーマンスを深く分析し、問題があれば解決法を探り、試し、習得していく。それを日々繰り返して行くことで、最終的な目標に辿り着くのである。世界で活躍するトップアスリートは、この課程を決して他人任せにしない。自ら学び、自ら考え、自ら行動していく。決して指導者に寄りかかるのではなく、自立して指導者と“共に歩む”ことができるのである。
その基礎とも言うべき考え方や取り組み方について、池江はスポーツ科学部で学び取っていく。
コーチング学が自分のパフォーマンス向上にも大きく寄与した 【日本大学】
自分のプラスになると感じたから 日本大学で学びたいと思った
池江が4年時の卒業論文のテーマに選んだのは『競泳日本代表選手のバタフライ泳のパワーとタイムの変化について』。自身を被験者とし、過去と現在の牽引パワーを比較。それとタイム、泳速度など様々な目線から分析し、泳速度とパワーの関係性、そこから見える課題について考察したものである。自身の感覚だけではなく、その感覚を裏付ける科学的なエビデンスがあることを学べたことは、池江が今後、自身を向上させるために何が必要かを考える大きな力になることだろう。
池江の卒業論文。自身のプラスになるだけではなく、後輩たちの糧にもなる内容に仕上がっている 【日本大学】
水泳部寮内には4年生が書き上げた卒業論文が張られている 【日本大学】
日本代表チームで共に五輪を戦った小堀倭加(日本大学スポーツ科学部・4年/写真右)とは、同じスポーツ科学部でも共に学んだ仲間だ 【日本大学】
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