ジャパンパラで全勝優勝! 新しいスパイスで、チーム力の底上げを図る女子ゴールボール日本代表
ジャパンパラで全勝優勝! 新しいスパイスで、チーム力の底上げを図る女子ゴールボール日本代表
【photo by X-1】
女子代表の強化を目的に行われている同大会は、3大会ぶりに海外チームの招へいが実現。東京2020パラリンピック銀メダルのアメリカ(世界ランキング3位)、すでにパリ2024パラリンピックの出場権を手にしている韓国(同16位)、パリ大会に開催国枠で出場するフランス(同18位)が、世界ランキング2位の日本代表と激突した。結果は日本代表が全勝で予選を勝ち上がり、準決勝、決勝も快勝。大会を全勝優勝で飾り、パリ大会出場権獲得に向けて弾みをつけた。
2019年以来の有観客。4ヵ国による国際親善試合も久しぶりに実現した 【photo by X-1】
エース萩原が大車輪の活躍
パワーのある投球を繰り出す韓国のソ・ミンジ 【photo by X-1】
「強化合宿で男子チームに強いボールを投げてもらったり、大きな声の(特徴がある)韓国選手の真似をしてもらったりと対策をすごくして挑みました」
その成果もあり、日本代表は韓国に先制を許した後、すぐに取り返すメンタリティの強さを見せて5対1で初戦を飾った。
「スロースタート」が課題だった日本代表。ライバルに勝利し、チームにいい流れを作った 【photo by X-1】
また、萩原も「しっかり得点を取り、最少失点で勝てて本当によかった」と胸をなで下ろした。
アメリカとの初戦は苦しい展開になるも、国際大会デビューの新井が2得点を挙げて勝利した 【photo by X-1】
「今日の準決勝、決勝では、コントロールが乱れず、安定した投球をすることができて自信になりました」と笑顔を見せた萩原。これまで疲労が溜まった状態で戦う決勝トーナメントではコントロールが乱れるという課題があったというが、今大会では決勝でも5得点を挙げて完全優勝の立役者となった。
世界選手権で敗北した悔しさを乗り越え、パリ大会で世界一になるために「気持ちで負けない」と決意を固めている萩原。大会では決勝の後半から出場した新人、新井みなみの緊張をほぐそうと抱きしめて迎え入れる姿も見られ、精神面でもエースとしての自覚を垣間見せた。
トレーニング量を増やしているという萩原は、大会を通して投球の安定性が増したという 【photo by X-1】
化学変化を図る日本代表
レフトの欠端、ライトの萩原という二枚看板を擁し、攻撃力もアップ。それでも世界選手権でパリ切符を掴むことができなかった日本代表は、今大会から新たな体制や発想を取り入れることで、より強いチームにパワーアップしようとしている。
パリ大会の出場権獲得に向けて「コミュニケーションの危うさなど、まだまだ課題がある」と欠端 【photo by X-1】
「市川さんのように細かい指示はなかったが、自分たちで考えることで(コミュニケーションを取るので)選手同士の雰囲気も良かったと思う」と欠端が話すなど、実際にいい変化も生まれつつあるようだ。
さらに、今大会からキャプテンがリオ大会以降チームを支えた天摩由貴からセンターの高橋に変わった。新たな船出となり、重責を担う高橋は「大会前に(元キャプテンであり、同じポジションだった)浦田理恵さんがLINEで激励の言葉をくれてほっとした」と明かした。
新キャプテンは、大会を振り返り「失点してもみんなでカバーし合う動きも見られたし、チーム力が大きく成長した」と手ごたえを口にした。
「チーム一丸となって優勝できてうれしい」と新キャプテンの高橋 【photo by X-1】
新人の活躍と競争の激化
「新しいメンバーも加わり、私たちも負けていられないという感情にもなった」と萩原が語るように、新戦力の躍動はチームに大きな刺激を与えた。
今大会で存在感示した175㎝の大型ウイング新井と146㎝のセンター神谷 【photo by X-1】
これからパリ大会の出場権争いが激化していくが、若手が国際試合の経験を積んだ日本代表は、パリへの出場権を掴めば、不気味で面白い金メダル候補になるはずだ。
text by Asuka Senaga
photo by X-1
※本記事はパラサポWEBに2023年3月に掲載されたものです。
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