川崎フロンターレキャンプリポート〜スタートダッシュのカギは前線の新加入選手

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©KAWASAKI FRONTALE】

2月4日、川崎フロンターレはサガン鳥栖とのトレーニングマッチを総仕上げとし、沖縄でのキャンプを締めくくった。近年とはまた違ったチャレンジを進める中、鳥栖戦では45分×4本で11得点を奪って快勝。新シーズンに向け上々の手応えを得て、開幕までの2週間でさらなる改良を目指していく。

さまざまな発見があったキャンプを通して、特に好材料だったのは前線の選手たちに得点が生まれたことだ。

今オフに知念慶が鹿島アントラーズへ移籍。年明け早々にレアンドロ ダミアンの手術が発表されると、キャンプが始まって小林悠と家長昭博も負傷してしまった。近年のチームにおいて得点源となっていた彼らが序盤戦で起用できないとなると、新加入選手や既存選手の奮起が必要となってくることは間違いなかった。

そんな中、キャンプ中に公開された名古屋グランパス、鳥栖との試合では、多くの選手が前線や右ウイングのポジションで起用された。いろいろな組み合わせを試す中、例えば3年ぶりの復帰となった宮代大聖や桐蔭横浜大学から加入した山田新、湘南ベルマーレから加入した瀬川祐輔が得点を奪ってアピール。昨季から複数のポジションで起用されている遠野大弥や川崎フロンターレU-18から昇格した大関友翔もオプションの一つとしてプレーし、結果を残すなど、攻撃陣が開幕スタメンに向けて高い意識でゲームに臨んでいることが見られたのは大きなプラスだ。

プロ8年目で川崎が5クラブ目となる瀬川祐輔。練習試合では2得点で攻撃面でのアピールに成功した。 【©KAWASAKI FRONTALE】

川崎U-18では宮代大聖と同期だった山田新。すでに昨年のルヴァンカップでトップチームデビューを果たしている。 【©KAWASAKI FRONTALE】

昨季の主力だったマルシーニョは変わらず切れ味の鋭さを発揮しており、前線の選手たちがうまくハマってくれば、昨年以上の破壊力を持った攻撃を展開していくこともできるだろう。エースストライカー候補として注目される宮代は、覚悟を持って新シーズンに挑んでいることを強調した。

「もちろん今は怪我人が多い状況ではありますけど、(開幕から自分がスタメンで出ていくことに対する)責任や覚悟を持って川崎に帰ってきたところもあります。そこは怪我人のことは関係なく、変わらずに今までやってきたことを出すだけ。できたらピッチ内で一緒に切磋琢磨してやりたいのが本音ですし、それに今こうなってしまった以上、前線の選手がこれ以上怪我するわけにもいかない。チーム全体でもっとコンディションを上げていかないといけないと思いますし、変に気負うことなく自信を持ってプレーしたいです」

高校3年の4月にプロ契約を結んだ宮代大聖は、今年で23歳。満を持してフロンターレのエースの座を狙う。 【©KAWASAKI FRONTALE】

また、開幕からすぐにスタメン抜擢とはいかないだろうが、今季のチームのなかで面白い存在となりそうなのが履正社高校から加入した名願斗哉だ。物怖じしない性格で、対面の相手を巧みなボールタッチで抜き去る姿は、現在プレミアリーグのブライトンで活躍する三笘薫を思い出させる。

「自分は相手によってドリブルを変えたりできますし、自分で抜け切ることができるなと思ったら綺麗にかわしにいく。多少タックルを受けながらでも抜ける感じの相手だなと思ったら強引にでも行ったりできるので、そういう選択は自分の中で変えたりしています。(プロ相手でも)やはり抜けるなと。あとは、ゴール前のチャンスまではいけるんですけど、フィニッシュのところがまだまだ精度が低いなと感じているので、そこはまた練習から修正していきたいなと思っています」

高卒新人ながらそう言ってのけるメンタリティーは、チームに新たな風を吹き込んでくれそうだ。前述した大関やプロ2年目の永長鷹虎とともに切磋琢磨しながら、前線の主力を脅かすほどのパフォーマンスを期待したい。

キャンプ中の練習試合で存在感を発揮した名願斗哉。高卒1年目でのデビューはあるか。 【©KAWASAKI FRONTALE】

昨年はU-18で背番号10をつけた大関友翔。名だたるアカデミーの先輩たちに負けない活躍を誓う。 【©KAWASAKI FRONTALE】

前線の計算できる選手たちが負傷したことで「スタートダッシュは難しいのでは」という不安もあったが、キャンプでアピールする選手たちの奮闘を見ると一つ勢いに乗ることができれば、一気に勝利を積み重ねていっても不思議ではない。今季、チームの浮沈を左右する前線の選手たち。彼らが開幕から違いを示すことができるか注目したい。
(文:林 遼平)
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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