びわこから日本一に向けたチャレンジ!苦しい状況から立て直した秘密とは?

びわこ成蹊スポーツ大学
チーム・協会

【Nozomi FUJITA】

 7年連続Jリーガーを輩出するびわこ成蹊スポーツ大学サッカー部(男子)。11月20日に行われた第100回関西学生サッカーリーグ1部リーグ最終戦で、関西大学に2-1で勝利し、最終順位2位。本日開幕する第71回全日本大学サッカー選手権大会(以下インカレ)への出場権を獲得した。夏に行われた第46回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントでは創部初の3位。結果を見れば順調なシーズンと言えるだろう。しかし、シーズン開幕前から不安材料が多くあり、リーグ戦の前期も苦しい試合が続いた。どのようにして苦しいシーズンを立て直し、自分たちの力でインカレ出場権を掴んだのか―。

『4年生が抜けたポジションを誰が奪うか』不安を抱えたシーズン開幕

 昨シーズンは、インカレで関東の強豪早稲田大学に勝利しベスト8へ進出。今シーズンはさらなる高みへと周囲の期待は高かった。しかし、実際には『4年生が抜けたポジションを誰が奪うか』という課題を抱えていた。キャプテンの佐々木啓太選手(MF)は、「TOP以外のカテゴリーから這い上がってきた選手が多かった。選手個々の上手さがあるわけではなく不安もあったが、気持ちの強い選手も多いので楽しみだった」と開幕前を振り返る。

キャプテンとしてチームを牽引する佐々木啓太選手(MF) 【©びわこ成蹊スポーツ大学】

苦しい戦いが続いた前期リーグ終盤戦

 前期リーグの序盤は厳しい試合展開となりながら勝ち点を重ねるが、前期リーグ終盤は負けが続いた。関西大学との一戦では、1-6の大敗。チームの連携が取れないことでの失点が続いた。さらに、その後の関西学院大学戦、阪南大学戦でも守備の連携ミスからともに3失点で敗戦。豊田大陽選手(DF)は「チームとして苦しい時だった。改善しなければいけない試合が続いた」と語ってくれた。さらに佐々木選手は「相手をリスペクトしすぎていて、自分たちのプレーができなかった」と冷静に当時の課題を理解していた。

総理大臣杯での創部初の3位で変化!?

 前期リーグを連敗で終えた状態で迎えた総理大臣杯。2回戦の福山大学、3回戦の新潟医療福祉大学に辛くも勝利して迎えた準決勝の国士舘大学戦。初の決勝進出が期待されたが、現実は厳しかった。前半は1点で凌いだが、後半には立て続けに失点を許し0-4で大敗。泉柊椰選手(MF)は「チーム全体での感情コントロールが難しかった。それでもサブ組の選手の活躍はチームとして大きなプラスになった」と語り、佐々木選手は「フィジカル面などチームの課題が明確となり、冬のインカレではリベンジする。大学日本一になる!」とチームに対して強いメッセージを伝えていたことを教えてくれた。

総理大臣杯での準決勝を終えた選手たち 【©︎Nozomi FUJITA】

勝ちきれない後期リーグ戦での戦い

 総理大臣杯を終え9月に開幕した後期リーグ戦。前期最終戦で敗れた阪南大学に1-5で敗れ、その後も、関西福祉大学、大阪体育大学、甲南大学と3節連続で引き分け。先制点を挙げるも同点に追いつかれる試合が続いた。『リーグ戦での3戦連続引き分けは連敗と同じ』と言われる厳しい戦いが続いたが、「チームの雰囲気は悪くなかった。勝てていないチームのハーフタイムのロッカーではなかった」と豊田選手は話す。また、大阪体育大学戦からは『声出し応援』が認められたことも大きな戦力となった。「前期なら負けていたかもしれない試合を引き分けにできた」と泉選手は前向きだった。

ディフェンスリーダーとしてチームを支える豊田大陽選手(DF) 【©︎Nozomi FUJITA】

終盤に見えた自分たちの戦い

 3節連続の引き分けの後、最終3節を2勝1分けで順位を押し上げた。負ければインカレ出場を逃す瀬戸際で、選手たちは底力を見せてくれた。最後までボールを追いかけ、諦めない姿が印象的だった。リーグ終盤戦を豊田選手は「自分たちがどの大学の選手よりもサッカーが好きで、本気でインカレに出たいという想いが強い」と考えていたと話す。リーグ最終戦をスタンドから声を出して見守った佐々木選手は「試合終盤は、スタンドにいる全員も勝ちたい、インカレに俺たちが出る!という気持ちが溢れていた」とチーム力に自信を滲ませ、「チームで戦うことができるようになった。チームとして成長できたからこそ、インカレで大学日本一になりたい。」とインカレへの意気込みを力強く語った。

ドリブル突破が武器の泉柊椰選手(MF) 【©びわこ成蹊スポーツ大学】

 望月監督が選手たちに伝える『自育伸力』。選手たちが自らを育み、自らを伸ばす力を養うことを目指す望月メソッド。まさに、苦しいシーズンを戦う中で、選手・スタッフ全員が考え、主体的に自主的に取り組んだ結果がインカレ出場権獲得へとつながった。ヴィッセル神戸へ加入することが内定している泉選手は「大学サッカーの集大成。今シーズンあまり良くなかったが、結果にこだわりながら、個人としても暴れたい」と目を輝かせる。
 日本初のスポーツ大学として、本気で日本一を目指した『日本一プロジェクト』の初年度。様々な分野の専門家が選手たちをサポートしている。びわこ成蹊スポーツ大学は、12月11日(日)の2回戦が初戦。悲願の大学日本一を目指し「チーム力」で全国の強豪に勝負する。
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著者プロフィール

2003年に開学した我が国初で唯一の「スポーツ」を大学名に冠したパイオニアが、その役割を全うすべく、「スポーツに本気の大学」を目指し「新たな日本のスポーツ文化を創造する大学」として進化します。スポーツを「する」「みる」「ささえる」ことを、あらゆる方向から捉え、スポーツで人生を豊かに。そんなワクワクするようなスポーツの未来を創造していきます。

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