#54ショーン・オマラ 愛する大阪に、成長を遂げて 帰ってきたビッグマン
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そう言って身長208cmのビッグマンは、表情を崩す。
#54ショーン・オマラは2019年にエヴェッサに入団し、ここから日本でのキャリアをスタートさせた。
「日本に来る前は、コート上で自分がいちばん大きな選手であることがほとんどだったんだ。だけどBリーグでは、自分よりも大きな選手がたくさんいた。そのことに、驚いたよ。それに、あのころの僕は大学を出て間もなくで、プロとしての経験もまだわずかだった。最初に日本でプレーして、自分がまだまだ未熟だと感じさせられたね」
初来日時は24歳。経験が浅いこと、そして当時は外国籍選手が2名までしかベンチ入りできないルールに阻まれ、多くの出場機会は得られなかった。
「1年目は試合に出られないこともあったけど、ジョシュ(・ハレルソン、現B2 福島ファイヤーボンズ)をはじめ、今でも尊敬しているベテラン選手がいた。彼らがどうプレーしているのかを見て、学ぶ機会だったよ。間近でそれができて、僕にとっては素晴らしいことだった。試合に出られなくても体を大きくしたり、ディフェンスをできるようにするなど、学ぶことはたくさんあったね」
結果的に2019-20シーズンは、わずか15試合の出場にとどまり、エヴェッサとの契約延長はならず。そこからも日本にとどまり続けて2020-21シーズンはB2のバンビシャス奈良、昨季は滋賀レイクスターズでプレーした。
「大阪を離れないといけなくなったのは、すごく悲しかった。だけどまた違う機会をもらったからには、しっかりとプレーして選手として成長しないといけない。つねに、そう考えていたんだ。奈良では大阪時代よりはるかに大きくて重い役割が与えられ、昨季の滋賀でも今までやったことがない大役を任された。とくに昨季は、試合のコントロールや味方からのパスの呼び込み方、自分の役割をもっと増やしてチームに貢献することを学んだよ。それらを身に付けて、大阪に帰ってきた。今季は1年目と比べてできることが増えているので、それをコートで見てもらえるとうれしいね」
エヴェッサを離れていた過去2シーズンで彼が学び、身に付けたもの。それは決して人々の耳目を集める派手なものではないが、バスケットボール選手として総合的なスケールアップにつながるものだ。
「おそらくファン・ブースターのみんなは、あまり気付いていないと思うけど、得点能力以外のバスケットの能力は確実にアップしている。たとえばより効果的にスクリーンをかけたり、ディフェンスの際のペイントエリアの守り方、相手の外国籍選手の活躍を制限させる。そんな顕著に目に見えないところで、成長できていると思う」
目線を俯瞰に移し、黒星が先行しているチームの現状については、こう語る。
「このチームは、今年から新しくなった。ヘッドコーチが替わったし、選手はほとんど変わっていないという声もあるけど、外国籍選手がひとり替わるだけでも、大きな変更になるんだよ。それにチームの要であるポイントガードも、新しくなった。それもかなり、影響があると思うね
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「まず言えるのは、今はまだ選手がお互いのことを知り尽くす過程にあるということ。選手だけじゃなく、システムもゼロから作っているので、そのなかでどうやってお互いを生かせるか。全員が、それを探している。試合中に上手く噛み合って成功したことも何度かあるけれど、チームが目指しているのは、もっと高いレベルにある。そのためには、もっとお互いのことを理解して、阿吽の呼吸でプレーできるようになっていかないといけない」
巻き返しを図るチームのなかで、成長を遂げて帰ってきたビッグマンは、どんな役割を果たすつもりなのか。
「今のエヴェッサが使っているシステムでは、僕がボールを触る機会が多くあるんだ。そのなかで少しでもチャンスがあれば、スコアしろと言われている。なので確実な自分の仕事は、得点を獲ること。だけど自分がスコアすることばかりを考えるのではなく、チームのオフェンスが成功し続けられるようにするのも、自分の役割だと思っている」
3シーズンぶりに戻ってきた彼のプレーを見て、得点パターンが増えていることに気付かされる。今季はここまで、チーム総得点の約1/4となる1試合平均13.8得点をマーク。スコアにおいても、今やショーンは重要な存在だ。
「個人的には3ポイントシュートを、ずっと練習してきたんだ。以前はしっくりこないところもあったけど、今は快適に打てている。 それは2ポイントシュートにもつながってきていて、確率が上がってきていると思うし、フローターショットも練習し続けているので、これからも使っていきたい。ファン・ブースターのみんなは、僕がダンクしている姿が好きだと言ってくれるので、チャンスがあればできる限りやっていくよ」
もちろん、チームのためにやるべきは、得点を奪うことだけではないと理解している。
「攻守が入れ替わった際にしっかりと走ってスプリントすることと、リバウンドを獲ってチームの役に立つことを、いつも意識している。それにディフェンスの場面では相手の5番ポジション(センター)の選手だけではなく、4番ポジション(パワーフォワード)の選手を守ることある。ファン・ブースターのみんなには僕の得点だけではなく、チームのためにコートを全力で走って、リバウンドを獲って、違うポジションを守りながらディフェンスをしているところも見てほしいね」
オフの日には温泉に行ってサウナで汗を流し、カフェでコーヒーを飲んでから、最初に大阪で口にして以来、大のトリコになったしゃぶしゃぶを食べに行く。ショーンは戻ってきた大阪での暮らしを、すっかり満喫している。コートを離れると、柔らかな笑顔で冗談も好きなファニーガイ。だがいざ試合開始のホイッスルが鳴ると、一変してファイターになる。背番号54は愛する大阪のために、今日も戦う。
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