アジアツアーレポート【1】「2022 Jリーグアジアチャレンジinタイ」

川崎フロンターレ
チーム・協会

【© KAWASAKI FRONTALE】

J1リーグの激闘を終えたフロンターレは、11月11日(土)からJリーグアジアチャレンジinタイに参加した。

この大会はJリーグアジア戦略の一環として、2017シーズンより3年間にわたり、Jリーグの提携国で開催されてきたコンベンションだ。2022年は、2017、2019年のアジアチャレンジをはじめ、これまで多くのフットボール交流事業を実施してきたタイで行われた。Jリーグからは2022シーズンにタイ人選手が所属・活躍しておりタイで人気の高いフロンターレと北海道コンサドーレ札幌が参加し、タイのサッカーファンを熱狂させるエキサイティングな試合を披露した。

ピッチ外でもサッカーの楽しさ、フロンターレらしさを感じてもらう

「2022 Jリーグアジアチャレンジinタイ」の公式記者会見に臨む左からスパチョーク選手、沖田優コーチ(札幌)、鬼木達監督、チャナティップ選手 【© KAWASAKI FRONTALE】

グッズ売店では多くのタイサッカーファンの姿が 【© KAWASAKI FRONTALE】

フロンターレは試合だけではなく、試合前の場外ではホームの等々力陸上競技場で行われているようなユニークなイベントを開催。また、タイで圧倒的な人気を誇るチャナティップは、日本大使館に訪問するなどピッチ外の活動も多く行われた。中でも印象的だったのが一部の選手たちがバンコク市内にあるバンコク日本人学校でサッカー教室を開催した際のこと。コロナ禍になってから外部からの訪問者がほぼいなかったということで、たくさんの子どもたちや教員の方々から歓迎され、選手と子どもたちが一緒にサッカーを楽しんだ。やはりサッカーはみんが1つになって楽しめる最高のスポーツだなと感じさせられた瞬間でもあった。

タイに到着後から大忙しのチャナティップ選手 【© KAWASAKI FRONTALE】

バンコク日本人学校を訪問。小林悠選手はまるで先生のよう 【© KAWASAKI FRONTALE】

第1戦 BGパトゥム・ユナイテッドFC戦(3○1)

試合前に現地の子どもたちと記念撮影 【© KAWASAKI FRONTALE】

そして、メインイベントとなる第1戦のBGパトゥム・ユナイテッドFC戦。チケットは完売し、10,089人のサッカーファンがBGスタジアムに詰めかけた。

試合の立ち上がりからボールを握りながら時間を進めたフロンターレは中盤のジョアン シミッチを起点にチャンスを構築。宮城天の積極的なランニングやしかけ、知念慶のパワフルさ、佐々木旭の守備からの攻撃参加などが光った。得点こそ奪うことはできなかったが、選手それぞれがよさを出しながら0-0で前半を折り返す。

そして、スコアが動き出したのは57分。遠野大弥柔らかいクロスボールを知念が高い打点のヘディングシュートで合わせて先制。その後、63分に失点を許してしまったものの、1分後に途中出場の橘田健人が豪快なシュートを決めて勝ち越し点を挙げた。

先制ゴールを挙げた知念慶選手。存在感を示した 【© KAWASAKI FRONTALE】

このリードを得たことで、さらに圧力を高めていったが、70分に得点機会阻止の判定で山村和也が一発退場。1人少ない状況で戦うことになってしまう。それでも、粘り強さと攻撃の姿勢を崩さないのがフロンターレだ。74分、途中出場でトップチームデビューを飾った松長根悠仁がクリアからカウンターを発動。この1本のパスに抜け出したマルシーニョがGKを交わしてゴールに流し込んで勝負を決定づけた。

3得点を奪ったフロンターレが最後まで集中を切らすことなく、2022 Jリーグアジアチャレンジの初戦を制して白星スタートとなった。

キャプテンマークを付けて出場したチャナティップ 【© KAWASAKI FRONTALE】

3点目を決めたマルシーニョ。まさにスピードスター 【© KAWASAKI FRONTALE】

第2戦 北海道コンサドーレ札幌戦(3△3)

試合前に現地の子どもたちと記念撮影 【© KAWASAKI FRONTALE】

続く第2戦は同じJリーグでしのぎを削り合ってきた北海道コンサドーレ札幌との対戦。フロンターレのチャナティップ、北海道コンサドーレ札幌のスパチョークのタイ人直接対決ということもありタイのサッカーファンから注目を浴びる一戦となった。

フロンターレのスターティングメンバーには下部組織出身選手の5名が入り、U-18の松長根悠仁がトップチームスタメンデビュー。システムは従来の[4-3-3]から[3-5-2]を採用し、新たな形で、この一戦に臨んだ。

試合序盤はなかなかボールを前に運ぶことができず11分に先制点を許してしまう。その中で車屋紳太郎が負傷してしまい、22分に橘田を投入。このタイミングから[4-3-3]へシステムを変更すると次第にリズムを取り戻していく。29分に失点を喫してしまったものの、31分に橘田が強烈なミドルシュートを叩き込んで1点差に。さらに36分には宮城が鮮やかなシュートをゴール右隅に打ち込んで2-2として前半を折り返した。

橘田健人の強烈な一撃 【© KAWASAKI FRONTALE】

後半も攻勢を強めるフロンターレだったが、51分に小柏剛に得点を決められてしまい、再びリードされる展開に。それでも63分にマルシーニョが投入された1分後にチャンス到来。DFの背後に抜け出した遠野大弥が粘って最後はマルシーニョがGKを交わして同点弾。背番号23のスピードスターがピッチに立った直後に結果を残した。

ここから終盤にかけてお互いが好機を創出していくエキサイティングなゲームになっていくが、ゴールは生まれず3-3でタイムアップの笛。2022 Jリーグアジアチャレンジinタイを勝利で締めくくることはできなかったが、五十嵐太陽の技術や橘田の圧倒的なパフォーマンスなど見応えのあるゲームとなった。

古巣の札幌との一戦。チャナティップが積極的に攻撃をしかけた 【© KAWASAKI FRONTALE】

2点目を決めた宮城天。積極的なしかけで攻撃にリズムを生んだ 【© KAWASAKI FRONTALE】

タイは「熱狂的でとてもサッカーをしやすい、熱くなれる環境でした」(鬼木達監督)

熱狂に包まれたスタジアムで選手たちが躍動した 【© KAWASAKI FRONTALE】

タイでの2試合を終えたフロンターレにとっても新たなチャレンジや若手選手が国際試合に出場するという貴重な経験値を得ることができた。この大会を通じて鬼木達監督が感じたことは日本から駆けつけた多くのフロンターレサポーター、タイのサッカーファンが作り出したスタジアムの空気感だ。

「熱狂的でとてもサッカーをしやすい、熱くなれる環境でしたし、選手もプレーしていてどんどんとテンションが上がるスタジアムでした。また、今日のような試合を楽しめる環境が多くあればいいなと思います」

サッカーは楽しくてワクワクするスポーツだということを表していたのが2022 Jリーグアジアチャレンジinタイだった。同時にピッチ内外でのJリーグ、フロンターレの魅力が体感してくれたことも大きいだろう。今後もタイとの関係が深まり、発展していくことに期待していきたい。
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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