オールブラックスとの一戦でつかんだ手応え。 「イングランド代表、フランス代表戦で勝利を目指す」 コベルコ神戸スティーラーズ 李 承信

コベルコ神戸スティーラーズ
チーム・協会

【コベルコ神戸スティーラーズ】

10日午後9時、「リポビタンDツアー2022」イングランド代表戦のメンバーが発表され、コベルコ神戸スティーラーズから具 智元、山中 亮平、李 承信がメンバー入りを果たした。「イングランド代表のSOマーカス・スミスとの対決が楽しみ」と話していた李は、リザーブとなったが、ニュージーランド代表とのテストマッチを経て、ヨーロッパツアーでは一体どんなプレーを見せてくれるのか期待が高まる。ラグビーの聖地トゥイッケナムスタジアムで開催の注目の一戦は、12日午後3時15分(日本時間13日午前0時15分)キックオフだ。
 子供の頃から対戦してみたいと憧れていた黒衣軍団。
「ボコボコにされて、その強さを体感したい!」と思っていたというが、今は違う。
桜の戦士として「勝つ」というメンタルを持ち、入念な準備を行い、10月29日、国立競技場で開催のニュージーランド代表とのテストマッチに臨んだ。
出番は後半9分。
SO山沢 拓也(埼玉WK)に代わって出場し、「どういうラグビーをするべきか、みんなとしっかり共有できていたので、頭の中が整理された状態でグラウンドに立つことができました」との言葉の通り、迷うなくことなく思い切りの良いプレーを見せた。
日本代表は、ラグビーワールドカップ3度優勝のニュージーランド代表に、試合終盤まで4点差に迫る大善戦。ノーサイド直前に反則から相手にPGを決められるも、歴代最少得点差の31対38で敗れた。
「オールブラックスだからといって萎縮することなく、思う存分、自分のプレーができ、良い経験を積むことができました。ただ、良い試合ではなく、勝利を求めていたので、この結果は残念です」
試合後、李は悔しそうな表情を見せると、ハーフタイムまでリードをしていた7月のフランス代表とのテストマッチ第2戦や競り負けたオーストラリアA代表との試合を引き合いに出し
「あと1本というところで、規律が守れなかったりミスが起きたりしています。相手からのプレッシャーではなく、自分たちに要因があるので、練習中からしっかり意識していかないといけません。特にティア1のチームに対しては1つのミスや反則が流れを失うことになってしまいます。この経験をヨーロッパツアーでいかさないといけない」
と要所でのミスを悔やんだ。
だが、「オールブラックス戦で自分たちがやってきたことは間違っていなかったと感じました」と手応えも。
ヨーロッパツアーで対戦するイングランド代表、フランス代表に対して、「北半球と南半球のチームの実力差がなくなってきて、オールブラックスが世界のベストチームだと言えなくなっています。イングランド代表も、フランス代表も強いですが、勝てない相手ではないので、善戦ではなく勝てるようにしたい」と言い切った。
夏に敗れたフランス代表にもリベンジを果たしたいし、来年のワールドカップフランス大会で日本代表と1次リーグ同組のイングランド代表とのテストマッチにも出たい。
特に李が楽しみにしているのが、イングランド代表の司令塔マーカス・スミスとの対決だ。昨年代表デビューを果たした23歳のスミスは、175cm・82kgと小柄ではあるが、ゲームメイクに長け、自ら仕掛けるラン、キックもうまい。12日の日本代表との一戦でも「10番」を背負って出場する。
「体格がほぼ同じですし、年齢も2歳違い。僕もランが得意ですし、彼のようなスタンドオフを目指したいと思っています!」
秋の日本代表合宿前に、クラブハウスで目を輝かせながら、そう話していた。
振り返れば、ちょうど1年前。
チームで行われた大分合宿最終日、ホテルの部屋で当時キャプテンを務めていた橋本 大輝と「ラグビーワールドカップ2015イングランド大会」出場経験のある山下 裕史と3人で打ち上げをし、そこで山下に「ジャパンに行きたいんです!ワールドカップに出たいんです。どうしたら代表になれますか?」と気持ちをぶつけた。
それから、あれよあれよという間に、日本代表の司令塔を争うまでに成長。
兵庫県ラグビースクール時代から李を知る福本チームディレクターは
「子供の頃からラグビーセンスがずば抜けていて、メンタルの強さ、ラグビーに取り組む姿勢も目を見張るものがありました。神戸Sに入って1年目は緊張からか自信なさげに見えましたが、昨シーズンは堂々とプレーし、その勢いのまま日本代表でもジェイミー・ジョセフヘッドコーチから高い評価を受けて、想像以上のスピードで成長していますね」と目を細めた。
目標だった桜のジャージを着て躍動する李 承信、2大会連続でワールドカップ出場を目指す山中 亮平と具 智元、そして、イングランド代表戦ではメンバーから外れてしまったが定位置獲得を狙う小瀧 尚弘。ヨーロッパで大暴れし、日本代表の勝利に貢献してほしい。

文/山本 暁子(チームライター)

日本代表でも正確なキックを見せる。これまで4試合のテストマッチで6本のゴールキックと4本のPGを決めている。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

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著者プロフィール

兵庫県神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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