牝馬頂上決戦・エリザベス女王杯を制する馬は?

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【2021/11/14 阪神11R エリザベス女王杯(G1) 1着 アカイイト (Photo by JRA)】

秋の牝馬頂上決戦・エリザベス女王杯。1995年までは現在の秋華賞に相当するレースとして行われていたが96年に古馬にも門戸が開かれ、メジロドーベルやラッキーライラックなど4頭が本競走2勝をマーク。またファインモーション、ダイワスカーレット、メイショウマンボの3頭が秋華賞-エリザベス女王杯のG1連覇を飾っている。今年は秋華賞馬・スタニングローズや一昨年の牝馬三冠馬・デアリングタクトなどが出走予定。果たしてどの馬がタイトルを手にするのか。今年も阪神での代替開催となるが、京都開催時も含めた過去10年の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1、2番人気は各1勝で特に2番人気は複勝率20.0%の不振。上位人気では3番人気が4勝・3着2回で勝率40.0%・複勝率60.0%の好成績を残している。また、5〜7番人気が計【3.4.3.20】複勝率33.3%、単複の回収率153%・130%を記録。昨年は7番人気以下の馬が1〜5着を独占して大波乱になったが、過去10年の傾向からは昨年よりもう少し上位の人気にあたる馬が狙いどころになる。

年齢別成績

■表2 【年齢別成績】

年齢別では4歳馬が【6.3.7.50】と3着以内馬の半数を超え、好走確率や単複の回収率も優秀。【2.4.2.27】の3歳は回収率こそ見劣るが、連対率は4歳(13.6%)を上回る17.1%を記録している。この3、4歳勢が中心になるレースだ。

5歳以上の好走馬

■表3 【5歳以上の好走馬】

表2では劣勢だった5歳以上の好走馬は表3の6頭である。いずれも前走はG1またはG2で5着以内だったが、「5歳以上・前走G1〜G2で5着以内」だけでは【2.3.1.22】複勝率21.4%と、条件を絞った割には好走確率が伸びない。ここからさらに「前年のエリザベス女王杯5着以内」(6頭中5頭)でもうひと絞りするのが良さそうだ。サラキアだけは前年6着だったが、2着から0.2秒、5着とはクビの僅差だった。

前走クラス別成績

■表4 【前走クラス別成績】

前走クラス別ではG2組が【8.6.4.65】と3着以内馬30頭中18頭。残る12頭のうち9頭は前走でG1に出走しており、前走がG3以下だった馬は3頭しか馬券に絡んでおらず、優勝馬も出ていない。前走G1〜G2組を主力として考えたい。

前走G1からの好走馬

■表5 【前走G1からの好走馬】

前走G1組の好走馬は表5の9頭。うち7頭は前走で3着以内に入っており、この組の前走3着以内馬は【2.2.3.11】で複勝率38.9%。また、前走G1組で本競走6番人気以下だった馬は【0.1.0.15】に終わっており、前走のG1で上位に入り、ここでも人気に推されるような馬が多く好走している。

また、特にキャリアの浅い3歳勢にとっては重要なチェックポイントになるのが芝2000m以上での優勝実績だ。表5の9頭中5頭はオークス馬で、2頭はオープン・重賞優勝馬。残る2頭も条件戦では勝利を挙げており、芝2000m以上未勝利馬は馬券に絡んでいない。加えて2019年のクロノジェネシス(2番人気5着)や昨年のアカイトリノムスメ(2番人気7着)のような、芝2000m以上での勝利が前走の秋華賞だけ、という馬の好走もない。

前走府中牝馬Sからの好走馬

■表6 【前走府中牝馬Sからの好走馬】

前走G2組で主力となるのは【5.5.3.42】複勝率23.6%の府中牝馬S組。2016年以降、毎年少なくとも1頭は連対を果たしている。表5のG1組に比べ馬券圏外からの巻き返しが多く、同レース7着以内なら【5.5.3.23】複勝率36.1%。そのうち4歳馬は【4.2.3.8】複勝率52.9%になるため、府中牝馬S7着以内の4歳馬がいれば軽視は禁物。5歳以上の馬は表3の条件で振り分けたい。

前走その他G2からの好走馬

■表7 【前走その他G2からの好走馬】

最後に表7は前走が府中牝馬S以外のG2だった好走馬5頭である。このうち4頭は前年の本競走連対馬で、いずれも前走では2〜3着。残る1頭・マリアライトは本競走がG1初出走だった。

【結論】

3歳馬と古馬が激突するエリザベス女王杯。古馬勢では特に4歳馬(表2)の好走が目立っている。今年、その4歳の筆頭格として挙げられるのはアンドヴァラナウトだ。前走の府中牝馬Sで3着に入り、好成績の「府中牝馬S7着以内の4歳馬」(表6)に合致。さほど人気にはならなそうな点も、表6の府中牝馬S組の傾向から好材料ととらえられる。

3歳勢では秋華賞1、2着のスタニングローズとナミュールに注目が集まるが、ナミュールはオークス3着、秋華賞2着で芝2000m以上未勝利。対してスタニングローズは秋華賞のほか2走前の紫苑Sでも芝2000m戦を制しており、表5からスタニングローズを上位にとりたい。その他では、府中牝馬Sを制した5歳馬・イズジョーノキセキが前年の本競走5着で5歳以上の好走条件(表3)をクリアしており、要注目の存在になる。

なお、ここ10年は外国馬の出走がなかったためアイルランドのマジカルラグーンは判断が難しい。愛オークス優勝の実績は2010〜11年(3、4歳時)に本競走を連覇した英国馬・スノーフェアリーと同じだが、同馬の3歳時はほかに英オークス優勝、ヨークシャーオークス2着があり、それぞれ不出走・5着だったマジカルラグーンはやや見劣る印象だ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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