早実バレー部春高特集 綿引監督×新井琉之介 「春高に行けずとも」正攻法で挑んで散った昨年から得たもの

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【早大競技スポーツセンター】

高大連携強化企画 早実高男子バレー部 春高予選特集【後編】

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記事・写真 五十嵐香音(早稲田大学競技スポーツセンター学生スタッフ・政治経済学部2年)

選手を率いる綿引亮太監督(2010年 早稲田大学院経済学研究科修了)とチームのスコアラーである新井琉之介(3年)に、早稲田大学バレーボール部との高大連携、選手リクルーティングなどについて聞いた前編。後編では2021年の全日本バレーボール高校選手権(春高)予選の振り返りに始まり、今年の春高予選に向けた現在のチーム状態について伺った。

※この取材は9月7日に行われたものです。

昨年の春高予選の振り返り

2021年の春高予選で早実は、シード校参戦で10月終わりの予選を勝ち抜き、代表決定戦に進んだ。ここでまず東亜学園(東亜)と対戦しセットカウント2ー1(21ー25、25ー17、23ー25)で敗戦。3位決定戦に回った。そこでは東海大菅生(菅生)と戦い、2ー0(25ー21、25ー21)で敗戦。春高予選を都4位で終えた。

――10月の予選で印象的なことは

新井 安田学園戦ですね。昨年は3年生が3人ともうまくて、チームのバランスが良かったと思います。点差がついても、ちゃんとやり切れるチームでした。

綿引 監督として考えているのは、どんなに厳しい状況でも、ベスト4は死守しなければいけないラインということです。残れば、決定戦ではメディアも入りますし、「早実はこういうことをやっているのね」と見てもらえる機会になります。なので、ベスト4決めが1つ目の山場だと思っていました。

――早実、駿台学園(駿台)、東亜、菅生の4校で行われた代表決定戦については

新井 (春高に)2位で行くか3位で行くかかが大きなテーマでした。自分たちもそうですが、3年生が3位じゃなくて、東亜を倒して2位で行きたいというのがあって。それができるチームでもあると思ったし、当日もできなくはなかったと思うのですが。3年生は勝てるプレーをしていましたが、最後は自分が負けさせてしまったなと感じます。

――代表決定戦、ダブルヘッダーですよね

綿引 そうですね。勝ち抜きなので2試合で、間が30分しか空かないです。

――それで最後、足をつってしまったとか。やはり他校はメンバーを入れ替えて臨むのですか

綿引 菅生は入れ替えていましたね。準決勝で出していない時間を作って、3位決定戦で出すという戦い方をしていました。

――監督として振り返って

綿引 ここの会議室(対談でお借りしたまさにその場所)に全員呼んで、3位決定戦で勝負しようと言いました。2位になる必要はない、出ることが重要だからと。年度通じて東亜には勝っていない状態で、最後の春高予選で勝つというハードルよりも、インハイ予選で1回勝っている菅生を選んだ方が勝てる確率が高かったので。はっきりそこまで話はして、3年生が「いや、東亜と勝負します」「長年駿台と東亜が1位、2位で続いているその流れを自分たちが変えます」という話をしたので、自分も下級生もそれに乗ろうと言って、やったことです。他の先生にはお前何やってるんだと言われましたけど(笑)。

――最初の東亜戦で手を抜かずに勝負し続けていたから、消耗が激しかったということですね

綿引 東亜と勝負して負けたあとに、菅生とやっても大丈夫とは思っちゃいけないよという話はしました。東亜とやるなら東亜に絶対に勝たないと、その後の体力は残っていないよと。

新井 3年生も、3位で行く春高は嬉しくない、だったら行かない方がいいという感じでした。

現在のチームについて

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――春高を経験した世代がいないことで影響は

綿引 決定戦を経験してれば大丈夫です。あの緊張感とか、カメラが回っている独特の雰囲気で、「あ、負けた。勝つって大変」という経験がないとまずいですね。

――早実のプレースタイルは

新井 オーソドックスではありますね。

綿引 例年通りです。ハイボールをしっかり打ちこめる選手が1人必ず必要で、それ以外は組織的に守ってバランスよく攻撃を仕掛けて。地面を這いずり回ってボールを拾う(笑)。

――人数が少ない中で、春高予選、本戦を戦うということの難しさは

新井 3年間、綿引先生から言われているのは「戦える奴が6人いればいい」ということです。それは自分もそうだなと思っていて。人数の少なさは練習の構築が難しいことはあるのですが、大変な要素ではあっても、試合の勝敗に関する直接的な要因ではないと思います。

――今のチームの仕上がりは

綿引 (新井が)国体から戻ってきたときに自分とチームの良さ、悪さをフィードバックして浸透させようとしてくれました。今年の3年生の代はどうやってもコロナのせいで練習時間が足りていない世代だけれども、間に合う可能性があるなと。仕上がりとしてはすべり込める可能性が十分出てきたなと思います。いいものを持ち帰ってくれました。

――この時期にチームを離れるということについては

新井 夏に詰めないといけないことも多いですし、その時期に柱にならなければいけない人間が抜けるというのはまずいと思っていました。でも、高いレベルでやって還元できるようにしなければなと意識していたので、結果的にデメリットにはなっていないですね。

春高予選に向けて

――意気込みを!

綿引 1人のバレーボーラーとしては私が出たいです(笑)。春高は全バレーボーラーの憧れなんです。小学生でも、大学生でも、社会人になったって出たい場所です。ただ選手を預かっている身としては、勝つことは目標ですが、人として成長できる場にしなければいけなくて、その延長線上に春高があるので。指導者としては選手が一生懸命頑張って悔いなくやるために、まずはベスト4を死守します。

新井 今年はなんとしても、絶対に春高に出たいです。チームとしての質もまだまだこれからなので、最後しっかり詰めて春高に出られるようなチームに仕上げたいです。

――ありがとうございました!

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◆綿引亮太監督(わたびき・りょうた)写真右

早稲田実業学校中等部・高等部男子バレーボール部監督兼顧問。2008年早稲田大学政治経済学部卒業、2010年早稲田大学大学院経済学研究科修了。早稲田実業学校高等部卒業。春高予選に向けてダイエットを開始した監督。ほぼ毎日、片道5キロを走って通勤しているそうです!

◆新井琉之介(あらい・りゅうのすけ)

早稲田実業学校高等部3年。192センチ。埼玉・市熊谷東中出身。東京都の国体メンバーに選ばれた新井選手。国体とチームの練習に加え、進学のための学力試験も近く、大忙しな日常を送っているそうです!

【高大連携強化企画】早実高男子バレー部 春高予選特集 前編・後編・練習編の続きは【関連リンク】から↓

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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