鈴木智也選手、泉ひかり選手が4位入賞 第1回パルクール世界選手権

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第1回パルクール世界選手権第2日が15日、東京・有明アーバンスポーツパークで行われ、男子フリースタイルで鈴木智也選手が24.5点で4位、朝倉聖選手が23.5点で7位入賞、女子スピードでは泉ひかり選手が35秒80で4位に入賞した。

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記念すべき国際体操連盟(FIG)主催による初めての世界選手権での4位入賞。表彰台まであと一歩届かなかった自身のランに、鈴木選手は「トリプルフルツイスト(両足踏切で後方宙返り3回ひねり)を硬い床でやったのは初めて。それを決めることができたのは嬉しく思っています」と納得の表情を見せたものの、一方で悔しさの方が上回った。

「最後の着地でミスして、セーフティの部分で0.5点引かれて表彰台を逃してしまいました。いつもミスしないはずの場所でのミスだっただけに悔しいですね」

ただ、鈴木選手にとっては大きな成長をつかんだ大会でもあった。ハイスコアを出している選手のランを研究し、先週9日の日本選手権とは技の構成を変えて臨んだ世界の大舞台。自身の持ち味だった空中での回転技を抑えつつ、フロー(技と技のスムーズさ、連続性)を意識しEスコア(実施点)を伸ばすことを主眼に置いたランで、予選でも24.0点の高得点をマークした。

「空中技を少なくしてもこれだけの点数が出た。自分の中でこれは大きな成長だと思いますね」

世界選手権で得たこの経験と成長は、きっと“次”への大きな糧となる。鈴木選手は今後へ向けて「FIGの公式大会のみならず、今後は国際大会にたくさん出て、世界に飛び出していきたいですね」と力強く誓った。そして、それと同時に、世界選手権が日本で開催されたことをきっかけにしてパルクールの認知度がさらにアップすることにも大きな期待を寄せている。

「パルクールはまだまだ発展途上でマイナースポーツ。危険なスポーツだとだけ受け止められるのはもったいない。パルクールは本当は誰でも簡単にできるものだし、大会に出ているようなプロ選手はしっかり訓練しているから安全に楽しめるスポーツなんだよと、もっと知っていただいて、パルクール人口がもっと増えていってほしいなと思います」

朝倉聖選手、大会では世界初のクアドコークに挑戦

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一方、第1回、第3回の日本チャンピオン・朝倉選手は、大会では世界で初めてとなるクアドコーク(片足踏切での後方宙返り4回ひねり)に果敢に挑んだが、着地で片膝をついてしまい惜しくも成功とはならず。また、朝倉選手自身も演技後のミックスゾーンで分析したように、このミスが響いて得点は伸びなかった。

ただ、このチャレンジ自体に悔いはなく、得点と順位という結果こそ残せなかったものの、晴れやかな表情を浮かべていた。

「日本選手権で成功した鉄棒の上からのトリプルコークをやっていれば、日本選手権では26点が出ていたので、今回も表彰台の可能性が高かったかもしれません。でも、表彰台ではなく1位を狙ったこと、また世界で初めてクアドコークを大会で出すというチャレンジでしたので、今回の自分のランには満足しています」

代名詞のトリプルコークからクアドコークへと、新たな一歩を世界選手権で刻んだ朝倉選手。今後は確実に決められる鉄棒の上からのトリプルコークを主要武器とし、大勝負をかけるときの秘密兵器としてクアドコークの精度をさらに高めていきたいと、今後の抱負を明かしてくれた。

泉ひかり選手、1日でタイムを5秒縮める大躍進!

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女子スピードで会場を盛り上げたのが、日本女子の第一人者としてこのシーンを引っ張ってきた泉選手だった。

前日の予選は40秒78で7位通過。それだけに「40秒を切ることを目標に」と臨んだセミファイナルだったが、ふたを開けてみれば3秒縮める37秒63で決勝進出。これだけでも「ビックリしました」と本人も驚きのタイムだったのに、決勝ではさらに2秒短縮する35秒80をマーク。惜しくも3位の選手からわずか0秒15差の4位となったが、泉選手は「セミファイナルはミスなくベストの走りだと思っていたので、決勝のこのタイムは想像もしていませんでした」と、大満足の表情でこの日の2本のランを振り返った。

1日で5秒という、本人の想定をはるかに超えるタイム更新には秘密があった。一つは一緒にレースを走った仲間からのアドバイス、そしてもう一つが泉選手自身のチャレンジングスピリットだ。

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「前日の予選で、私のような体の小さな選手がやらないようなルートの選択を同じくらいの体格の海外選手がやっていたんです。それは男子が選択するようなルートで、下手をすると逆にタイムが遅くなるかもしれない。でも、海外の選手が『どうしてやらないの?』と後押ししてくれて、レース30分前の練習で挑戦してみようと思いました。自分自身、すごく成長できたと思います」

ともすれば、ライバルを手助けして自分の順位を落とす結果になるかもしれないようなアドバイスだが、この選手同士の“助け合い”こそがパルクールの魅力。泉選手も「ストリートスポーツ、パルクールならではのことかもしれないですね」とニッコリ。また、13日の大会前日のこと。雨のため公式練習がすべてキャンセルになって時間ができたことから、海外選手を20人くらい引き連れて、切符の買い方をレクチャーしながら電車とバスを乗り継ぎ、都内のパルクールジムへ一緒に練習に出かけた。そんなパルクール選手同士のつながりがよく分かるエピソードも教えてくれた。

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「今回は技術的に詰まるところがなかったので最終的には体力の差。最後にバテなければもう少し行けたはず。今後はもっと体力をつけたい」と新たな課題を見つけつつも、世界のパルクール仲間と助け合いながら出せたベストパフォーマンスに「走り切ることができて楽しかった」。初日、2日目のランをそう振り返った泉選手は、15日の最終日に行われる女子フリースタイルに向け「明日も楽しみます。気楽に自分の好きなランをして頑張ります!」と、笑顔の完全燃焼を誓った。

第1回FIGパルクール世界選手権 Presented by Yahoo! JAPAN

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日程:2022年10月14日(金)~16日(日)
会場:有明アーバンスポーツパーク (東京都江東区有明1丁目7番2)
競技種目:スピード(男子・女子)、フリースタイル(男子・女子)
入場無料
*アプリのダウンロードとエントリーが必要となります

[スケジュール](予定)

10月16日(日)
男子スピード予選・決勝
女子フリースタイル決勝
表彰式

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