日本で実績を残した指揮官が新たに就任 エヴェッサは2022-23スタイルに進化する

大阪エヴェッサ
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大阪エヴェッサは今季を戦うにあたり、昨季まで西宮ストークスを率いていたマティアス・フィッシャーを新たなヘッドコーチ(HC)に迎えた。ドイツ出身のフィッシャーHCは、2019年に西宮に招聘されて初来日。西宮を率いた3シーズンはすべて、チームをプレーオフ進出に導いた。

「日本に来たときにB1でコーチをすることが目標だったので、エヴェッサからのオファーはすごく嬉しかったです。大阪エヴェッサは、組織が素晴らしい。それにホームアリーナで練習できるし、ウエイトルームも同じ建物にあってと、練習環境もとてもいい。もちろん、ファン・ブースターの方たちも素晴らしいです。実は大阪vs琉球ゴールデンキングスの試合を、おおきにアリーナ舞洲で見たことがあるんです。みなさん熱心に応援していて、会場の雰囲気がすごく良かったのが印象的でした。このチームで、このアリーナでゲームができるんだと思うと、今から興奮しますね」

隣町のチームを率いていたとはいえ、つぶさに西宮のゲームを見ていたエヴェッサのファン・ブースターは、さほど多くはないかもしれない。だからこそ気になるのは、フィッシャーHCがどんなバスケを目指すのかということだろう。それについては、明確な答えがある。

「まずは絶対に、ディフェンスを強くしたいと思っています。昨シーズンからの課題であるディフェンスを克服して、そこからいい流れでオフェンスに入る。そうして、速い展開を作っていきたい。それにオプションが多彩にあるバスケットボールも、目指すところです。エヴェッサには良いシューターが揃っていて、アウトサイドで技を披露できる選手もいますし、インサイドで活躍できる選手もいる。インサイドゲーム、アウトサイドゲームのどちらも駆使した、バラエティーに富んだバスケットボールをしたいと思っています」

饒舌な指揮官は、さらに言葉を重ねる。

「ピックアンドロールをうまく活かすことも、選手に期待しています。全体的には、ヨーロッパのスタイルに近くなるんじゃないでしょうか。どこにパスを出して、どうボールを動かすのか。ピックアンドロールから出てきた選手が何をどう使い、周りはどう反応するべきなのか。それらを理解した上で、プレーしてほしい。昨季までとは違う新しいシステムなので今はまだ、共通理解を深めている段階です。だけどこれらが浸透すれば、間違いなく今季のエヴェッサの強みになります」

アグレッシブに守り、ボールを奪うと素早く敵陣に攻め込む。それが、フィッシャーHCが目指すゲーム展開だ。

「日本で成功するためには、このスタイルでないといけないと思っています。ディフェンスが強ければ、オフェンスが簡単になる。そのことを、選手たちは理解し始めています。たくさんのシステムを用意しなくても、いいディフェンスからファストブレイクができれば簡単なポストアップや、ひとつのドラッグスクリーンだけでスコアできたりと、自動的に得点できるようになるはずです」

新キャプテンはジョージ&ディージェイ。シーズンで成長し続け、目指すはCSとその先へ 【Copyright © OSAKA EVESSA . All Rights Reserved】

今シーズンを戦うにあたって、自らの流儀に従い、ふたりの選手をキャプテンに指名した。ひとりは、長らく日本代表でも活躍したベテラン#15竹内譲次。

「私はこれまでのコーチ経験のなかで、基本的にキャプテンをふたり置いてきました。ジョージはみなさんご存知のとおり経験豊富な選手で、Bリーグの優勝リングをふたつも持っている。このチームにはまだ、優勝経験がある選手はいません。優勝した経験を活かして、チームをより良い方向に引っ張っていってほしい。その思いがあって、ジョージを選びました」

もうひとりはチーム随一のスコアラーにして、ファン・ブースターから“神様”と崇められる#25ディージェイ・ニュービルだ。

「ディージェイは本当に、優秀な選手です。彼は英語が母国語ですし、リーダーシップもある。なのでディージェイが外国籍選手を、日本人選手はジョージがまとめる役割を担ってもらいたい。それにジョージは英語も日本語も話せるので両者をつなげて、チーム内のコミュニケーションを円滑に図っていってもらいたいと思っています」

良い結果を残して、気持ち良く2022-23シーズンのスタートを切りたいところだったが、開幕の千葉ジェッツ戦は惜しくも連敗。とはいえ2戦ともビッグクラブ相手に内容は充分にあったゲームで、悲観する必要はない。

「もちろん、開幕から勝てれば良かったです。負けはしましたが、良い内容の試合でしたし、得るものは多くありました。千葉JとのGAME1はディフェンスリバウンドやフリースローでミスが多くありましたが、23個ものアシストを記録したのは素晴らしい。GAME2は前日の課題だったターンオーバー、リバウンドを修正できましたし、なによりだれもあきらめることなく、最後の1秒まで全力を尽くしてプレーしてくれた。私はチームを、誇りに思いました。今週は千葉J戦で得られた課題を調整して、宇都宮ブレックスとのホーム開幕戦に臨みます」

シーズンを通しての最初の目標は当然、チャンピオンシップ(CS)出場である。

「最初の目標はそこであり、もちろんその先に進むことこそが、最終的に目指すものです。いいチームを作って、良い組織にして、このチームといっしょにCSに行きたい。長い道のりですが、そこに辿り着くための短期目標も設定しています。それはディフェンスを安定させる、オフェンスを安定させる、オープンショットを決める。チーム内でしっかりと、コミュニケーションを図ることもそうです。それらの小さな目標を達成していって、成功するチームになってCSに進みたいです。いや、進みたいではないですね。CSに行きます!」

普段は温厚で、冗談好き。しかしゲームが始まると熱血漢になる指揮官とともに、大阪エヴェッサの新たな冒険が始まる。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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