早大競走部 4×400mリレーで日本一! 4継は悔しさ残る3位

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

第106回日本選手権リレー 10月1・2日 東京・国立競技場
【早稲田スポーツ新聞会】記事 宇野結子、写真 及川知世、戸祭華子

清々しい青空の下、国立競技場で第106回日本陸上競技選手権大会リレー競技が行われた。4×100メートルリレー(4継)、4×400メートルリレー(マイル)は、両種目において今シーズンで大きな舞台での優勝を逃していた。その中出場した、リレーの日本一を決める今大会において、4継は3位、マイルは優勝というかたちで大会を終えた。

★4×100メートルリレー

4継では、今まで早大のリレーの中核を担ってきた4年生、澤大地(スポ4=滋賀・草津東)はエントリー外。日本学生対校選手権(全カレ)からメンバーを変え、1走から三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)、稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)、池淵秀(法3=京都・洛南)、西裕大(教3=埼玉・栄東)のオーダーで予選・決勝ともに出場し、頂点を目指した。予選では、三浦と稲毛がリードを作り、その勢いに乗って、池淵、西も落ち着いた走りを見せ、余裕をもって1着でゴール。39秒09という全体1位のタイムで決勝へ進んだ。

予選のレースでゴールするアンカーの西 【早稲田スポーツ新聞会】

翌日行われた決勝。1走から3走まで拮抗(きっこう)した上位争いが繰り広げられた。早大も上位争いに食い込んでいたが、3走から4走のバトンパスにおいて、バトンをスムーズにつなぐことができず失速し、4走の時点で5位。4走の西が追い上げを見せるも39秒33の3着でゴールし、「悔しいというよりも現実を受け入れられない」(稲毛)、「不甲斐ない走りをしてしまったなという悔しさとか、いろいろごちゃごちゃの感情がこみ上げてきた」(池淵)、「三浦さんに金メダルかけられないか、情けない」(西)というように、気持ちを整理できない様子を見せた。

レース後の3年生。左から池淵、西、稲毛 【早稲田スポーツ新聞会】

★4×400メートルリレー

関東学生対校選手権(関カレ)7位から力を上げたものの、全カレは悔しい2位という成績で終わっていたマイル。今シーズンは最終戦までメンバーを変えず、予選・決勝ともに1走から眞々田洸大(スポ2=千葉・成田)、新上健太(人3=東京・早実)、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)、竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)のオーダーで出場した。予選では、おのおのが力強い粘りのある走りを見せ、3分5秒05のタイムをマークし、全体1位で決勝へ駒を進めた。

予選を好タイムで終え、充実した表情のマイルメンバー 【早稲田スポーツ新聞会】

今大会を締めくくる決勝の舞台でも、おのおのが持ち前の走りを見せることとなった。1走の眞々田はホームストレートで伸びをみせ、46秒台のラップタイムでバトンパスをした。2走の新上はオープンレーンになったところで駿河台大の後ろにつけるも、粘りの走りを見せ、残り20メートル前後のところで前へ出てトップでバトンを渡した。3走藤好は縦一列で走る選手たちの先頭を守りきり、ラストは2番との差をつけ竹内へつないだ。4走竹内は200メートル地点まで5人の団子状態で走っていたものの、「後半自信がある」というように後半で驚異の伸びを見せ、後続を突き放して、3分5秒23のタイムでゴールし優勝を掴んだ。「記録の面で、早稲田記録(3分4秒34)と学生記録(3分3秒71)をめざしていた部分はあったので、そこに及ばなかった点は、まだまだ自分たちの弱さだと思う」(眞々田)と、記録に納得する様子は見せなかったが、順位に対しては、「率直に嬉しい」(眞々田)とそれぞれが優勝の喜びを噛み締めた。

バトンを掲げゴールする竹内 【早稲田スポーツ新聞会】

今大会は、優勝を逃したことに対し悔しさをにじませる4継、順位に対しては満足がいったものの記録の面でさらなる向上を望むマイル、というかたちに終わった。今後に向け、強い気持ちをもって高みを目指して冬季練習を積み、来シーズンはさらに強くなったチームで、両リレーの表彰台の真ん中をエンジで染めることとなるだろう。

結果

▽4×100メートルリレー
予選
(4組1着+4)
早大(三浦―稲毛―池淵―西) 39秒09 (1組1着)決勝進出

決勝
早大(三浦―稲毛―池淵―西) 39秒33(3着)


▽4×400メートルリレー
予選
(4組1着+4)
早大(眞々田―新上―藤好―竹内) 3分5秒05(1組1着)決勝進出

決勝
早大(眞々田―新上―藤好―竹内) 3分5秒23(1着)

コメント

▽4×100メートルリレー

三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)

――3位という結果は率直にいかがですか

スタート前もメンバーで、2位も8位も全部一緒だと思って戦ってこようと言っていて、その中で3位で、どの順位になってもその結果自体を受け入れる準備はできていたので、率直に「勝てなかったな」と。2位も4位も8位も3位も変わらん、と。そんな感じでしたね。

――バトンミスもあったと思うのですが、チームとして力を出しきれなかったという印象ですか、それとも出し切った結果なのでしょうか

どちらもあったのではないかなと思います。僕がスタート失敗したところから始まって、どこの区間に関してもバトンは100点ではないバトンがつながっていて、最終的に3、4に関してはミスにもなっているので、しっかりスタートからゴールまでバトンがきれいに回らなかったというのもありますし、一方で、走力の部分で他の大学と比べると足りていなかったのかなと思う部分もあります。

――マイルの表彰式を見ている時に「頼もしくなったなあ」とおっしゃっていました。マイルの結果を見てどう感じましたか

取るべき順位を取ってきたな、という感じです。前は何位になるか不安だったり、ヒヤヒヤして見ていた部分もありましたが、今回はしっかり走れば1位だろう、というところで、しっかり1位で回って帰ってきたので、そういう意味での「頼もしくなったなあ」という言葉になります。

――リレーという点に絞って4年間振り返るといかがですか

マジでリレー楽しかったです。陸上の中で一番リレーが面白いです。それを1年生の頃からリレーの軸として4年間ずっとスタメンで起用してもらえてよかったし、自分の競技人生の終わりを4継で終われたのも非常に幸せなことだなと思います。

――陸上生活全体を振り返ってどう感じますか

幸せですよ。楽しかったです。

――特に早稲田での4年間は振り返っていかがですか

1年生の頃と比べて、今4年生になって主将をやっているというところもありますが、エンジに対しての考え方、捉え方というものも変わって、そう言った意味で早稲田大学競走部というのは、競技とは違った別の部分で、人の考え方や心の部分を変えていく力がある場所だなと思います。そういった環境で4年間競技ができたこととか、自分の中で新たなエンジに対しての理解のもとで競技ができて幸せ者です。



池淵秀(法3=京都・洛南)・稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)・西裕大(教3=埼玉・栄東)

――予選の走りを振り返っていかがですか

稲毛 予選は、自分の中では全カレ(日本学生対校選手権)が思うように走れなかった部分もあるので、ある程度ここに合わせてきて、自分の走りをすれば他大と競るというか、自分が一番2走の区間の中で速いなと思っていたので、自分のやるべきことをやったかなという感じですね、予選は。あんまり走りがどうこうっていうよりかは、自分の走りができたかなという感じです。

池淵 予選は、かなり1、2走で飛び抜けていたのが分かっていたので、そつなくつないで、走って、つないでということだけ意識して。あまり欲張る必要はなかったので、そういう感じです。

西 そうですね、3走の時点でほぼ勝ちが決まっているような状態だったので、僕は本当に絶対渡るようなタイミングで出て、それでちょっと詰まってしまったんですけど、それでもいいと思って遅めに出て、確実に1位を取るというバトンをしました。走り自体は相当良くて、リラックスした状態で結構いいタイムが出ていたので、良かったです。

――予選から決勝に向けて修正したところはありますか

稲毛 他大も結構勝負を仕掛けてくると思っていたので、結構攻めのバトンで、三浦さん(励央奈主将、スポ4=神奈川・法政二)とも相談して、足長を一歩伸ばしました。走り自体も予選がいいものだったので、そのまま行こうとは思ったのですが、いざ決勝になってみて少しアクシデントではないのですが、予想以上にちょっと三浦さんが来るまでの時間が長かったので、そこで冷静に自分のやりたい動きができなかったのと、思っていたより東海、大東がかなり前にいたので、走りが急いでしまった感がありました。やっぱりそこで冷静に走れなかったというのは反省点かなと思います。

池淵 細かい調整だけして、僕の区間はほとんど何も変えずにやったんですけど、自分の動きができていたかは…。ブレーキをかけたのは分かっているんですけど、まだ心に整理がついていなくて。内側だったので本当は詰めないといけないところが詰まらなくて、1番でつなげなかったという、僕の弱いところが出たなという感じです。

西 さっきも言った通り、予選は確実に抜ける走りをしてバトンも詰まったので、決勝はしっかり勝負するバトンというか、マークの通りに出て、しっかり利得を稼いで僕も最高スピードに乗った状態で(バトンを)もらおうと思ってやりました。でも実際、マーク通りに出るというところは問題なくできたんですけど、自分が池淵の走りを見れていなくて、自分が今日はすこぶる調子が良くて非常にのっている状態だったので、本来ならば池淵の走りと自分のコンディションを比べないといけないのですが、バトンをつなぐという本質が見れていなくて。目的はバトンを渡すことなのに、あくまでも手段でしかないマークの通りに出るということが自分の目的になってしまっていて、本質を見失ってしまっていたのかなと思います。そのせいで前走者の池淵の走りを見れてなくて、結果的にバトンがギリギリまで来なくて、1回後ろを向いてもらってしまって、そこで減速がおきて、そのせいで負けたと思っています。

――走り終わった後は率直にどのような心境でしたか

稲毛 悔しいというか、マジか、という感じでした。慢心とかではないですけど、準備もしてきたし、他大よりも走力も間違いなくポテンシャルも高いだろうと思っていたので、マジかと思うのと、そう簡単に勝てないなと、終わった瞬間にめっちゃ実感しました。結局「他大よりも」とか、自分たちの中では思っていたんですけど、他の大学に比べたらバトンとかの精度もまだまだ全然だし、自分が思ってたような結果ではなかったので、悔しいというよりも現実を受け入れられない感はありますね。

池淵 (西に)僕が渡した時点で後ろで渡してしまい、西が3位まで上げてくれたのはありがたい、西強いなと思いました。全カレが終わってから三浦さんを勝たせること以外に何も考えることができなくて、どんな瞬間でもそのことを考えていて、自分が1番をとること以外は考えていなかったし、自分がブレーキになるとも考えずに走りきるつもりで、やっていました。今年最後になるかはまだ決めていないですが、大一番は最後だと思うので、これだけお世話になって最後の1本、三浦さんと走ることができる貴重な1本で不甲斐ない走りをしてしまったなという悔しさとか、いろいろごちゃごちゃの感情がこみ上げてきました。

西 三浦さんに金メダルかけられないか、情けないな自分、みたいなことを漠然と思っていました。追いましたが、遠かったです。

――4年生への思いは

稲毛 僕は1年生からリレーメンバーに入っていたので、それだけ過ごす時間も長くて。特にやっぱり三浦さん、澤さん(大地、スポ4=滋賀・草津東)には走りとかもいろいろ教えてもらっていたので、本当に最後に1位の金メダルを渡せなかった悔しさもあるんですけど、来年こそは1位をとるので見ていてほしいなという気持ちです。

池淵 このチームを今年ここまで底上げしてきたのは4年生、本当に今までにないくらい勝ちに対する貪欲さや練習などからも、僕が1年生のときに経験した冬季(練習)とは全く違った雰囲気で、レースみたいな感じでずっと練習していました。10数年間陸上をやっていて、なかなかその雰囲気を練習から出せるというのはないことなので、強くしてくれた先輩ですし、自分をここまで選んでくれて走らせてくれたことも4年生の存在があってこそだったので、メンバーに選んでもらったからには金メダルをかけてどこかで全カレか日本選手権かとにかく日本一にしたかったです。やることをやるしかないので、冬季(練習)が始まりますが昨年の先輩たちの気迫以上のやる気など、妥協しないで弱いところを見せないで半年間積んで強くなった自分を三浦さんと澤さんと野口(友希、スポ4=神奈川・横須賀)さんに見せることができたらいいかなと思います。今年が救われることはないと思いますが、褒めてもらえるのかなと思います。

西 自分は4年生の代と年が同じで、もちろん先輩ですし敬っていますが、どこか他の3年生よりも対等に近いかたちで2人とは話をさせていただきました。僕は高校時代無名の選手でしたが、2人は誰でも知っているような同世代のトップランナーで、その2人と走ることができて本当に楽しかったなと今思います。あの2人がいたからわざわざ浪人してでもこの部活に来た価値はあったなとすごく思います。2人のおかげで僕の今年の陸上が本当に楽しかったですし、もちろん仲間として4継で走るのもめちゃくちゃ楽しかったです。勝たせたかったという思いもあります。全カレや関カレ(関東学生対校選手権)、学生個人(日本学生個人選手権)で2人と真剣勝負、競ったことが一生の宝になるのかなとすごく思います。そんな2人だから勝たせたかったですし、金メダルを一緒にかけたかったです。4年生みんなに金メダルを見せたかったです。

――今後の目標をお願いします

西 4年生たちに1度も金メダルをかけられなかったのは、しばらく受け止めるには時間がかかるというか、なぜできなかったのかを考える時間をつくりたいなと思います。その上で冬季に向かって自分は何をすべきなのか、自分には何が足りなくてこの結果になってしまったのかというのを分かった後で、もう1度自分がどうすればいいのか考えたいと思います。来年は200メートルでは三浦さんの記録を抜きたいです。4継では先輩方に教えていただいたことを後輩に還元して、3冠します。



▽4×400メートルリレー

新上健太(人3=東京・早実)、竹内彰基(スポ3=愛知・瑞陵)、藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館)、眞々田洸大(スポ2=千葉・成田)

――まず、優勝した率直な気持ちを教えてください。

眞々田 優勝は率直にうれしい気持ちです。記録の面で、早稲田記録と学生記録を目指していた部分はあったので、そこに及ばなかった点は、まだまだ自分たちの弱さだと思っています。

新上 同じです。

藤好 同じくうれしいです。

竹内 同じくです。

――決勝でのそれぞれの走りを振り返ってください

眞々田 僕は、予選の時は前半結構ゆったりめでいってしまいましたが、後半速く走れて、そういった予選のレースで後半走れた経験から、決勝のレースでは前半、予選よりも速く通過して、後半は同じペースで通過しようというレースプランを立てました。大方そのプラン通りにはいけましたが、予選からあまりラップタイムを縮めることは出来ませんでした。ですが、ラップベストは出せたので良かったかなと思います。

新上 200の通過で先頭を取りたかったのですが、そこで駿河台に前行かれてしまい、僕がそこで2番手になってしまいました。なので、(バトンパスのときに)藤好が駿河台の外側にいると思っていたのですが、少し内側になっていたりして戸惑う部分や距離的なロスなどもあり、そういった部分で記録に届かなかったのかなというのもあるので、走りとしてはまだまだ改善できる点が多いかなと思います。

藤好 今回、あまり前半を突っ込めなかったので、そこを突っ込めるようなレースをできるようにならなければと予選、決勝走って思いました。

竹内 4走の役割として、まず1着で帰ってくることで、タイムも狙っていたのですが、とりあえず200メートルのところで先行されないように、楽に走りました。200メートルから300メートルで抜かすにはだいぶ力を使うので、(200メートルだけ)しっかり入れればと思っていました。あとは(自分は)後半自信があるので、ラストのコーナーから勝負をかけて1番で帰ってくるというプランで行けたので、素直に1番で帰ってくることができ安心しています。

――予選から変えたことはありましたか

眞々田 レースプランはあまり変えていなくて、各々が予選で出た課題を修正していこうという感じでした。

――予選から決勝に向かうにあたり、気持ちの面で心がけたことはありますか

眞々田 予選が1位通過だったのですが、1位を取るのが当たり前みたいな気持ちは持たずに、挑戦者の気持ちで挑もう、というのをみんなで言って走りました。

――来シーズンへの意気込みをお願いします

新上 来シーズンは、学生である以上やはり対校戦で勝つというのがこだわりたいところですし、今年関カレも全カレも勝てていないので、マイルとしては勝つというところと、タイムの面で、今回も早稲田記録と学生記録を狙っていて、更新できなかったので、その届かなかったところをしっかり追求して、短長はまだまだメンバーがたくさんいて、同じメンバーかどうかというのも分からないので、それぞれが選考を勝ち抜いて、また挑戦していければと思います。

――1年間同じメンバーでマイルを走ってきて、最後に優勝というかたちで終わることができました。どう感じていらっしゃいますか

眞々田 春は弱くて、色々悔しい思いもしたのですが、監督やコーチ陣のご指導やチームメイトの支えなどもあり、良いかたちでどんどん強くなっていくことができました。

新上 試合に出ていたのはずっとこのメンバーだったのですが、今大会もみんな予選でタイムが悪かったり走りが悪かったりしたら、三浦主将や西と交代という可能性も告げられた状態で、そういった緊張感もありました。今大会に限らず、関カレも全カレも、予選が選考会のようなかたちで、常にチーム内選考の中でレースに出て、勝ち取って来られたというのも自信になって、このメンバーで走り続けられたのも、今回優勝できた要因なのかなと思います。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント