【陸ジョブナビVol.10】ロードレースの距離はどうやって測るの?〜コース計測のお仕事紹介!〜
【JAAF】
【読者アンケート実施!】
回答いただいた方の中から抽選で5名様へ陸連グッズをプレゼント!
今後の掲載内容の参考にさせていただきたいと考えておりますので、ぜひ下記アンケートへのご協力をお願いいたします。
https://forms.gle/RdrkzJM6Ua58t61MA
距離計測の歴史
これまで、ロードレースのコース計測はどのように行われていたのかというと、戦前は竹を割いて、50mの竹尺を製作して距離を測っていたそうです。直線はいいとして、カーブや折り返しが多いコースは計測するのも大変ですよね。
1964年の東京五輪も竹尺で測りました。それ以降は、50mのワイヤー(50mの距離を正確にワイヤーに印をつける)による計測が行われるようになりました。50mを約844回でフルマラソン。50mダッシュとスクワットを繰り返して計測していたそうです。1986年以降は自転車によるコース計測が進み、現在の形となっていきました。
公認大会が増えましたが、もしも当時の計測の仕方だったら、時間もかかって負担も大きく、ここまで大会数も増えていなかったかもしれないですよね。
すでに公認コースであっても、日本では5年に1回再計測する必要があり、計測員の方々は日々奮闘されています。
計測員として活躍している人って?
さらに、自転車計測員はA級、B級、C級に分かれていて、A級は全国で2人、B級は9人。C級は61人で都道府県に2人以内としています。
日本ではコース計測は、3人で行っています。3人の組み合わせに関しては複雑なルールがありますが、「3人」である一番の理由は「自転車はパンクすることがあるから」なのだそうです。
「以前、2人がパンクしたこともあったので、万全の備えが必要ということです」と福島さん。また、「後継者を育成するという面からも、1人はベテランが入るようになっています」。
正確に測定するための「カリブレーション」
ピッタリ合ったらそれを2.5倍して1km、さらには42.195kmまで計算をしていくそうです。この作業を「カリブレーション」と言います。
「計測は交通量の少ない時間帯、早朝3時〜4時に行うことが多いですね。夜中に行うこともありますし、東京マラソンのように交通量が多いなどの事情がある場合は、何回も継ぎ足して計測していくこともあります。コース取りはルールブックに記載のある通り、道路の端から30cmを最短で計測します。最短でスレスレでいくので3車線の道路だと大変ですね」
計測直後にも400mのカリブレーションを行います。温度変化、タイヤの空気圧の変化、タイヤの径が変化している可能性を考えて再度チェックするためです。場合によっては、2ヵ月前など事前にカリブレーションの下見をすることもあるそうです。
長年の経験から、コース設定へのアドバイスをされることもあるとか。「決まってからは準備が大変です。選手が走りやすいコースにするため、もう少しこういうほうがいいのでは?と伝える時もあります。例えば、スタートしてすぐ曲がるコースなどは走りにくいですよね」と福島さん。
また、計測は天候との戦いもあり、「冬場で道路が凍っている時以外は計測を行います。雨でも計測しますよ。もし台風がきたらどうかなと思いますが、今のところ経験はないですね(笑)」。
どんな距離でも正確に計測
事前計測の場合は、信号で止まることもあって、フルマラソンで4〜5時間はかかるそうです。
さらに、ハーフマラソンや10km、100km、さらには競歩でもコース公認には計測が必要です。サロマ湖ウルトラマラソン(100km)の場合、50kmずつ2日間に分けて計測を行うそうです。今まで計測した中で記憶に残っているコースを聞いたところ、「高野山・龍神温泉ウルトラマラソン(100km)ですね。15%くらいの斜面をずっと上っていくんですよ。きつかったですね。コースとして良いなと思うのは、東京マラソンや北海道マラソン。地方だと景色が良いコースがいいですね」。
計測員になってもう20年近くになる福島さん。長く続けられている秘訣は「とにかく体力維持ですね」ときっぱり。
「マラソンの川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)じゃないですが計測本番が練習です。多い時は年間20大会を超えますから」そして、計測で感じるやりがいについては、次のように語ってくれました。
「自分の測ったコースで記録が出た時は、やっぱりうれしいですね。鈴木健吾選手(富士通)が日本記録を更新したびわ湖毎日マラソンも計測しました」
選手が輝く舞台をキッチリ計測するために、計測員のみなさんも現状打破されているんですね!
>>インタビューVol.10(PDF版)はこちら
https://cms.jaaf.or.jp/files/upload/202209/26_114955.pdf
1962年1月22日生まれ、明星大学卒。2003年6月から日本陸連施設用器具委員会委員となり、17年6月からは同副委員長を務める。国際道路コース計測員(グレードA)として、東京2020オリンピック競技大会マラソン・競歩コース、東京マラソンコースなどの自転車計測に携わる。東京陸協理事、青梅市陸協理事長。
【JAAF】
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。
【JAAF】
▼ジャパンマラソンチャンピオンシップシリーズ シリーズII(第2期)が「北海道マラソン2022」からスタートしました!
【JAAF】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ