ルーキー川崎春花がプロ日本一 圧巻の大逆転

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【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 JLPGA ツアー2022シーズン公式競技・第2戦『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』(賞金総額2億円、優勝賞金3,600万円)大会最終日が9月11日、京都府城陽市・城陽カントリー倶楽部(6,555ヤード/パー72)で行われ、19歳のルーキー・川崎春花が通算16アンダーで大逆転。ツアー初Vが、史上初のルーキーイヤーで公式競技制覇という金字塔を打ち立てた。しかも、予選会を勝ち上がり、地元京都で快挙を達成。史上初の記録という冠のラッシュである。3打差の通算13アンダー、2位は山下美夢有。菅沼菜々が通算12アンダー、3位だった。
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《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:24mm》

 春花が収穫の秋に、大輪を咲かせた。通算16アンダーの劇的な優勝。それはもう、伝説になりそうな川崎春花が演じたー女子プロ日本一のドラマだった。

 当の本人が、「信じられない。私もびっくりした」と目を丸めたのだから本音に違いない。それにしても、最終日のプレーはすごかった。

 何かが起こる。8番のティーイングエリアで、この日のテーマ『最後まであきらめない』を思い出したそうだ。そして、スーパーショットを放つ。残り120ヤードの第2打は得意クラブの1本、PWを選択した。ただし、ダフリ気味…。それでも「方向だけは十分に気をつけた」。ボールはカップへ吸い込まれる。イーグルは勝負の流れが大きく変わるサインといえよう。「イーグルは私のあこがれです」とも。

 後半へ向け、弾みがついた。一気に加速したのは12番のバーディー奪取。残り95ヤードの第3打を52度で、ピン50センチにつける切れ味は見事だ。「あきらめない」は当然だが、「攻めるスタイル」も特性である。「腰痛がひどくなり今年、なかなか成績が出ていない。でも、それ以上に勝負から逃げていた。高校時代から、私は攻めて結果を出すことが持ち味。ちょっとビビりながらプレーをしていた」と猛省したそうだ。

 続く13番もピンを狙って1.5メートルのバーディーが来る。14番もまた、1.5メートルを決めて3連続。首位に並んだ。目前の1打に集中しながらも、「リーダーボードで戦況を確認していた」と冷静。自身の理想がついに到来したのだろう。15番でもあっさりと、ステップ・アップ・ツアーのツインフィールズレディスに続いて、2度目の4連続バーディーを達成。大会史上に残る大混戦からグイッと抜け出した。

 「中学から腰痛に悩んだ。プロになってシーズンがスタートした時も結構、痛い。ただ、トレーナーさんなど、多くの皆さんが支えてくださって、股関節やおしりをほぐしながら、スイング改造。8月下旬ぐらいから本当に良くなって、おかげさまで山陰ご縁むす美レディースで優勝することができました」。しみじみと語っている。おそらく、出雲の神さまもほほ笑んでくれたのだろう。

 9月、一切の迷いが解消し、最高の状態で今大会を迎えた。そして、この4日間、眠っていた資質を覚醒させたのは、地元京都の熱烈な声援。人生初の晴れ舞台へ、「中学の担任の先生、ジムのトレーナーさん、母のお姉さん。それからジュニアの頃から応援してくださった皆さん、両親や京都の皆さんがたくさん、声をかけていただきました」という。ホームアドバンテージをパワーに変えて、ラスト2ホールへ。

 連続バーディーフィニッシュで、JLPGAツアー初優勝を飾った。難度1位の18番、第2打。クラブから手を放すシーンがあり、ちょっとヒヤッとさせたものの、「ピン上から8メートルにオン。ほぼストレートのラインと読んだ。今回、パッティングがとても調子が良かったのは、ライン読みがよくできたからです」。サンデーバックナインで30をマークし、11パットの好調を説明した。

 ホールアウト後、喜びをかみしめる前に、最終プロテスト第2日の不調の思い出が脳裏をよぎる。「第3日で挽回するため、泣きながら…、手が震えながらパッティンググリーン、アプローチの練習場で調整をしました。私、うれしくて涙が出たことはありません。優勝は笑顔がこぼれるだけですよ」と、大仕事を成し遂げた達成感をかみしめていた。

 ただし、「人生で、もっとも大事にしていることは礼儀です。高校でゴルフ部へ入って覚えた大切なこと。まだまだですけど、礼儀をしっかりします。たくさんの方がプレーを見てくださるような選手になりたいから。目標です」。会見が終わると、深々と一礼し、飛び切りの笑顔で締めた。さわやかな余韻が漂う。

 大会会長をつとめたJLPGA会長・小林浩美は、「すごい展開。川崎春花さん、ゾーンへ入った時、集中力の深さが素晴らしかった」と感想をのべた。

 コロナ禍をモノともせず、別表のように史上初がズラリと並んだ記録にも、記憶にも残る京都のシンデレラ誕生。もちろん、お楽しみはこれからだ。
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