【湘南スペシャルプレビュー】互いに譲れぬ一戦、阿部浩之が古巣対戦に挑む

湘南ベルマーレ
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【(C)SHONAN BELLMARE】

今夏加入するとさっそくピッチに送り出され、第24節北海道コンサドーレ札幌戦ではスタメンに名を連ねて移籍後初ゴールもマークした。チームとしては大敗も、「前で使ってもらっているぶん個人的には点を取れて気分的に少し楽になった」阿部浩之は素直にそう口にした。

言葉にもにじみ出たように、自覚する役割は明確だ。
「自分が点を取り、味方に点を取らせ、守備のスイッチになれば、おのずとチームの力になると思う」

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プロとなって10年余り、ガンバ大阪、川崎フロンターレ、名古屋グランパスと強豪クラブを渡り歩き、前線で攻撃を牽引して数多のタイトルを掲げてきた。そして今夏、自身のキャリアに新たに加わったチームの課題を、阿部は直截に指摘する。

「誰を使えばいいのか、誰を空けるのか、そのためにどうポジショニングを取るのかをまだみんなが共有できていない。ゴール前では相手に準備をさせない判断の早さが大事ですし、そこでのワンテンポ、ツーテンポの遅れが守られる原因になる。相手も必死で体を投げ出してくるので、パスやシュート、トラップの質も一人ひとりが上げていかないと簡単にはゴールを取れない」

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練習はもとより、試合中も周囲とコミュニケーションを弛まない。「擦り合わせは大事」と語る。

「僕がどういうプレーをしてほしかったのかを伝え、相手のイメージも共有してその場ですぐに微調整すれば、似た場面が来たときにおのずと相手の意識に寄せられる。それが質に繋がり、精度も上がってくると思います」

仲間と意見を交わす機会は日々増しているという。セッションによる上積みも感じており、「チームとして点を取れるようになっていくはず」と手応えを隠さない。

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ベルマーレは前節、鹿島アントラーズを相手に自分たちのサッカーを傾け、3試合ぶりに勝点を積み上げた。一戦から2週間、今節は県下のライバル川崎Fを迎える。リーグ3連覇を期する彼らだが、今季はベルマーレとの5月の対戦を含め、大量失点で敗れる試合が散見されている。

新型コロナに襲われ、控えメンバー5人で臨むことを余儀なくされた浦和レッズ戦も記憶に新しい。苦境とともに順位も落としたが、しかし優勝争いを演じる横浜F・マリノスを降して以降白星を重ね、前節もサガン鳥栖に快勝してふたたびリーグの頂点に躍り出た。

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かつてプレーした古巣との対戦をまえに、阿部は「まずは自分たちの強みを出すことが大事」と強調する。

「付け入る隙はあると思いますが、自分たちの強みが出ない限り、いい試合になることはないと思う。『ああ今日はいい感じやな』と思えるような戦いをこの先ずっとベースにして、相手の弱点やチャンスを見ながらゲームを進められればと思います。僕もベルマーレのスタイルに意識を寄せながらプラスアルファを前面に出したい」

新たな仲間と時を重ね、日々繋がりを研ぐ。目指すプレーがピッチに描かれたとき、歓喜は訪れるに違いない。

取材・文 隈元大吾
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著者プロフィール

1968年、藤和不動産サッカー部として創部。1993年にベルマーレ平塚となりJリーグ開幕より1年遅れてJリーグ昇格。 1999年、親会社撤退からクラブ存続危機となるが、地域やサポーターの支えのもと2000年に湘南ベルマーレとして再出発。 以降幾度も昇格、降格を繰り返しながら2022年はJ1で5年目のシーズンを戦っている。 ◆MISSION「夢づくり人づくり」 ◆VISION「人生と地域を豊かにする、スポーツ文化が根ざしている世の中」 ◆SLOGAN「たのしめてるか。」

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