「頂点を、つかむ。」 マリーンズ戦記 8月25日 ライオンズ戦 6対5 サヨナラ勝ち

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 奇跡は起きるものではない。起こすものだ。ミラクルマリーンズが晩夏の夜空の下、躍動した。
 
 序盤は劣勢だった。0対4の4点ビハインド。流れは明らかに三塁側ベンチに陣取るライオンズサイドにあった。一変したのは六回だ。先頭の小川が右翼にソロ本塁打を放った。これがプロ初本塁打。今シーズン3安打。二軍でも本塁打を放っていなかった2年目の若武者が振り抜くと打球は高々と弧を描き、ライトスタンドに消えていった。ゾーンを上げ、甘い球を狙っていた。そして甘い球が来ると信じていた。だから振り抜くと決めていた。
 
 「自分が思っていた球が来て振りにいった結果、ホームランになりました!」と本人もニンマリの一発。この日は高部のバットを借りての当たり千金の打撃に「高部さんのパワーにあやかることが出来ましたね!」とベンチに戻ると嬉しそうに頷いた。
 
 「食らいついていく姿。控えから昨日、今日とスタメンで出て、いい姿を見せてくれている」と前日8月24日からスタメンで起用した井口資仁監督も目を細めた。
 
 六回にはさらに山口がタイムリー。七回にも佐藤都が7号ソロ。向かい風が追い風に変わると攻め立てた。八回に1点を失い、ふたたびリードを2点とされるが、流れは残ったままだった。山口がセカンドへのタイムリー内野安打で1点差。井上の中犠飛でついに追いついた。そして九回。一死満塁から伏兵の三木が決めた。チームのムードメーカーとしてここまで盛り立ててきた男が追い込まれてから食い下がった。必死にバットに当てた。サヨナラ内野安打。本拠地ZOZOマリンスタジアムに歓喜の輪が広がった。
 
 「三木になんとか前に飛ばしてもらうしかないという状況。最後みんなの想いが実った。三木は大事なところで決めてくれた。大きい。展開的には復帰登板となった岩下や中継ぎ投手も頑張ってくれた。その中で打線も1点ずつ返していた。なんとか逆転しようという想いが伝わってきた」と指揮官も劇的な勝利に自信を深め話し出した。
 
 この日の試合前、前日8月24日の同カード、同点の場面の七回にフェンスに激突しながら大飛球をつかみ取りながら、アウトにした福田秀平の診察結果が発表となった。左肩関節前方脱臼。一軍昇格からわずか1日で無念の登録抹消となった。しかし、このプレーがこのカードの流れを変え連勝を呼び込んだ。

 「ああいう形で怪我をして残念。でも、昨日のガッツあふれるプレーがチームの流れを変えてくれた。ああいうプレーを見せてくれてチームがまた生き返った。昨日の試合の流れを変え、今日、控えの選手たちが頑張ってくれたのは(福田)秀平の昨日のプレーがあるからかなあと思う。早く復帰して欲しい」と井口監督も一日も早い復帰を願い、労いの言葉と感謝の言葉をつなげた。
 
 指揮官の言う通り、マリーンズは生き返った。7月19日から21日までのライオンズ3連戦(ZOZOマリンスタジアム)以来となる3連戦カード勝ち越しを決めた。物理学者のアルベルト・アインシュタインは「人生には2つの生き方しかない。奇跡などないかのように生きるか、すべてが奇跡であるかのように生きるかだ」と言ったという。マリーンズの誰もが奇跡を信じている。そしてガムシャラに毎日を生きた結果、すべてが奇跡のように素晴らしいものになることを知っている。夏は終わろうとしている。そしてミラクルマリーンズの進撃が始まった。

 「明日からカードが変わる。しっかりと勝ち続けていきたい。まずはこの3連戦で、こういうゲームが出来ているのは大きい」と指揮官は力強く話し、会見を締めた。

 マリーンズの2022年のチームスローガンは「頂点を、つかむ。」。揺るがない絶対的な目標だ。今は上位にいるホークス、ライオンズ、バファローズ、イーグルスを倒す。今、奇跡の扉が開いた。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

球団に関するニュース、球団広報によるコラム、オフィシャルライターによるチームのこぼれ話や球団情報をお届けします。お楽しみに!!

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント