現役・元アスリートによるピッチ大会を振り返る テーマは「自競技の5年後に向けたグランドデザイン(戦略)を考える」

チーム・協会

【一般社団法人APOLLO PROJECT】

今回は、A-MAP(現役・元アスリート向けのマインドセットプログラム)の実践課題としておこなわれたピッチ大会についてご紹介したいと思います。

A-MAPとは、サッカー、ラグビー、テニス、ハンドボール、相撲、バスケットボール、レーシングドライバーなど様々な競技の現役・元アスリートが「現役選手の競技力・価値向上と自分らしいキャリアの軸を定める実践型のマインドセットプログラム」です。一般社団法人アポロプロジェクトが株式会社ビジネス・ブレークスルーの協力のもと企画・運営をしております。

A-MAP2期生によるピッチ大会とは?

「自競技の5年後に向けたグランドデザイン(戦略)を考える」というテーマに関するプレゼンを1人ずつ発表。ピッチ大会(予選)ではA-MAP2期生の11名全員が1人10分の発表を実施。3ヶ月間の準備期間中にはA-MAP受講生一人一人にアサインされたラーニングアドバイザー(ベンチャー経営者等のビジネスパーソン)がプレゼン準備に伴走。5年後の理想を描き、理想と現状とのギャップを定め、課題設定を行っていくプロセスをサポートいただきながら、受講生自らがプレゼン資料に落とし込んでいきました。

ピッチ大会の本番はYouTubeLiveで配信されるという、ある意味、競技の試合よりも緊張感がある中、アスリートやスポーツの価値を生かした地域、社会課題の解決について熱いプレゼンが繰り広げられました。(予選の映像はこちら https://youtu.be/3Po5AJUoqVo)

A-MAP2期生ピッチ大会(本選)出場の4名 【一般社団法人APOLLO PROJECT】

ピッチ大会(予選)を勝ち抜いた4名はピッチ大会(本選)で1人35分のプレゼンを実施。審査員からは奇譚の無いフィードバックを受けることができ、発表内容の実現に向けたヒントも多々得られた時間になったようです。

藤岡希さん(元プロテニス選手)は、自身の原体験や日本のテニス界の現状を踏まえ、テニス界のメンタルヘルス問題に着目したプレゼンを実施。テニス界でモデルを創り、他競技やビジネス界へも展開していける汎用性の高さとそのポテンシャルが評価され、MVPに選出されました。

また、準MVPに選ばれた田上大地さん(現役プロサッカー選手)は所属クラブを巻き込みながら、ひとり親家庭および児童養護施設への支援活動を既に実施し始めています。

<発表者(本選)>
・A-MAP 2期生 4名
 ➀武藤英紀 氏(現役レーシングドライバー)
 「NO MOTION 先ずは始めてみよう」

 ➁田上大地 氏(現役プロサッカー選手)
 「ひとり親家庭および児童養護施設への支援」

 ➂藤岡希 氏(元プロテニス選手)
 「ピークパフォーマンスコーチの開拓 〜誰も孤独にしない〜 」

 ➃塩田沙代 氏(元ハンドボール日本代表選手)
 「地域の人からもっと深く、もっと広く愛されるチームへ」


<審査員(本選)>
・A-MAP審査員
 宇田 左近 氏(BBT大学副学長)
 鎌田 恭幸 氏(鎌倉投信株式会社 代表取締役社長)
 廣瀬 俊朗(株式会社HIRAKU 代表取締役・元ラグビー日本代表キャプテン・一般社団法人アポロプロジェクト 専務理事)

当日のLIVE配信映像もYouTubeにて公開中です。ぜひご覧ください。

【YouTube URL】https://youtu.be/WdKbu8ZBwJE
※武藤英紀さんの発表は非公開です。


以下、LIVE配信で発表した受講生のプレゼン概要と審査員コメントをご紹介します。

◆田上大地 氏(現役プロサッカー選手)

「ひとり親家庭および児童養護施設への支援」
自身の境遇から、児童養護施設で過ごす子どもたちが一人の人間として夢を持ち、堂々と自分の人生を歩むことができることを願ってこのテーマを設定。所属チーム(アルビレックス新潟)を巻き込んだ児童養護施設訪問やホーム試合招待、フードドライブなどを通して、子どもたち及びひとり親家庭に対しても支援を行っていく取り組みを今後も行っていきたい。

審査員コメント:鎌田恭幸 氏(一部抜粋)
「日本の相対的貧困率の問題が深刻な中で、母子家庭がいろんな事情で増えていることを踏まえると、ここをどう改善するかというのは全ての人にとっての問題だと思います。そこに、スポーツという切り口で問題解決しようとする取り組みは、周りの人を巻き込む力も非常に高いので、まず組織を巻き込んで地元を巻き込んで、何ができるのか一つ一つ試してみてほしいです。」

◆藤岡希 氏(元プロテニス選手)

「ピークパフォーマンスコーチの開拓 〜誰も孤独にしない〜 」
テニス界のメンタルヘルス問題に着目し、個人競技のテニスプレイヤーに新たなコーチの形を提案し標準化させること、メンタルヘルス問題の成功事例をテニス界から発信し、社会にも浸透させることを目的とする。プレイヤー、指導者を経験した自分だから考案する「ピークパフォーマンスコーチ」を通して、テニス界の課題解決を目指したい。

審査員コメント:宇田左近 氏(一部抜粋)
「プレゼンテーションとして、『素晴らしい』のひとことです。テニスは孤独なスポーツとしては典型的であるため、テニス界をベースに創り上げていくことは非常に良いのではないかと思いました。他のスポーツとも議論しながら、新しいメソッドが広がっていくイメージが見えました。」

◆塩田沙代 氏(元ハンドボール日本代表選手)

「地域の人からもっと深く、もっと広く愛されるチームへ」
日本ハンドボールリーグが2024年にプロリーグになることを機に、今まで以上に、勝つことだけではない価値を地域社会に貢献することを目指すとしている。自チーム(北國銀行HONEY BEE)の強みであるコミュニケーションを活かしたリレーション構築を行い、企業としてもチームとしてもイノベーションを起こす構想を実現していきたい。

審査員コメント:廣瀬俊朗(一部抜粋)
「社内でテストを行う、認知度を上げていくなどの具体的な構想が良いなと思いました。チームのコミュニケーションというところで、アスリートのコンディショニング力なども、相手側のニーズに合わせて進めることができるとより面白い取り組みになるのではと思いました。」

MVP受賞時の藤岡氏のコメント

【一般社団法人APOLLO PROJECT】

以下、MVP受賞時の藤岡氏のコメントです。


「選んでいただいてありがとうございました。

 テニスが大好きっていう気持ちでずっと小さい頃からやってきて、なかなか報われないことの方が多い中で、いろんな経験をしてきたんですけど、これがコーチとして選手のために在りたいっていう強い気持ちに変わっているのかなという風に思って。

 今回その発表っていうことの機会を頂けたことで内容を深めていけたんじゃないかなという風に思うので、私の経験がなければ生まれなかったものだし、こうして皆さんに評価していただけなかったら生まれなかった価値でもあるかなと思うのと、

あとはA-MAPの仲間たちだったり支えてくださった皆さんのおかげかなという風に思っているので、家族にもこの準備期間だいぶ迷惑をかけて、荒れ散らかしたうちの家庭だったので、
 
皆さんに感謝しながら絶対に形にできるように歩んでいきたいと思います。」


ピッチ大会直後に藤岡氏が自身のnoteで綴ったアウトプットも併せてご覧いただければと思います!

【藤岡さんnote URL】https://note.com/nozomi_positive/n/n08d97d1d6078

ピッチ大会を終えて

A-MAP2期生にとっては、このピッチ大会の準備期間中に自分や社会と向き合い、自分が大切にしている軸は何なのか?自分が本音で解決したいと思えるテーマは何なのか、について内省、言語化していくプロセスに学びがあったのだと感じています。

抽象度の高いテーマについて自分なりのグランドデザイン(戦略)を考え、発表するのは誰にとっても易しいことではありません。しかしながら、そこに当事者意識があったり、真に解決したい課題があれば、人は本気で考え、発信し、周りを巻き込んでいくのだと思います。

このピッチ大会が何かのきっかけとなり、現役・元アスリートが自身の価値を生かし、その価値を社会に還元していくアクションがどんどん拡がっていくことを願っています。
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著者プロフィール

元プロサッカー選手の山内貴雄やラグビー元日本代表キャプテン廣瀬俊朗らが理事を務める一般社団法人アポロプロジェクトは、アスリートの価値を最大限に高め、その価値を社会へ還元するプラットフォーム「アスリートオープンイノベーション構想」の実現を目指し2020年に設立。様々な競技の現役・元アスリートが学ぶ実践的マインドセットプログラム「A-MAP(株式会社ビジネス・ブレークスルーと共同開発)」の企画・運営と、アスリート達による社会課題解決のアクションに対し伴走支援を行なっている。

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