【学生スポーツ最前線】リンクに立ちたい・・・。秋田大学アイスホッケー部のコロナとの闘い
【写真提供:秋田大学アイスホッケー部】
キャプテンは4年生の諸星潤也(もろほし・じゅんや)。競技歴は「2歳から」という筋金入りのホッケーマンが、3年時から2季連続でチームを率いている。
4月になって新入部員を迎えたが、県内のリンクがオープンする10月までの約7ヶ月間、氷上練習が一度もできなかったのだ。
コロナ禍以前は春夏もリンクに立つことができていた。月に2、3回は氷上練習ができる岩手県盛岡市、宮城県仙台市に赴き、目標である11月のインカレ予選へ向けてスティックを使った練習ができた。しかしコロナ下では――
届け出を出して認められれば、県外練習はできる。しかし秋田県に戻ってきたら14日間の自宅待機をしなければならない。つまり14日間は対面授業に出られなくなる。
また、他者との接触があるアルバイトも自粛しなければならない。学費を捻出している学生にとってはこれも大問題だ。
リンクに立ちたい。そんなアイスホッケー部として当たり前の願いが半年以上、叶わなかった。
これじゃアイスホッケー部じゃなくて陸上トレーニング部だね――。部員がそう愚痴るのも仕方なかった。
秋田県は感染者が少ないのに、なぜ自分たちだけが――。どうしても入ってくる他大学の活動情報に気持ちは塞いだ。
長野県軽井沢町に育ち、1998年の長野五輪でアイスホッケーに魅せられた両親の下、なんと2歳からスケート靴を履いた。アイスホッケーなしの学生生活は考えられない。大学卒業後も働きながらクラブチームで活動するつもりでいる。
アイスホッケーが大好きだからこそ、競技を始めた1年生に魅力を伝えきれない、仲間に成長の機会を与えられないことがもどかしかった。
「せっかく大学から『新しいスポーツをやりたい』と言って来てくれた子たち、部員に対して、申し訳ないという気持ちがありました。コロナだから仕方ないと思いつつ・・・。そこの葛藤が一番苦しかったです」
「アイスホッケーが好きというだけでは厳しいと思ったこともあって、チームを“居場所”にしてもらおうと、何でも話せる雰囲気作りをしました。まず僕から全員に話しかけたり、僕から何でも話したり。キャプテンとして自転車のハブ(車輪の中心部にある回転体)をイメージしています」
気持ちを繋ぎとめながら、ようやく辿り着いた県内リンクのオープンは10月中旬だった。
しかし最大の目標であるインカレ予選まで、あと1か月もなかった。シーズンの集大成は目前に迫っていたが、チームには氷上での積み上げがなかった。
「正直、練習不足は感じました。コロナじゃなかったらリンクでパスやシュート練習ができていましたが、10月までにリンクで練習が一度もできなかったので、チームとしてのステップがなくなった感じでした。10月時点で『初めてリンクに乗りました』という1年生もいました」
迎えたインカレ予選は2敗に終わった。国立大学を相手に2勝する『国立2勝』の目標は達成できなかった。
試合の様子 【写真提供:秋田大学アイスホッケー部】
今年は大学至近の千秋公園で、恒例の桜まつりが3年ぶりに開催された。明るい兆しは見え始めたが、春先から課外活動の禁止などが続く。しかし学生ラストシーズンとなった諸星キャプテン率いるチームのシーズンは始まっている。
「秋田大学アイスホッケー部には自然体でいられる環境があると思っています。部員は何でも相談し合っています。少なくとも僕は全部ぶっちゃけてます(笑)。新しいことにチャレンジしたい人も是非」
今年も新入生勧誘はオンライン(SNSやZOOM)が主体だ。プロモーションビデオを製作するなどし、雰囲気の良さをオンラインでアピールする。2022年の結末はどうなるか分からない。しかし悔いのない行動はするつもりだ。
アイスホッケー部のみなさん 【写真提供:秋田大学アイスホッケー部】
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