【TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER】#005 小谷光毅 ー 鎌倉インテルという新たな居場所、ともにビジョンの実現へ

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 昨シーズン途中に待望のホーム「みんなの鳩サブレースタジアム」が完成し、初めてホームグラウンドで開幕を迎えた2022年シーズン。チームは大幅に活動日数を増やし、強力な新戦力も多く加入して神奈川県リーグ1部昇格を目指して戦っている。

 ここではクラブ創設5年目のシーズンを戦う選手、スタッフらにスポットを当てる。今回は、Jリーグでのプレー経験もある新加入のMF小谷光毅。

(文・本多辰成/スポーツライター)

Jリーグ経験もある不動のボランチ、開幕5連勝に大きく貢献

アウェイでの大和S. Matthaus戦では決勝ゴールを挙げ、チームを開幕2連勝へ導く 【㋚写真】

 開幕5連勝という最高のスタートを切った今シーズン。多くの新戦力が加わったチームは大幅に戦力アップを果たしたが、なかでもJリーグでのプレー経験がある2人のボランチがチームの中心となっている。ひとりは昨シーズンからプレーする内藤洋平、そしてもうひとりが今季新加入の小谷光毅だ。

 小谷は開幕から攻守に存在感を見せ、苦戦を強いられた大和S. Matthausとのアウェイ戦では68分に自ら決勝ゴールをマーク。好スタートを切ったチームを力強くけん引している。

「監督の一馬さんが描いているサッカーをどう体現するのかが大事ですが、開幕前はチームとしてそこが追いつかない部分もありました。分かっていてもやれなかったところもあったと思います。今もまだ十分ではないですけど、徐々に積み上げられている。戦術理解度が高まってきたのが結果につながっていると思います」

 いわてグルージャ盛岡とブラウブリッツ秋田に計3シーズン所属し、J3リーグ通算72試合出場9得点。プレーの面で中盤の軸となっているのはもちろん、その豊富な経験をチームに還元する役割も担っている。

「意識しているのは、もうちょっと頑張ったらできるところまで伝えるということです。それぞれの選手が自分のやれる範囲でやれることをやることが重要なので。僕とか(内藤)洋平くんのレベルで求めてもすぐには無理なので、彼らの持っているものを100%出してもらう。ウィークポイントをいかに消せるかを意識して伝えています」

Jの契約更新せず社会人サッカーへ、クラブのビジョンに共感

2020年シーズン、いわてグルージャ盛岡ではJ3リーグ全34試合に出場 【J.LEAGUE】

 大阪府出身の小谷はガンバ大阪の下部組織で育ち、ガンバ大阪ユース時代にはU-18日本代表候補に選出されたこともある。明治大学を経て一度は大手証券会社に就職したが、再びサッカーの道を進むことを決めて欧州へ。ドイツ5部と4部のカテゴリーで2シーズンを送った。

 その後、2018年5月にJ3のグルージャ盛岡(当時)に完全移籍で加入。翌シーズンは同じくJ3のブラウブリッツ秋田に移籍し、2020年はいわてグルージャ盛岡に復帰してJ3リーグ戦全34試合に出場した。当然、翌年の契約更新オファーもあったが、小谷はJリーグを離れて社会人サッカーの世界に飛び込むことを決めた。

「もともとサッカーだけじゃなくビジネスにも興味があったので、どちらもやりたいというのが根本にありました。Jリーグ時代にも自分でスポンサー企業にアポを取って、社長さんに会いに行ったりもしていましたから。サッカーについては引退という概念をなくしたいという思いもあります。好きでやってきたサッカーをやめる必要はない。仕事をやりながらでもサッカーができる場をつくっていきたいと考えていました」

 しかし、社会人サッカーの現実は甘いものではなかった。さまざまな価値観やスタンスを持つ多様な選手たちが集まる環境に、Jリーグから移ってきた小谷が馴染むのは簡単ではない。昨シーズンはそれぞれ神奈川県1部と関東1部に所属する2つのチームでプレーしたが、充実したシーズンとはならなかった。

「社会人サッカー1年目は苦しみました。それで、社会人サッカーとは何かとかすごく考えて、今後、社会人としてサッカーをする上で『ずっと関わり続けたいクラブ』という基準でチーム選びをして、その答えが鎌倉インテルでした。もともとアスリートの価値を高めることであったり、サッカーを通じた地域創生について考えていたので、クラブのビジョンに共感したのが一番でした」

鎌倉インテルという新たな居場所、ともにビジョンの実現へ

Jリーグのスタジアムにはない観客との距離の近さを体感できる「鳩スタ」 【㋚写真】

 ビジョンを共有できるチームとして選択した鎌倉インテル。神奈川県2部というカテゴリーはサッカーのレベルにおいてはギャップも感じたが、そこには小谷が求めていた環境があった。

「去年の経験もあるので期待しすぎないようにしていたというのもありますが、実際に入ってみると想像以上のクラブでした。実際にピッチでも監督の言っていることを体現しようとしている選手が多かったですし、みんな頑張っている姿があった。このメンバーとなら一緒にやれるなと感じましたし、自分の経験を落とし込みたいと思えるチームです」

 昨年完成したホームグラウンド「鳩スタ」にも大きな価値を感じている。Jリーグのスタジアムにはない観客との距離の近さがあり、試合が終わればすぐにサポーターが近づいてきて声をかけてくれる。そんな環境の素晴らしさを実感しながら、さらに発展して欧州のようなサッカー文化が「鳩スタ」に根付いてほしいとも思っている。

「今は勝っていますけど、負けたときは罵声を浴びせられるくらいになってもいいと思います。いいプレーをしたらみんなで喜んで、ダメだったら怒られる。見られるというのはそういうことだと思いますし、それがサッカー選手をつくると思うので。個人的にはそこまで行ったら最高だなと思っています」

 チーム加入後に東京から鎌倉へと引っ越し、「鳩スタ」まで自転車で2、3分の場所に居を構えた。今季の目標である県1部昇格、そしてその先にあるものに向かってクラブとともに歩む覚悟だ。

「鎌倉にサッカー文化が根付いて、クラブはJリーグに行く。サッカー文化が根付けばいろんな価値が生まれていくと思っているので、それをここで実現させたいです。選手としてプレーで価値を出せるのはあと5年くらいかなと思ってますが、その先も別の形で関わっていくということもあるかもしれません。鎌倉インテルというクラブが好きなので」

 Jリーグの舞台を自ら離れて辿り着いた鎌倉インテルという新たな居場所。創設5年目のクラブにとっても、小谷の経験と能力は大きな財産だ。

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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