【TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER】#004 北村万宙 ー 安心して見ていられるCBに、攻撃では目立ちたくない
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ここではクラブ創設5年目のシーズンを戦う選手、スタッフらにスポットを当てる。今回は、DFながらここまでチームトップタイの4得点を決めている新加入の北村万宙。
(文・本多辰成/スポーツライター)
DFながらチーム最多タイの4得点、すでに攻守に欠かせない存在
4月24日の開幕戦、鎌倉インテルの今季初ゴールとなる強烈なヘッドを決める 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
「開幕戦のゴールをきっかけに、何かチームに馴染めたというか。あのゴールを決めたことで、自分がどういう選手なのかということをチームメイトにも知ってもらうことができた気がします」
開幕戦は北村の先制ゴールをきっかけに前半で3点のリードを奪い、そのまま3対0で快勝発進。その後もセンターバックの一角としてスタメン出場を続ける北村は、DFながらFW藤田航規と並んでチームトップの4得点をマークしている。MF内藤洋平のセットプレーに、北村が打点の高いヘディングで合わせる形は貴重な得点パターンだ。
「内藤選手に直接聞いたわけではないですが、なんとなく自分の動きを見ながらボールを蹴ってくれているような感じがするので合わせやすいです。DFなのでそこまで得点にはこだわっていませんが、試合を重ねるにつれてリラックスというか、余裕を持ってプレーできるようになってきています」
関西の大学に在学していたため、今季の新加入選手のなかでもチームへの加入は遅かった北村。本格的な合流は開幕の数週間前となったが、開幕から5試合を終えた現時点ですでに好守に欠かせない存在となっている。
関西の強豪大学で「6軍」からトップ昇格
関西学院大学時代は「6軍」からトップ昇格へ 【北村万宙】
「関西学院大は部員が200人くらいいて、A、B1、B2、C1、C2、C3と6つのカテゴリーに分かれているんですが、1年生のときは一番下のC3チームでずっとプレーしていました。同級生も有名な高校から来ている選手ばかりで、一番下のカテゴリーでもみんな上手いんです。1年生のときは、毎日、練習に行くのも嫌なくらいに憂鬱でした」
チーム内で「6軍」に相当する最も下のカテゴリーからスタートした大学時代。しかし、持ち前の努力で「めちゃくちゃ自主練をしたり、練習以外で走ったりした」という北村は、2年時には一気に上から2つ目のチームである「B1」にまで昇格した。
「カテゴリーによってけっこう戦い方の特色があって、B1チームは走って走って走り勝つ、みたいなタイプのカテゴリーだったんです。C3でプレーしていた1年生のときはサイドバックをやっていたんですが、めちゃくちゃ走って対人も強いというところがB1チームの監督に気に入られて、一気に引き上げてもらったという感じでした」
センターバックとしてプレーしたB1チームでも結果を残し、4年時にはついにトップチームに昇格。卒業時には複数の進路の選択肢があったが、北村は考えた末、高校時代を過ごした鎌倉に戻ることを決めた。
「実家の方に一度帰りたいという思いもあったので、地元に戻って仕事をしながらサッカーを続けようと思いました。もともと鎌倉高校で一緒にやっていた選手がインテルでプレーしていたりしたのでチームの存在は知っていましたし、高校時代の監督なんかも勧めてくれて、面白そうなチームだなと。高校時代を過ごした鎌倉という場所でもう一回サッカーができるのをうれしく感じています」
安心して見ていられるCBに、攻撃では目立ちたくない
高校時代を過ごした鎌倉で再びサッカーに打ち込む 【㋚写真】
「合流前から体は動かしているようにと言われていたので、スムーズに合流することができました。そこから何試合か練習試合をさせてもらって、スタメンで開幕を迎えることができた。けっこう人見知りな方なんですが、インテルの皆さんが温かく迎え入れてくれて。自分と同じように大卒の新加入選手もけっこういるので、すぐに溶け込むことができました」
鎌倉インテルでプレーすることが決まってから就職活動をし、横浜にあるゲーム関係の会社に就職。慣れない社会人1年目でサッカーとの両立が大変な面もあるが、新天地での新たな挑戦にやりがいも感じているという。
神奈川県リーグ1部への昇格がミッションである今季のチームにとって、守備の要でもあり得点源でもある北村の存在は攻守に大きい。しかし、北村自身は攻撃面においては「あまり目立ちたくない」と言う。
「攻撃の面ではあまり目立ちたくないと思っています。自分が点を取ったことで勝てた、みたいな試合はもういいかなと。普通に前の選手が点を取って無失点で勝ちたい。自分はセンターバックなので、見ている人も『この選手がいれば、そう点は取られないだろう』と安心して見ていられるようなプレーができればと思っています」
ここまでの5試合は北村が攻守に大きく貢献し、開幕5連勝という結果を手にした。だがこの先、さらに昇格へ向けて加速するためには、北村の得点力が目立たないチーム状況が求められるのかもしれない。
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