【TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER】#004 北村万宙 ー 安心して見ていられるCBに、攻撃では目立ちたくない

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 昨シーズン途中に待望のホーム「みんなの鳩サブレースタジアム」が完成し、初めてホームグラウンドで開幕を迎えた2022年シーズン。チームは大幅に活動日数を増やし、強力な新戦力も多く加入して神奈川県リーグ1部昇格を目指して戦っている。

 ここではクラブ創設5年目のシーズンを戦う選手、スタッフらにスポットを当てる。今回は、DFながらここまでチームトップタイの4得点を決めている新加入の北村万宙。

(文・本多辰成/スポーツライター)

DFながらチーム最多タイの4得点、すでに攻守に欠かせない存在

4月24日の開幕戦、鎌倉インテルの今季初ゴールとなる強烈なヘッドを決める 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 4月24日に行われた今シーズンの開幕戦。ホームの「鳩スタ」(みんなの鳩サブレースタジアム)に日本工学院FCを迎えた試合は立ち上がり、開幕戦ならではの緊張感に包まれていた。均衡が破れたのは前半22分。右からのコーナーキックに新加入のDF北村万宙が頭で合わせ、鎌倉インテルが大きな先制点を挙げた。

「開幕戦のゴールをきっかけに、何かチームに馴染めたというか。あのゴールを決めたことで、自分がどういう選手なのかということをチームメイトにも知ってもらうことができた気がします」

 開幕戦は北村の先制ゴールをきっかけに前半で3点のリードを奪い、そのまま3対0で快勝発進。その後もセンターバックの一角としてスタメン出場を続ける北村は、DFながらFW藤田航規と並んでチームトップの4得点をマークしている。MF内藤洋平のセットプレーに、北村が打点の高いヘディングで合わせる形は貴重な得点パターンだ。

「内藤選手に直接聞いたわけではないですが、なんとなく自分の動きを見ながらボールを蹴ってくれているような感じがするので合わせやすいです。DFなのでそこまで得点にはこだわっていませんが、試合を重ねるにつれてリラックスというか、余裕を持ってプレーできるようになってきています」

 関西の大学に在学していたため、今季の新加入選手のなかでもチームへの加入は遅かった北村。本格的な合流は開幕の数週間前となったが、開幕から5試合を終えた現時点ですでに好守に欠かせない存在となっている。

関西の強豪大学で「6軍」からトップ昇格

関西学院大学時代は「6軍」からトップ昇格へ 【北村万宙】

 神奈川県横須賀市生まれの北村は、3つ上の兄の影響で双子の弟とともに小学校4年生のときにサッカーを始めた。高校時代は鎌倉高校サッカー部で3年間を送り、関西の強豪である関西学院大に進学。北村が入学した当時の関西学院大は天皇杯でJ1のガンバ大阪から金星を挙げるほどのチームであったため、チームメイトのレベルの高さに衝撃を受けたという。

「関西学院大は部員が200人くらいいて、A、B1、B2、C1、C2、C3と6つのカテゴリーに分かれているんですが、1年生のときは一番下のC3チームでずっとプレーしていました。同級生も有名な高校から来ている選手ばかりで、一番下のカテゴリーでもみんな上手いんです。1年生のときは、毎日、練習に行くのも嫌なくらいに憂鬱でした」

 チーム内で「6軍」に相当する最も下のカテゴリーからスタートした大学時代。しかし、持ち前の努力で「めちゃくちゃ自主練をしたり、練習以外で走ったりした」という北村は、2年時には一気に上から2つ目のチームである「B1」にまで昇格した。

「カテゴリーによってけっこう戦い方の特色があって、B1チームは走って走って走り勝つ、みたいなタイプのカテゴリーだったんです。C3でプレーしていた1年生のときはサイドバックをやっていたんですが、めちゃくちゃ走って対人も強いというところがB1チームの監督に気に入られて、一気に引き上げてもらったという感じでした」

 センターバックとしてプレーしたB1チームでも結果を残し、4年時にはついにトップチームに昇格。卒業時には複数の進路の選択肢があったが、北村は考えた末、高校時代を過ごした鎌倉に戻ることを決めた。

「実家の方に一度帰りたいという思いもあったので、地元に戻って仕事をしながらサッカーを続けようと思いました。もともと鎌倉高校で一緒にやっていた選手がインテルでプレーしていたりしたのでチームの存在は知っていましたし、高校時代の監督なんかも勧めてくれて、面白そうなチームだなと。高校時代を過ごした鎌倉という場所でもう一回サッカーができるのをうれしく感じています」

安心して見ていられるCBに、攻撃では目立ちたくない

高校時代を過ごした鎌倉で再びサッカーに打ち込む 【㋚写真】

 鎌倉インテルのセレクションを受けて入団が決まったものの、関西の大学であったため卒業までは練習に参加することができず。チームに合流したのは開幕を数週間後に控えた4月に入ってからのことだった。

「合流前から体は動かしているようにと言われていたので、スムーズに合流することができました。そこから何試合か練習試合をさせてもらって、スタメンで開幕を迎えることができた。けっこう人見知りな方なんですが、インテルの皆さんが温かく迎え入れてくれて。自分と同じように大卒の新加入選手もけっこういるので、すぐに溶け込むことができました」

 鎌倉インテルでプレーすることが決まってから就職活動をし、横浜にあるゲーム関係の会社に就職。慣れない社会人1年目でサッカーとの両立が大変な面もあるが、新天地での新たな挑戦にやりがいも感じているという。

 神奈川県リーグ1部への昇格がミッションである今季のチームにとって、守備の要でもあり得点源でもある北村の存在は攻守に大きい。しかし、北村自身は攻撃面においては「あまり目立ちたくない」と言う。

「攻撃の面ではあまり目立ちたくないと思っています。自分が点を取ったことで勝てた、みたいな試合はもういいかなと。普通に前の選手が点を取って無失点で勝ちたい。自分はセンターバックなので、見ている人も『この選手がいれば、そう点は取られないだろう』と安心して見ていられるようなプレーができればと思っています」

 ここまでの5試合は北村が攻守に大きく貢献し、開幕5連勝という結果を手にした。だがこの先、さらに昇格へ向けて加速するためには、北村の得点力が目立たないチーム状況が求められるのかもしれない。

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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