【陸ジョブナビVol.6】選手が出場して良かったと思える大会に!報道メディアの方々をサポートする報道係のお仕事をご紹介!

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【JAAF】

陸上競技の大会は、たくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。今回は選手のみなさんの活躍を世の中へ発信する報道メディアの方々をサポートする報道係について、日本陸上競技連盟の競技運営委員会に所属され、報道係を務められている田中康之さんにお話をうかがいました。


>>田中さんも競技場で活躍!「第106回日本陸上競技選手権大会」
  6月9日(木)〜12日(日)ヤンマースタジアム長居(大阪)で開催!
  〜チケット好評発売中!〜

  https://www.jaaf.or.jp/jch/106/

Vol.6 田中さんと報道係

高校時代は陸上部に所属していた田中康之さんは、1500m障害物でインターハイ南関東大会に出場しました。早大ではなんと体育会の合気道部に入部。大学卒業後は教員の道へ進み、陸上部の顧問を務めながら、時にはバレーボール部や新体操部の指導も経験しました。

高校教員として陸上部の顧問を務めていた2005年に、千葉でインターハイが開催されました。インターハイに向けて報道係が作られ、田中さんが担当することに。
「報道係がどんなことをするのか、当時のペン記者、フォトグラファーにどういう対応を求めているのかを教えてもらいました」。

すると、当時の日本陸連競技運営委員長から「『せっかく身につけたのだから、陸連の競技運営委員会に属し、報道対応を進めてくれないか』と声をかけていただいたのです」。
田中先生自身も、インターハイなど毎年会場が変わるような大会で「そのたびに報道の対応が変わるのではなく、統一的な対応・取材環境を整えたい!」という思いを持ったことから、「委員に加えていただきました」。

「記者やフォトグラファーのみなさんからは陸連内に担当ができたことで、今まで行く先々で対応が変わっていたけど、安心して取材と撮影ができる、と喜ばれましたね」
そこから田中さんは、報道係として経験を積み上げていきました。

報道係の役割          
報道係は事前の準備から始まります。各メディアへ大会の取材方法を案内するため、競技日程や競技場の作り、動線から想定される課題などを調整します。
大会前日に会場に入り、フォトグラファーが撮影する「撮影エリア」の作成、関係する審判との調整(監察員などフォトグラファーの近くでお仕事をされる方がいるので)、記者が選手に話を聞くエリアの「ミックスゾーン」の設営といったことも報道係のお仕事です。

「記者やフォトグラファーの方々は仕事で来ていますからね。いい仕事ができるようにしないといけないです」と田中さん。
特にフォトグラファーのリクエストはできるだけ実現したいという思いがあり、「より良い場所でセットしていただいて、いいショットを撮ってほしいです。100枚撮ったうちの1枚か2枚でも採用になれば、大会の成功につながります。写真が掲載された選手にとっては、文字だけよりもリザルトだけよりもうれしいですからね」。

日本選手権では、報道係の中でもフォトグラファーの管理や、レース後の選手をエスコートする「フォトコーディネート」を中心に活躍されています。
「走幅跳などの跳躍競技の場合、撮影エリアがどうしても狭くなって、フォトグラファーが集中してしまいますので、その管理ですね。基本的に、砂場の近くに前もってマーカーなどでエリアを作っておきますが、風向きによってピットが逆になることもあります」
ハンマー投、やり投といった投てき競技では、フォトグラファーに「事故がないように、絶対に投てき物から目を逸らさないよう伝えます」と細心の注意喚起をします。
右投げの選手が多いですが、左投げの選手の場合、逆側に移動というように、状況に応じて声をかけられるようにシュミレーションしているそうです。

さらに、競技がスタートしてからは選手の行動に寄り添います。「競技が終わった後の選手は、直後にフラッシュインタビュー、新記録が出た際にはタイマーを使ったフォトセッション(写真撮影)、ミックスゾーンでの取材対応と続いていくので、競技が終わった後の選手の動きをサポートしています」。
この一連の流れは、ポストイベントコントロールと呼ばれていますが、田中さんは選手をエスコートするタイミングを大切にしています。
例えば注目選手の場合などは、選手本人が大丈夫であれば予選から取材エリアにエスコートすることもあります。さらに、日本記録が出た時には日本記録賞などのセレモニーも予定されているので、関わる部署と事前に打ち合わせをして、スケジュールを把握しながら臨機応変な気遣いも求められます。
醍醐味は、3000m障害物の水濠付近の撮影。「あんまり近すぎると危ないので、外側の場合は水濠の淵から50cmくらいのところで構えてもらいますね。水濠正面の写真は100mのスタート付近が撮りやすいみたいなんですよ」。長年の経験でカメラマンさんとのコミュニケーションをとられている田中さんならではの情報ですね!

報道係のやりがいについて、田中さんは「記者さんやフォトグラファーさんから御礼を言われたり、助かりますと声をかけていただくことですね。陸上競技が注目されて、もっともっと発展していってほしいですし、競技者の喜びに携わる身として良かったなと思います」と話していました。

海外での国際大会で、田中さんが印象に残っているシーンも教えていただきました。
国際大会では、代表のテレビカメラは基本的にどこでも撮影が可能だそうです。テレビ中継の国際映像でテレビカメラが選手にかなり接近しているシーンが映ることもありますよね。
田中さんが驚いたのは、女子棒高跳の世界記録保持者エレナ・イシンバイェワ選手(ロシア)が次の跳躍まで待機しているとき、寝転んで目を閉じて集中しているところをすぐ上から撮影していたこと!田中さんは「世界で金メダルを取る人は、そんなことにも気にしないんですね」と驚かれたそうです。
ちなみに、国内では男子ハンマー投の室伏広治さんも印象に残っているそうで、室伏さんの投てきの際にはすごい数のカメラのシャッター音が鳴り響く中で、とてつもない集中力を発揮して80mスローを連発していたといいます。

自分の世界を作って、自分のリズムを崩さない。世界で勝つ選手の極限の集中状態を、田中さんは間近で感じてきたのです。

【月刊陸上競技】

陸上競技の発展のために      
報道係だけではなく関東学生陸上競技連盟では競技審判委員を務めている田中さん。審判側も報道側も両方経験しているからこそ、見えてくることがあります。
陸上競技では〝審判の審判〟と呼ばれるJTO(Japan Technical Official)という資格があります。「取得しているのは全国で40人くらいです。審判長の判断のサポートをする役割で、複雑な問題の時や困った時に派遣されているJTOがアドバイザーとして助言します。審判の細かい決まりなどもありますが、大事なことは、いかに競技が終わった後に、選手が出場して良かったと思えるような競技会を作っていくかです」。選手に寄り添う気持ちが伝わってきます。

今後の目標は、「教員は定年を迎えましたし、週末を中心に好きな陸上に携わって後進を育成していきたいです。全国に報道係は浸透してきましたが、派遣された人を中心に、全国どこでも同じようにやれるよう、引き続き伝えていきたいです」と田中さん。還暦を迎えた現在も、好きな陸上のために現状打破しています!
選手の魅力やパフォーマンスをより多くの方に伝えるために、報道を充実させることが陸上競技の発展につながっていくんですね!


▼選手をエスコートする田中さんの活躍はこちらの動画から。
https://youtu.be/OBwM8kEPI_M

>>インタビューVol.6(PDF版)はこちら
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202205/23_102522.pdf

■田中 康之さん
1961年生まれ、60歳。千葉・勝浦中→長狭高→早大出身。大学卒業後、千葉県内の高校教諭を勤めながら、千葉陸協競技運営委員会審判部に所属。2005年の千葉インターハイをはじめ県内競技会運営を経て、日本選手権をはじめ全国レベルの競技会で報道対応を主に担当してきた。JTO資格も有し、全国規模競技会での審判活動もサポート。現在は日本陸連競技運営委員として「広告および展示物規程」の検討チームリーダーを務める。国際大会の主な実績は07年世界選手権大阪大会(メディアサービス)、11年アジア選手権神戸大会(メディアチーム)、19年世界リレー横浜大会(フォトコーディネートサブチーフ)、21年東京五輪・パラリンピック(ポストイベントコントロールエリアチーフ)


■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。

【JAAF】

〜月刊陸上競技6月号(5月13日発売)掲載〜



▼日本選手権プロモーションビデオ第2弾
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日本陸上競技連盟

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