良き師の助言で覚醒 林菜乃子、西郷真央が一変
【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
まさに言霊。良き師をもつことは何物にも勝る。林菜乃子が66をマークし、6アンダーでホールアウトした。その表情は笑顔、笑顔ー。スキップでもしたくなるような心境であることがわかった。
「トーナメントでプレーできる幸せを嚙み締める」。スタート前から誓っていた。また、17日は25歳の誕生日である。新たな気持ちで向かう1年は清々しい気持ちだったに違いない。
そんな気迫をボールへ込めた。2番、残り94ヤード第3打は50度でフルショット。ピン右2.5メートルへ運んだ。落ち着いてバーディーを決める。ナイスプレーの喜びが全身を包んだ。
「宮崎のアクサレディスから予選落ちが6戦続いた。もう、見るに見かねたのでしょう。(指導を受ける)芹澤信雄プロが2週前のワールドレディスへ駆けつけてくださった。キャディーをつとめていただき、コースの中でビビッている。ゴルフをしていないーなど、いろいろなことを教えていただきました」という。
原因はスイング改造による自信喪失。どちらかといえば、精神面の不安がプレーへ直結していたのだ。「一発、ボールを曲げると自信がなくなる。それが悪い方向へ行く」と話した。要は負のスパイラルへ陥ったのだろう。しかし、心強い師のおかげで一変。ワールドレディス14位タイとまずまずの成績をおさめ、続く前週も驚異の粘りを発揮する。第2日、予選落ちのピンチへ直面したが、最終ホールで8メートルのパーセーブに成功した。
「2週前からフェードのスイング軌道を根本から見直した。結局、基本の基本が、試合が続くと、おろそかになっていたと思います。アドレスは当然ですけど、左脇にヘッドカバーをはさんでチェックすることなど、練習の最初に行うようにしたらスイングが崩れない」とも。
この日のロケットスタートは偶然ではない。必然の結果だった。ただし、「コースは風と天気で顔がガラッと変化する。いい貯金ができた程度の気持ち。あすも覚悟をもってプレーしたい。欲をかいたら大けがをします」と気を引き締める。それこそ、プロフェッショナルだ。
【西郷真央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
後半に入ると、一気にスコアを伸ばした。ハイライトはパー5の2番、イーグル奪取。5Wを選択し、2オンに成功した。ピンから3メートルのパッティングも自信をもってカップイン。不安解消のサインだった。
「スイングばかりを意識してしまうと、結果がおろそかになります。だから、素振りでポイントを確認することを行った。もし、前週が予選落ちでなかったら、あのままダラダラいってしまったかも…。この2週(の不振)をいいきっかけにしたい」と落ち着いた口調で語る。悪いことの後には、良いことがやってくるものだ。
基本がしっかりできているからこその証が、急浮上につながる。左わきを締めろ。素振りをおろそかにしない。当たり前のことを忘れずに、良き師を得れば、すなわち王者への早道である。
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