運動に対する基本的心理欲求と運動経験との関連
【イメージ写真】
この個人差の要因のひとつとして心理的な側面が考えられますが,その中でもとくに動機づけは身体活動と高い相関関係があり,動機づけの高低が身体活動の潜在的な決定因子とみなされています.
本研究では,動機づけに関する自己決定理論に基づき,運動に対する三つの基本的心理欲求(有能感,関係性,自律性)を測定する尺度を作成し,各基本的心理欲求がどのような運動経験と関連をもつのかを明らかにしました.
結果として,これまでのように対象者を限定することなく,運動行動に関連する心理的要因を測定する一定の信頼性と妥当性を有する尺度を作成することができ,より的確なアセスメントが可能になることから,健康と密接に関連した運動行動の生起・継続を目指すプログラムの提供に繋がると考えています.
また性差と年齢差の検討から,運動行動に関連する心理的要因としての有能感・関係性・自律性は,女性よりも男性の方が高く,総じて30歳代〜60歳代の人よりも18〜29歳の人の方が高いことが認められました.
さらに運動経験との関連や他者との関りについての検討から,父母やきょうだいからの影響は限定的であり,相対的に友人や部活動の影響の方が大きい傾向がみられました.つまり,運動に対する心理的欲求は,友人との交遊等でポジティブな経験をすることや,学校やスポーツクラブでの自律的な支援を受けたことで充足感が高まることが示唆されました.
したがって,このような他者や活動領域の重要性を特定できたことによって,支援方略や介入行動の提言にも寄与することが期待できると考えています.
堀井 大輔 大阪電気通信大学
杉山 佳生 九州大学
金田 啓稔 大阪電気通信大学
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